偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

2021-01-01から1年間の記事一覧

『C.M.B 森羅博物館の事件目録』全巻読破計画③21〜30巻

例年忙しくなると漫画を読むのですが、今年のお盆は別のやつ読んでたし去年の年末はわりと死んでたので、なんだかんだ丸2年ぶりのQ.E.D、C.M.B全巻読破シリーズとなってしまいました。そして今年はここまでにしておくので、本当に全巻読めるのはいつになるこ…

スピッツを選んだ  ーー伏見瞬『スピッツ論』の感想ではありませんーー

『スピッツ論』という本を読みました。感想を一言で言うと、辛かったです。スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック作者:伏見瞬イースト・プレスAmazon私のアイデンティティの半分くらいは「スピッツファンであること」です。スピッツに出会ったのは小…

笹沢左保『招かれざる客』感想

昔に何冊か読んで面白かった笹沢左保もこの度トクマの特選さんでどんどん復刊されていくようなので本当にいいレーベルだと思いますよ。有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客 (徳間文庫)作者:笹沢左保徳間書店Amazon 経産省でスパイ行為を行った鵜飼と…

山田正紀『囮捜査官 北見志穂1 山手連続通り魔』感想

初出は1996年、2ヶ月置きで1年間に5冊というハイペースで刊行されたシリーズ。 それから、1998年に幻冬舎文庫、2009年には朝日文庫でそれぞれ改題文庫化され、今回また改題され、恐らくは決定版として〈トクマの特選〉から刊行されます。決定版、というのも…

2021年、私的アルバムランキング!

はい、それでは年末ランキングシリーズ最終回!(?)、アルバムランキングです。 本も映画も古いやつばっかだったのにアルバムランキングだけは新作オンリーです!サブスクやる前からそうたったので、もはや偽物のタワレコとかにブログ名変えるべきですかね。…

ラストナイト・イン・ソーホー

『ベイビー・ドライバー』で私の中の一世を風靡したエドガー・ライト監督の最新作。さっそく観に行ってきました。 製作年:2021 監督:エドガー・ライト 主演:トーマサイン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ ウ〜〜〜〜〜〜〜〜ン。 賛否両論ですよね、…

連城三紀彦『ため息の時間』感想

『ミステリ読者のための連城三紀彦全作品ガイド』の浅木原さんがめちゃくちゃ推してたので気になっていた作品。 先日彼女に『戻り川心中』を無理矢理読ませたのですが、その流れで私も未読の連城をと思い読んでみました。ため息の時間 (集英社文庫)作者:連城…

2021年に観た映画ベスト10

はい、今年読んだ小説ベストに続いて年末のランキング企画第2弾。 といっともこちらも「私が今年観た」であって、今年の新作とかでは全然なくて新旧洋邦いろいろ入ってるなんの参考にもならないランキングですが、備忘録も兼ねて、全部面白かったことだけは…

スピッツ『おるたな』今更感想

なかなか進まないスピッツ全曲感想シリーズですが、前回の『花鳥風月』に引き続いてスペシャルアルバムの本作『おるたな』を語っていきます!おるたなアーティスト:スピッツユニバーサルAmazon2012年リリースの3枚目のスペシャルアルバム。 前の2枚と異なり…

2021年に読んだ小説ベスト10(非ミステリ編)

というわけで続きまして非ミステリ編です! 今年もミステリ以外にも色々読んでてこのランキングもかなり雑多な感じになりましたね。 特に傾向とかもない気がしますが、強いて言えば女性にまつわる作品が多い気はします。 その点では、小説ではないので今回入…

2021年に読んだ小説ベスト10(ミステリ編)

さて、今年もランキングの季節がやってまいりました。アルバムランキングとかも書いてますが、本に関しては今年はもう読めても短編集かエッセイを数冊くらいかと思うので先にやっちゃいます! (ちなみに写真は今年食べたパフェベスト1位)今年の読了本は80冊…

歌野晶午『名探偵は反抗期』感想

歌野晶午って新本格ミステリ作家の中で一番改題が多いんじゃないかと個人的に思っているのですが、これも元は『舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵』だったものをシンプルなタイトルに改題したもの。 ちなみに本作はそんな舞田ひとみシリーズ第2弾ですが、1…

麻耶雄嵩『あぶない叔父さん』

麻耶雄嵩の作品で唯一未読だったこれを読みました。 というのも、以前第一話をアンソロジーで読んであまり面白くなかったのでそのまま放置していたわけでありまして。あぶない叔父さん(新潮文庫)作者:麻耶雄嵩新潮社Amazon全部読んでみて、第一話が特に面…

上間陽子『海をあげる』感想

先日、本屋大賞のノンフィクション本賞を取った作品ですが、それ以前に尊敬するフォロワーがブログに載せていたので気になっていた......というよりも、気にかかっていたのもあり、これを機にと思って読んでみました。https://kamiyamautou.hatenablog.com/e…

青山文平『つまをめとらば』感想

以前『半席』を読んで気になっていた作者の、直木賞受賞作。つまをめとらば (文春文庫)作者:青山 文平文藝春秋Amazon夫婦を描いた作品が目立つ、江戸後期が舞台の6編の短編集。時代小説ではあるんですが、作中の価値観はかなり現代に寄っている気がします。 …

村田沙耶香『殺人出産』感想

「10人産んだら1人殺せる」殺人出産制度が浸透した100年後の世界を描く中編の表題作他、短編2編、掌編1編を併録した作品集。殺人出産 (講談社文庫)作者:村田沙耶香講談社Amazon 多くの収録作が現代日本とは違う制度や倫理観を持つアナザー日本みたいな設定で…

キース・トーマス『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変』感想

装丁があまりにも素敵すぎて、本屋さんで目が合ってとりあえず買ってしまった本。ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 (竹書房文庫)作者:キース・トーマス竹書房Amazon 2023年、マリア・ミッチェル博士によって発見されたパルス…

BaseBallBear『DIARY KEY』の感想だよ!

