偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ファイナル・デスティネーション(2000)


修学旅行でフランスへ向かう飛行機に乗った高校生のアレックスは、飛行機が爆破する映像を幻視する。パニックになった彼は数名の生徒・教師を巻き込んで飛行機を降りるが、直後に飛行機は彼が見たように爆破炎上する。
そうして生き残ったアレックスら7名だったが、やがて「死」が運命を修正するかのように、1人ずつ不可解な死を遂げていき......。



大学生の頃ぶり2回目の鑑賞。
後に大人気シリーズへと成長していく本作ですが、1作目はありそうでなかったアイデアが光る低予算映画の秀作という感じで、初めて観た時は衝撃でした。何というか、夜中にテレビでやってるのを何となく観てたら意外と面白えじゃん......みたいな出会い方をしたかった作品です。

やっぱなんといっても死の運命が追いかけてくるという設定が凄い。
怪物でもサイコキラーでもなく、「死」が意思を持って追いかけてくる恐ろしさ。ひとたび死の存在を意識してしまえば、そこかしこに死の伏線がある......という緊張感は常に漂わせつつ、死ぬシーンではさらに一気にキュッと締めてくる緩急が堪らん。ある者は「えっ?」と言ってしまうくらい一瞬の死を迎え、ある者はじわじわと焦らされながら死んでいく......。いずれにせよ、観た後は自宅のキッチンや風呂場が死の予兆に塗れて見えてきてしまう恐ろしい映画です。

改めて見直してみるとキャラの魅力が弱く感じたり、死に方が後のシリーズに比べると地味に感じてしまうところもありますが、シンプルかつ斬新な設定と展開のテンポの良さで頭空っぽで飽きずに観られる、ちょうどいいホラー映画っす。