偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

セッション(2014)


名門音楽学校に入ったドラマーのアンドリュー。初級クラスで叩いていた彼は、ある日学内でもトップレベルのバンドの指揮者フレッチャーに引き抜かれる。喜ぶアンドリューだったが、フレッチャーは暴言暴力を振りかざす鬼教官だった......!


大学生の時ぶり、2度目の鑑賞。
社会人になってから観るとパワハラの恐ろしさがわかるので余計にクるものがありましたね。

本作、もうただひたすら主人公が鬼教官にしごかれながら喰らい付いていくってだけの今時珍しいようなシンプルな話なんだけど、それを一瞬も弛むことなく観せるのが凄すぎました。
だってまさかドラムの話がここまでエグいと思わんもん。まるっきり昭和のスポ根、というか話が進むにつれてもはやサイコスリラーみたいな趣さえあって非常にヒリヒリしました。あと恋人と別れるシーンもヒリヒリ。

パワハラを描いた映画なので、軽めですがパワハラ受けた経験のある身としては正直かなりしんどいです。けど、酷すぎて逆にギャグみたいに思えてきて、映像のテンポの良さも相まってだんだんアクション映画観てるみたいなノリで観れるようになってしまいます。パワハラを戯画化して笑い飛ばすみたいな。
狂気の鬼教官フレッチャーに対して主人公の狂気もどんどん引き出されていくのもよろしくないなと思いつつもだんだんのめり込んでしまう。
私みたいな普通の仕事はともかく、芸術とかの分野では多少のスパルタは必要なのかもとも思うし(もちろん本作のはやりすぎアウトですけど)難しいところだけど、本作に関してはもう本人たち同士が狂気仲間でなんだかんだ楽しそうにやってるから良いよね!っていう無責任な気持ちで楽しく観られました。
なんてったってラストシーンが圧巻で、エンドロールへの入りがキマりすぎててここだけでも見た甲斐があるってもんです。
あと主役の人が本作のためにドラムめちゃ練習して自分で叩いてるらしくてびっくり。
まぁ私には演奏の上手い下手とか分からんし「ファッキンテンポ〜」ゆわれてもテンポってなぁに〜?レベルなんだけど、でも迫力あって凄かった。