偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

目次(映画)

〈あ行〉
エターナルサンシャイン☆4.3

〈か行〉
キートンの探偵学入門☆4.0
きみに読む物語☆5.0
きみに読む物語☆0
キングスマン☆4.0
キングスマン : ゴールデン・サークル☆3.6
狂い咲きサンダーロード☆4.0
軽蔑☆-

〈さ行〉
サスペリア☆3.6
三月のライオン☆3.8
シェイプ・オブ・ウォーター ☆4.1
シャークネード・シリーズ(1〜5)
スウィート17モンスター☆3.8
スプリット☆3.7
ゾンゲリア☆3.8

〈た行〉
ダンケルク☆4.1
チェイシング・エイミー☆4.0
ドグラ・マグラ☆3.6
トラフィック ☆3.7
トリプルヘッド・ジョーズ ☆3.4
ドント・ブリーズ ☆4.0

〈な行〉

〈は行〉
バッファロー'66☆4.4
HOUSE☆3.8
パラドクス☆3.5
フォロウィング☆4.5
冬の怪談 〜ぼくとワタシとおばあちゃんの物語〜☆0.6
ザ・フライ☆3.7
ベイビー・ドライバー☆5.0

〈ま行〉
マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり☆4.0
ムーンライズ・キングダム

〈や行〉

〈ら行〉
ラースと、その彼女☆3.9
ルチオ・フルチの新デモンズ☆2.8

〈わ行〉

〈その他映画記事〉
失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選
【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介
好きなゾンビコメディ15選
My Favoriteホラー映画10選のリスト〜〜。

目次(小説)

≪あ行≫

飛鳥部勝則
『堕天使拷問刑』

井上夢人
『ダレカガナカニイル』

歌野晶午
『ずっとあなたが好きでした』

浦賀和宏
《安藤直樹シリーズ》
1.『記憶の果て』
2.『時の鳥籠』
3.『頭蓋骨の中の楽園』
4.『とらわれびと』
5.『記号を喰う魔女』
6.『学園祭の悪魔』
7.『透明人間』
《萩原重化学工業シリーズ》
8.『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』
9.『HELL 女王暗殺』
10.???

≪か行≫

楠田匡介
『いつ殺される』

甲賀三郎
『蟇屋敷の殺人』


≪さ行≫

桜木紫乃
『ホテルローヤル』

朱川湊人
『都市伝説セピア』


≪た行≫

太宰治
『人間失格』

多島斗志之
『不思議島』
『追憶列車』

辻村深月
『かがみの孤城』

積木鏡介
『誰かの見た悪夢』

友成純一
『ホラー映画ベスト10殺人事件』


≪な行≫

夏目漱石
『こころ』

七河迦南
『アルバトロスは羽ばたかない』

西澤保彦
『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』
『夏の夜会』
『いつか、ふたりは二匹』

貫井徳郎
『修羅の終わり』※全編ネタバレのみ)


≪は行≫

藤野恵美
『わたしの恋人』『ぼくの嘘』


≪ま行≫

柾木政宗
『NO推理、NO探偵?』

三津田信三
『碆霊の如き祀るもの』

武者小路実篤
『友情』

望月拓海
『毎年、記憶を失う彼女の救い方』

森見登美彦
『ペンギン・ハイウェイ』


≪や行≫

米澤穂信
『真実の10メートル手前』


≪ら行≫

連城三紀彦
『小さな異邦人』


≪わ行≫

山田風太郎
『伊賀忍法帖』


≪海外作家≫

陳浩基
『13・67』


≪アンソロジー

角川ホラー文庫「現代ホラー傑作選」
2.魔法の水


≪その他≫

2017年に読んだ小説ベスト20

目次(音楽・漫画・その他)

〈音楽関連〉
indigo la End
『幸せが溢れたら』
『Crying End Roll』

スピッツ
「エンドロールには早すぎる」
「子グマ!子グマ!」

2017年、私的アルバムランキング!





〈漫画関連〉

駕籠真太郎
『殺殺草紙 大江戸無惨十三苦』
『ブレインダメージ』

加藤元浩
Q.E.D 証明終了』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻
『C.M.B 森羅博物館の事件目録』全巻読破計画
① 1巻〜10巻

アンソロジー
怪談マンガアンソロジー『コミック幽』





〈その他雑文〉
感想を書くときに気をつけていること

ベイビー・ドライバー

まあその時々の気分もありますが、基本的に「一番好きな映画」にはこれを挙げております。

3回観ました。劇場公開時、DVD、そして先日の爆音映画祭での、計3回。一番好きのわりに少ないようですが、同じ映画を2回観ることもほぼない私としては快挙(?)。そしてこれからも何度でも観ると思います。

そんで、今回爆音で観たことでまたこの映画への愛がぐわーっと湧き上がってきたのでブログに書こうと決意したものの......。
好きすぎてもうどう書いていいか分かりません!言葉がエモに追いつかないのです!
仕方がないのでとりあえず記事をネタバレなしとネタバレありの2部構成にすることにしました。
ひとまずちょっと落ち着いて、これからネタバレなしでの紹介をしますね。
で、続くネタバレありのコーナーで、具体的に好きなところとかラストの自分なりの解釈とかをエモに任せてガーッと書いていきたいと思います。


ネタバレなしコーナー!

