偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

さくらももこ『ちびしかくちゃん』(全2巻)を読みました。


静岡に旅行に行ったんですよ。
そんで、ちびまるこランドに行ったらこの本がお店に並んでて、「なんぞこれ」と思って思わず家へのおみやげに買ってきちゃったんですけど、読んでみたらまぁ〜いい意味でしょーもないセルフパロディ漫画で、ニヤニヤが止まらんですわい。


主人公は「まる子」ならぬ「しか子」ちゃん。そのまんま四角い顔。
家族構成はまる子と同じだけど、家族全員顔四角い。クラスメイトたちもまる子と近いけどどっかちょっとずつ違う。
しか子ちゃんはまる子みたいに要領よく世の中を渡っていけない引っ込み思案な女の子なんですが、そんな彼女を取り巻く家族や友人はみんな「ちびまる子ちゃん」のおなじみの面々よりちょっと性格悪い。
お母さんはすぐキレるし、お姉ちゃんはお姉ちゃんという立場を利用していじわるばっか言うし、おじいちゃんも孫は可愛いけど我が身が一番可愛いという保身主義者。
そして、親友の「だまちゃん」が、「たまちゃん」とは違って最低の人間だったり......。

各話数ページのショートストーリーなんですが、どれももう話もめちゃくちゃで、人間社会のつらみがのしかかってくるオチで、でもなんかにやにや笑えて......。
ちびまる子ちゃん」の世界をパロディにしつつ、「さくら先生がこれ見たら草葉の陰から泣くでしょ......」というようなヒッドいパロディをまさかのさくら先生本人がやってるんですねぇ。お前自分で書いたんかーい!(ズコーッ!)

私は中学生の頃さくらももこのエッセイをいくつか読んだんですが、どれもめちゃくちゃ面白かったんだけどさくら先生の性格の悪さが滲み出てて「絶対友達になりたくないわー」と思ってそれ以来あんまり関わらないようにしていたのですが、やっぱり皮肉めいたゆるさでは日本一ですよね。
もちろんアニメのまる子は見てましたが、エッセイを読んでから実に10年ぶり、漫画を読むのは初めての今作で、ちょっと本家の「ちびまる子ちゃん」も原作ちゃんと読んでみたいなという気持ちになりました。そのうち「ちびまる子超おもしれー」ってツイートしだしますので温かく見守ってください。