偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

えっ?サメ男(2012)

大須シネマのサメ映画フェスで観たやつラスト!

19:30からの上映でしたが、作品の人気なのか仕事帰りの方もいたのか、昼中の上映作品に比べてめちゃくちゃ人が多くてほぼ満席でびびりました。客層も老若男女バラけてて海外の方もいて、ゴミサメ映画好きな人間が名古屋にこんなにいるのか......と暗澹たる気持ちになりました。
しかしみんな盛り上がってて笑い声とかも結構上がったりして、こういうゴミ映画でもみんなで観たら楽しいな......と、なんか映画館に初めて行った人みたいな謎の感動を味わいました。


あらすじは、研究所から逃げ出したサメ男が人をどんどん殺していって、ハンターがそれを狩ろうとするお話。

サメ映画というよりは殺人鬼もののスラッシャーの側面が強く、作中でもモロに出てきているようにジェイソンやレザーフェイスなど歴代の偉大な殺人鬼たちへのオマージュから産まれてしまった産業廃棄物のような作品でした。

しかし冒頭で「この映画はクソ映画に慣れた玄人の方向けです」みたいな前置きをしてから繰り広げられる確信犯(誤用)的なバカバカしさは、とにかくなんかアホなことやって観客を失笑でも良いから笑わせてやろう!という強烈なサービス精神を感じで正直めちゃくちゃ面白かったし好きです。ほぼ全てのカットになにかしらのツッコミどころがありますからね。このアイデアの量と密度は(質を置いておけば)どんなハリウッドの大作でも敵わないと思います。
ネタの種類もエログロを厭わず頭悪い男子小学生がブレインストーミングしたみたいな悪いバリエーションの豊かさがあって最高なんですよね。

そしてまぁなんと言ってもサメ男の可愛さですよ。あの鮫肌っぽく見えなくもない材質がとても絶妙で、モロにレザーフェイスオマージュなチェーンソー持ってせかせか動く動きの可愛さが凄えんすよね。結構普通にハンターにやられるのでむしろ応援したくなってしまうのがいじらしい。
他のキャラたちも見事なまでに心情描写が排されていながらガワのキャラ立ちだけでなんとなく愛着のようなものが湧きそうになってしまうけど湧かないあたりも絶妙。特にビキニ美女は全てが間違いのようなこの作品の中でさえバグのような不可解な存在で、「サメの音だわ!」とサメの音がピンと来ちゃうあたりで吹いた。サメの音ってなんや!!!あーもう、なにもかもめちゃくちゃだよ!!!

しかし、本編ですでにしっちゃかめっちゃかヤリまくった後でエンドロールでNG集が出てくるこの遊び心と最後までなんかしら楽しんでもらおうというサービス精神には泣きました。娯楽映画とはこうあるべきだよ。だって本編自体がオールNGみたいな映画にNG集があるの面白すぎるでしょ。

まぁそんな感じで、ゴミ映画にも良いゴミと悪いゴミ、志の高いゴミと低いゴミがあって、本作は最高のゴミでした!!!