偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ラーメンズ第9回公演『鯨』


収録内容
ことわざ仙人/超能力/バースデー/壷バカ/絵かき歌/count/アカミー賞/器用で不器用な男と不器用で器用な男の話


はい、観ました。
今回はわりとバラエティ豊かといいますか、ストーリー性の強いものから、馬鹿馬鹿しい系、実験作、サイレントと幅広く取り揃えられています。
中でも、シリアストーンじゃないのにどこか哀しさの香る表題作と、エモくて泣ける最終話がやはり印象的でした。

以下各話の一言感想。



「ことわざ仙人」

ことわざを元にして色々言い換えていくお話。
日本語学校」のシリーズは好きなんだけど、これはあんまりなんですよねぇ。どちらも連想ゲームのように無意味に言葉を連ねていくやり口で、なんで両者の評価が違うのかは自分でも分からないんですけど。まぁ、勢いの差か、小林さんか片桐さんかの違いか......。



「超能力」

ラーメンズのこういう仲のいい友達同士できゃっきゃする系のネタは大好きです。
意外性はないんだけど、緊張と緩和とが反転を繰り返す展開には、分かっちゃいるんだけど手に汗握っちゃいますよね。
別にメタ的演出とかはないんだけど、奇妙に2人が共謀して観客を騙そうとしている感覚が不思議で面白いです



「バースデー」

サイレントで芝居をしつつ、ナレーションで心の声が入るというラーメンズらしい趣向の作品。
小林さんのパートでは、馬鹿丁寧なまでに心の声と動きや表情を合わせるわざとらしさが笑いになり、一方の片桐さんはギリギリ合わせてるというかもはやズレてるアクロバティックな動きが笑えるという、2人の個性がそのまま面白さになっているところが好きです。
心理戦みたいなノリなんだけど、内容はほのぼのなギャップも良いっすね。



「壺バカ」

お得意のパントマイムによるサイレント劇。
壺と効果音だけで見えないボールを想像させ、想像と現実(?)とのギャップなんかも駆使して魅せてくれます。
これはもう笑いとかではなく(まぁ笑えもするんだけど)見ていて気持ちいいパフォーマンスでした。



「絵かき歌」

表題作に当たるのかな?
片桐さんのキャラの濃さがヤバいんだけど、話の内容自体にはどことなく悲しさが纏わりついているようなところもあって嫌いじゃないです。
ただ、最後はちょっとやり過ぎでは。いや、小林ファンだし笑ったけども!



「count」

数字と静止画から成り立つ、コントとも言えないし何て言うんだろうって感じのやつ。
Eテレにありそうですよね。「デザインあ」とか「ピタゴラスイッチ」みたいな。
ほんの少しだけ下ネタやブラックなネタが入ってくるのが良いアクセントになっていて印象的でした。オチはあれどういうことやねん?



「アカミー賞」

吹き替え調で受賞作を発表していく小林さんと、アホでしかない片桐さんのバトル(?)が繰り返されるだけのよくわかんないやつ。
最初はめちゃくちゃ笑ったけど、濃すぎて後半ちょっと飽きてきちゃうのはありますね。
しかしこれは完全にアメリカ人を馬鹿にしてるようにしか見えねえし、こんな差別的なネタばっかやってるからオリンピック降ろされるんやぞ小林......。



「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」

四角が多すぎて読む気にならないタイトルですが、実際のところタイトルの通りの内容でした。
器用さと不器用さが正反対に出ちゃった2人はどっちも世の中の色んなところにいそうだし、もっと言えば私の中にも彼らのような部分が少しずつあったりするし(自分、不器用ですから)、誇張気味ではあるもののどちらにも感情移入してしまってかなり泣けました。
こういう刺さるやつが時々あるからラーメンズはやめられねえよな。