日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、第二次世界大戦......近代の日本が経験した5つの戦争を、歴史学者の加藤先生が5日間に分けて中高生たちに語った講義録。
中高生相手ということで油断していたけど、名門校のしかも歴史研究会のメンバーの子たちが相手らしく、普通に私の知識では全然付いていけなかった......😭
とはいえ学校では教えてもらえなかった戦争というものの裏にある各国の思惑やパワーバランス、その時代の人々の暮らしなどを豊富な資料や図解によって(内容の濃沙のわりに)分かりやすく教えてくれる本で、読んでてめちゃくちゃ面白かったです。
まえがきに「歴史は暗記科目と思われているが、それはテストにいちいち論述問題を出してたら採点が難しいから一問一答形式にせざるを得ないからで、実際には歴史的事象の因果関係を論理的に考える科目で暗記だけの科目ではない」みたいなことが書かれていて、まさに日本史の教科書を丸暗記して何も分かってないのにセンター試験9割取った私としては耳が痛いというか......すんません......という気持ちになった......。
しかし、これはまぁ当たり前っちゃそうだけど目から鱗で、その例として9.11から始まるイラク戦争と日中戦争に共通する戦争の「カタチ」を見出すくだりから(本筋とは関係ないのに)知的好奇心が刺激されて面白かった。というか、こういう本筋とは関係ない(でも意味のある)脱線をしてくれる先生の授業って楽しいよなぁと高校時代とかを思い出してノスタルジってしまった。
講義の内容については私はもうついて行くだけで必死......というのはちょっと見栄の張りすぎで、実際には完全に振り落とされてたので何も言えないけど、「誰々は何々した人」とか「何々事件はこうこうこういう出来事」みたいにそれこそ一問一答形式で覚えていた人や事の知らなかった一面や、意外な繋がりなんかがゴロゴロ出てきて、自分がいかに歴史という教科を上っ面で学んでいたのかを思い知らされてスリリングな読書体験ができました。
一方で、日本人が戦争を選んだ理由みたいなのは歴史上の政治的な判断とかの面で主に語られて、当時の戦争に向かって行く空気感みたいなのはあんまり分からなかったのが、タイトルから勝手に想像してた内容とはちょっと違いました。
しかし、
戦争となれば真っ先に犠牲となるはずの普通の人々が、なぜ、自己と国家を過度に重ね合わせ、戦争に熱狂してしまうのか
という言葉なんかは、だいぶ前の本だけど今の世相を考えてもうんうんと頷ける内容で印象的だった。