偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

イージー★ライダー(1969)


麻薬の密輸で大金を手にしたキャプテン・アメリカとビリーは、バイクに金を隠してカリフォルニアから謝肉祭の行われるニューオーリンズへ向かう旅に出る。
道中で色々な人と出会いながら旅を続ける彼らだったが......。



いわゆる「アメリカンニューシネマ」の中でも代表的な作品ですが、タイトルだけ知っててそのことを知らなかったので勝手にもっと頭悪くて楽しい感じの映画だと思ってました。そしたらもう、暗い......。

主人公たちがバイクで謝肉祭を目指して走るだけのロードムービーなんですが、その中で若者の間でヒッピー文化が出てきて保守的な大人たちと対立してたような頃のアメリカの姿が描かれていきます。

ピーター・フォンダと、監督も務めるデニス・ホッパーが演じる主人公2人はコミューンに所属するようなヒッピーではないんだけど、髪を伸ばしていたりとそっち寄り。どうでもいいけど田舎者なのでカマハンのバイクがなんか懐かしい。田舎のヤンキーがよく乗ってたカマハンチャリンコ🚲
まぁそんな2人が旅をしていくわけですが、道中で敬虔なキリスト教徒の一家やヒッピーのコミューンなどに出会います。中でも、勾留された彼らを助ける若い弁護士の男がかっこいい......とか思ってたら若い頃のジャック・ニコルソンで笑った。もはやシャイニングの顔芸のイメージしかないのでこんなカッコよかったんかとびびる。
そんな彼が語る「自由」についての言葉が印象的。自由の国と言いつつ本当に自由を謳歌してるように見える主人公たちをみんな恐れて排斥する。そんな現実を突きつけられるラストには暗澹とさせられるし、それだけに忘れ難い印象を残します。

あと、序盤で出てきた敬虔なカトリックの農家の家族に主人公たちがけっこう敬意を払ってるようなのも印象的だったな。保守的に思える彼らが暖かく歓迎してくれる一方で、ヒッピーコミューンとかのが実は排他的だったりする皮肉?

クスリやってトリップするシーンや、後半のダイナーみたいなところ入ったらめちゃくちゃディスられるところの嫌な緊張感とか良かった。