偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

群ようこ『トラブルクッキング』感想

かもめ食堂』などでお馴染みの群ようこさんによるお料理エッセイ。
フォロワーのまひろさんにおすすめいただきました。


お馴染み、と言っても実は群さんの作品は読んだことがなく本書が初読みだったんですが、めちゃくちゃ面白かったです。
かもめ食堂』なんてタイトルの小説を書いてるくらいだからてっきり料理上手なのかと思ってましたが、料理下手な著者が色んな料理に挑戦しては撃沈する様を描いた一冊でした。

文体がほのぼのしてて、上品だけど気取らない庶民派なユーモアが魅力。常にニコニコしながら読めて、たまに吹き出しちゃうような感じで、めっちゃ面白いけど爆笑しすぎて疲れるみたいなこともなく、ちょうどよくリラックスして読めるので寝る前とかにオススメの本です。
「今回は失敗しなさそう?」と思ってもほぼ毎回どこかしらで何かやらかすので、「どうやって失敗するのか?」というハウダニットミステリ的な読み方も出来ます。まぁ嘘ですけど、でもそんくらい予想外の失敗があって面白い。

しかし、勧めてくれたまひろさんは「ありえない失敗をするからツッコミながら読んだ」とか言ってたけど、私はどっちかというと著者寄りの料理下手なので、アクロバティックな失敗には笑いつつも、「わかる〜」って共感しながら読みました。

しかし、料理下手とは言っても、出来合いのものを買ってくるのを潔しとせず、近所の魚屋さんで魚を一尾まるっと買ってきたりするファイトが(連載のためとはいえ)すごくて尊敬します。
私なんか夕方6時くらいになってから冷蔵庫を開け始めてあるものに醤油かけて炒めるか味噌汁に全部突っ込むくらいの"料理"しかしてないので、ここんとこ「オムライス」とか「餃子」名前のある品物を作ってない気がします。
そういう自分が手抜いてるのもあるし、著者が嫌だ嫌だと言いながらも頑張ってるのを見てると、なんだかこっちも料理したくなってくるんですよね。
とりあえず私も餃子とかオムライスくらいから作ってみるかな......(本当はスパイスカレーとか作ってみたいけど素人にいきなりハードルが高すぎる)。