はい、というわけで今回は珍しくベボベのアルバム感想です。 普段スピッツのアルバムの感想を書いてる時は、どうしても「10,000文字くらいは書かないと名盤に失礼」という思いがあって長くなりがちですが、好きなバンドはスピッツ以外にもいっぱいるんですよ…

俺の赤い星がほしい

はてなブログ10周年特別お題「はてなブロガーに10の質問」フォロワーで尊敬するはてなブロガーのぼくねこさんがやってたので、便乗してたまにはこういうお祭りっぽいのに参加してみることにします!スピッツファンでベボベファンだから、一度だけ俺の赤い星…

山田正紀『屍人の時代』感想

『人喰いの時代』に続く呪師霊太郎シリーズの短編(中編?)集。屍人の時代 (ハルキ文庫)作者:正紀, 山田角川春樹事務所Amazon 文庫で70〜120ページ程度のお話が4つ入ってて各話なかなか読み応えのある一冊になっています。 今回は『人喰い』のように一冊通し…

川上未映子『夏物語』感想

『乳と卵』で名前だけ知っていた作家さんですが、本作はその『乳と卵』のリライト?語り直し?が「第一部」として全体の3割程度を占め、その後にそれから8年後の主人公の人生を描いていくという、いわばリブートみたいな作品らしいです。 『乳と卵』は読んだ…

三津田信三『白魔の塔』感想

『黒面の狐』に続く物理波矢多シリーズ第2作。白魔の塔 物理波矢多シリーズ (文春文庫)作者:三津田 信三文藝春秋Amazon前作の後、炭鉱を辞めた物理波矢多は同じく日本の戦後復興の礎として重要な仕事である灯台守になります。 しかし、灯台守として2番目とな…

山田正紀『妖鳥(ハルピュイア)』感想

徳間文庫の新レーベル『トクマの特選』より、「山田正紀超絶ミステリコレクション」の1冊目として復刊された、幻想ミステリの大作です。山田正紀・超絶ミステリコレクション#1 妖鳥 (徳間文庫 トクマの特選!)作者:山田正紀徳間書店Amazon 病院で人が死ぬ夜…

三津田信三『犯罪乱歩幻想』感想

三津田信三による乱歩トリビュートの5篇にリング、ウルトラQのトリビュートを追加した、7篇のトリビュート短編集。犯罪乱歩幻想 (角川ホラー文庫)作者:三津田 信三KADOKAWAAmazon乱歩トリビュートに関しては、タイトルでもじってある作品以外にもそれぞれ色…

太宰治『新樹の言葉』感想

新樹の言葉 (新潮文庫)作者:治, 太宰新潮社Amazon 「I can speak」まずは冒頭の「くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。」というフレーズが印象的。 前々から太宰治の文章はTwitterみたいだと思っていたのですが、本作の「生活のつぶやき」というワードを見…

佐々木俊介『魔術師/模像殺人事件』

魔術師・模像殺人事件作者:佐々木 俊介幻冬舎Amazon 『魔術師』 母を亡くし天涯孤独になった青年・聖の元に、青茅グループ総帥の青茅伊久雄から手紙が届く。 自身の出征にまつわる話があるというその内容に心惹かれた聖は、伊久雄が隠棲する孤島の館・神綺楼…

オールド

とあるリゾートホテルを訪れた主人公たち一家は、何組かの他の客たちと一緒に特別にプライベートビーチへ連れてこられる。 最初はその美しい景色を満喫していた彼らだったが、やがて時間の過ぎ方がおかしいことに気付き......。待望のシャマラン最新作! か…

スピッツ『花鳥風月』今更感想。

めちゃ久しぶりになってしまいましたが、スピッツ今更感想シリーズ! 花鳥風月+アーティスト:スピッツUniversal MusicAmazon1999年発表の、B面曲や提供曲のセルフカバー、インディーズ曲などを集めた「スペシャル・アルバム」の1枚目です。 本当かどうかは知…

綿矢りさ『しょうがの味は熱い』感想

こないだ結婚したので、結婚にまつわる本作を読んでみました。しょうがの味は熱い (文春文庫)作者:綿矢りさ文藝春秋Amazon表題作と「自然に、そしてスムーズに」の2編が収録されていますが、続きもので実質合わせて一つの長編です。同棲していながら結婚には…

深水黎一郎『最後のトリック』感想

第36回メフィスト賞を受賞したデビュー作『ウルチモトルッコ』を改題・改稿した文庫版。最後のトリック (河出文庫)作者:深水黎一郎河出書房新社Amazon 作家の主人公の元に届く、「ミステリ界最後のトリック"読者が犯人"のアイデアを2億円で買ってくれないか…