偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

オズの魔法使(1939)


カンザスシティに暮らす少女ドロシーは、ある日竜巻によってオズの国へと飛ばされてしまう。そこには良い魔女や悪い魔女がいて、ドロシーは家に帰るために"オズの魔法使"に会いに行くことになる。道中で脳みそのないカカシ、心のないブリキ、勇気のないライオンに出会い、彼らとともに魔法使の城を目指す......。



リンチさんの『ワイルド・アット・ハート』に出てきたので観てみました。

1939年の作品ですが、冒頭の実世界パートがセピア色、オズの国へ入るところからテクニカラーになるという演出で一気に引き込まれて凄え。今観たらそう驚きはないけど、当時観てたら没入感半端なさそう。
このカラーがもう着色料だったらめちゃ身体に悪そうなくらいのゴテゴテした色彩なのでセピアとの落差でよりワクワク。
森とか出てきて全体になんか緑とか黄色とかの印象な中でルビーの靴や悪い魔女が出す炎の赤が映えてて綺麗だった。てか顔を緑に塗った悪い魔女なんか『マスク』みたいで面白いマスク観てないけど(観なきゃ)。
あと、カカシは元から人間を模したものだしブリキのロボットも非生物だし人型だからあんまり違和感ないんだけど、人間のおじさんが演じるライオンは正直結構キモかった......。でもキャラ的にはライオンが1番可愛いというギャップ萌えがあって良かったです。てか脳みそがないのになんで喋れるんだカカシ!みたいなツッコミどころ(?)も多くて面白いです。
あと、犬が可愛すぎた。猫派なんだけど魂を売って「かわええ〜💕」と叫んでしまうほどに可愛い。
他にもハリケーンで家がくるくる飛んでくみたいな奇天烈な映像もあって楽しかった。

ストーリーはオズの魔法使に会いに行くためにてくてく歩いて行くと道中でいろいろ変なやつに出会って仲間にするっていうRPGみたいな話なのでFF好きだった人間としてはなんか懐かしかったです。
冒険を通して気付きを得て成長して家に帰るというシンプルな筋立てですが、それだけに観終わった後「ああ、映画観たわぁ」っていう素朴な満足感がありました。

もちろん名曲Over the Rainbowもよかった。ボウイさんのStarmanの元ネタということで前から聞いたことはありましたが、歌詞見ながら聴くとまた良いですね。ここじゃないどこかへの憧れ......というのは、私みたいに想像力のない人間でも映画や小説や音楽が好きなら多少なりとも持っているものなので、けっこう沁みちゃいました。