偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ええっ?キメたカニ(2022)

大須シネマさんの「サメとカニとアレと」で観てきました!!!

宇宙から飛来した宇宙蟹が地球の大学生にコカインを強要されてラリってしまい人を殺していくZ級パニックムービー。

冒頭からしてオモチャの蟹がカタカタカタカタ言ってて、低予算とかZ級とか言ってもここまでくるとこれはこういうものとして手作りの暖かみがあり、思ってたよりだいぶ悪くなかった(良かった!と言い切る自信はない)。
自主制作みたいなクソ映画の割に映像のセンスが微妙によくて、地球に不時着した蟹視点の低い位置から眺める普通の原っぱの光景とかに、大人になってから雑草をこんなに近くに感じたことなかったなぁと強烈なノスタルジーで泣きそうになったし、車道を横断する蟹とか庭にいる蟹とかがいちいち可愛くて和んだ。あとコカイン吸うシーンの目ん玉まんまるの蟹さんはTwitterのアイコンにしたいくらい可愛かった🦀🥰🦀

中盤からはラリ男と呼ばれてる落ちぶれ刑事のおじいちゃんと蟹が好きなペットショップ店員の女の子の2人で事件を追うというバディものになってそれはそれで楽しい。女の子がイカつい見た目してて結構可愛げがあるのがだんだん見えてきてギャップ萌えしちゃいます。
まぁ正直この辺から一気にド滑り度が加速して全てのセリフや小ネタが常に滑り続けているような状態になるのですが、それでも蟹サーカスやピタゴラスイッチなど、いい歳した大人であろう製作陣がオモチャで遊んでるだけみたいな映像を観せられ続けるとこちらも童心に返ってしまいました。なんせ蟹が動くシーンは画面外からプラの蟹がぽいぽいと投げ込まれる、風で飛ばす、丸見えの糸で引っ張る、くらいの低クオリティ。
とはいえゴア描写あり、捜査パートあり、蟹増殖あり、ラストは(どっかで観たことある気がするけど)とあるアイデアで蟹退治をし、しかも社会的なメッセージまで込められているわけですから、少なくともどういうストーリーなのかさえよく分からないまま自己満足で進むその辺のZ級サメ映画なんかとは一線を画す、(空回りしていれど)サービス精神に満ちた映画で、とても嫌いにはなれない......というかレビューを書いているうちにだんだんと愛着が湧いてきてしまう......そんな愛しきクソ映画でした。
こういう映画に出てくる監督か誰かの友達か家族なんだろうなって感じの素人のクソ演技からしか摂れない栄養ってのは確実にあると思います。



しっかし、こんなもんを観に10数人の客が入ってて、なんや綺麗なお姉さんとか小学校低学年くらいの子供連れた家族とかスヌーピーの服着たイケメン(私ですけど)とか色んな層がいたのが1番「ええっ」ですわ。お前らみんな暇か!人生無駄にすんな!