偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ブレット・トレイン

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!う、、うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!......はぁ、、、。

......くらいしか感想がないですけど、一応もうちょい書きます。


伊坂幸太郎の『マリアビートル』がまさかのハリウッドで映画化!というのが伊坂ファンとしては衝撃だったんですけど、「どうせバカみたいなアクションになるんだろうな」という期待を裏切らずにいながら意外と原作のエッセンスはいっぱい詰まってて、伊坂作品×B級アクション大作の乗算が大成功した快作でした!

冒頭のブラピがブレードランナーみたいな東京を歩きながらアヴ様カバーのステインアライブが流れるところでもうとにかく楽しめばいいだけの映画なんだなと分かってブラピと一緒に弾丸列車の乗客にさせられてしまいました(ブラピが冴えない感じなのが既にウケる)。

キャラが多い、というか、人数はめちゃくちゃ多くはないけど一人一人の味付けが濃いから多く感じるのかな。それぞれのバックボーンなどが忙しなく挟まれていって、インパクトあるエピソードが語られたキャラが次の瞬間普通に死んだりするなんとなく浮き足だったような展開が楽しい!
原作では天道虫、蜜柑、檸檬っていう暗号名が英語でレディバグ、タンジェリン、レモンってなってるのも伊坂ワールドとは違ったパラレル伊坂ワールドみたいな感じで面白かったです。あ、レモンはそのままか。
キャラ付けも「不運」「トーマス」とか原作通りの部分もあれば、蜜柑と檸檬の関係性なんかは雑な言い方になるけどハリウッド映画っぽさが増してたりしてこれはこれで凄くアリでした。また、原作を知ってるからこそ、「あ、そっちじゃないんだ」みたいな捻りもあったり。
ストーリーにしても、特に中盤まではある程度原作に沿いつつ、終盤で急にバカアクション映画になったりとかして、「意外と原作通りじゃん」ってとこと「うわ、そうくるか!」のバランスがいい塩梅でした。
びっくりしたのが、台詞回しがかなり伊坂っぽいところ。特にブラピと電話の女の会話の特に内容はないけど惚けた面白みがあるところとか伊坂みを感じます。
無駄な会話や挿話の多さとかは、伊坂っぽいとも言えるけどむしろ伊坂が影響受けてるタランティーノに寄せてる感も。

日本の描写もネオン煌めくトーキョーからkawaiiっぽいのとかマスコットキャラ文化みたいなのから絵に描いたような極道から「なんでそこに富士山あんねん!」まで、「日本ってなんかこんな感じっしょ〜」みたいなのをわざとそのまま描いてるみたいな感じで笑いました。こういうの文化の盗用っつーのかな?個人的にはもっとめちゃくちゃでも良かったとすら思うけど。

あと、アクションがそのままコミュニケーションにもなっててお話に組み込まれてるのも好きです。たぶんアクション映画のファンじゃないから、ただ戦ってるの見るだけみたいなのが苦手なんだと思います。アクションがストーリーに直結したり、音楽とリンクしたりしてるような映画が好きなので......。

序盤からそこそこテンション上がる映画なんだけど、やっぱり中盤の蜜柑の「あり得ね〜〜!」な活躍以降でさらにギアが上がり、まさに""弾丸列車""なラストでついに血液が沸騰してくるような、だんだん加速する展開もツボ。
伊坂作品がスカッとジャパンなら本作は完全にスカッとアメリカンやなっていう身も蓋もないくらいの「よっしゃあ!」感も楽しすぎる。

そんな感じで、「伊坂がハリウッド!?いやいやいや......」と制作発表の段階ではわりとネガティブな気持ちでいたんですけど、観たらなんだかんだ楽しめちゃいました。
映画館に行ったら平日だけどコロナ以降では見たことないくらい人がいて、席が3割くらいは埋まってたのでそれもテンション上がりました。貸切も贅沢でいいけどやっぱ寂しいよね。