はい、ではまずネタバレなしコーナーです。

本作のあらすじですが......

主人公の"ベイビー"は、ワケあって強盗グループの"逃がし屋"の仕事をしています。
幼い頃に遭った事故の後遺症である耳鳴りを消すため、常にiPod音楽を聴いている変人ですが、車の運転に関しては誰もが認める天才です。
そんなベイビー、ある時カフェエの女給のデボラというGIRLに出会いをします。そして、彼女のために犯罪組織から足を洗おうと決意して......。

......というお話です。

太字で示したことからお分かりの通り、本作の軸は「音楽」「運転(=アクション)」「恋(および人間ドラマ)」の三本柱です。

私はこの映画を3回見たと書きましたが、この三本柱がまさに、何度見ても楽しめる要素として見事に機能しているからこそ何度も見てしまったのです。
細かくいうと、音楽とアクションは「何度見ても飽きない」要素で、ラブストーリーや人間ドラマは「何度も見ることで深みを増す」要素なのです!
つまりこの映画、何度見ても飽きない上に何度も見ると深みを増す、何度も見るために作られたような映画なのです!何度何度うるさくてすんません!

そこにはきっと自身が映画オタクであるエドガー・ライト監督の、「何度も見てくれるオタクを楽しませよう」という気概が込められているのでしょう。知らんけど。
ちなみに監督のそうしたオタク趣味は、「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホットファズ」「ワールズエンド 酔っ払いが世界を救う」の3部作でも全開です。それぞれホラー・ミステリ・SFにコメディをぶち込んだヘンテコ面白ムービーなので併せてお勧めさせてください!





さて閑話休題
上にあげた三本柱について語っていきます。



まず、本作の特徴は何と言っても音楽とアクションの融合です。
かっこいいアクション映画も選曲がハイセンスな音楽映画もごまんとあるでしょうが、音楽とアクションをここまで見事に融合させたのはこの映画が初めてなのでは?

というのも、この映画では音楽がただのBGMではなく、映像と完全にシンクロしているのです!

例えば、冒頭がエグいです。
車で待機しながら音楽に合わせてハンドルぺちぺちワイパーきゅっきゅっエアギターぎゃんぎゃんエアヴォーカルうわんうわんとはしゃぎまくるベイビーの姿は、そのまま曲のPVのよう。
というか、監督が以前撮ったという何かのミュージックビデオを前見ましたが、ほぼこんな感じでした。
さらにそのままエゲツないド派手なカーチェイスになだれ込み、「Bellbottoms」を一曲まるまる使って観客を音と車の世界に強制連行してくれます。

で、百聞は一見に如かず。冒頭のシーンの動画があったのでそのまま貼っときます。
https://youtu.be/6zuamtyFyKs

でもそれって別に主人公が聴いてる音楽に合わせて動いてるだけだから普通じゃ〜ん、って?
いやいや、たしかにその通りですが、これはまだまだ序の口。
本当に凄いのは、キャラクターの動きだけに限らず、全編に渡って映像と音楽が緻密にシンクロしていることなんです!
歩くテンポ、コーヒーのカップを置く音、車のアクセル、銃声などなど、映画の中で起きるあらゆる物音が音楽に組み込まれているんです。音楽に合わせて体を揺らしながら観ていたのですが、その自分の揺れに合わせて銃声などが鳴り響くという体験はカタルシスでした。

私は映画監督じゃないので実際どうやって撮っているのか知りませんが、絵コンテなりなんなりで秒単位のシミュレーションをしなければこんな映像は作れないです。そんな細かいことをやってのける監督の熱量、これぞオタクの鑑ですよね。

で、音と映像の「合わせ方」が本作の特徴ではありますが、もちろん選曲自体もステキですよ!

私は洋楽はもうダフト・パンクビートルズをちょっとだけ齧った程度で丸っ切り聞かないから、正直この映画に使われている曲で知っている曲はひとつもありませんでした。
しかし、そんな私でもサントラ買うくらいステキなので、洋楽聴かない人こそ観てほしいです!

アクションでラブストーリーなので基調はわくわくするロックときゅんきゅんするバラードが多め。
それぞれの曲について書いていくともはやサントラのアルバムレビューみたいになってしまうので端折りますが、とりあえず「Never, Never Gonna Give Ya Up」と「Brighton Rock」が曲もかかる場面も大好きで何回も聴いちゃってます(推しキャラがバレる二曲ですね)。
https://youtu.be/JXQ-qs5bDkI
https://youtu.be/WOlN2a5jPhM



さて、そんな感じで音楽と映像のかっこよさで何度見ても飽きない本作ですが、上にも書いたように、ストーリーは何度も観ることで深みを増していきます。
こっからはそんなストーリー部分についてネタバレにならない程度にその見所を紹介します。

まず凄いのは、どこまでも映画が好きな人間のツボを突いてくる伏線の置き方と脇役の魅力なんです!

伏線といっても別にミステリじゃないので「怒涛の伏線回収」みたいなものではないのですが......。
前に出てきた事柄やセリフが気持ちいいタイミングで繰り返されたりだとか、主人公がテレビで聞いたセリフを少しずつ使っていくという遊び心など、絶妙にオタク心をくすぐる伏線の置き方がステキです。
そして、それがただの遊びに終わらず、人間ドラマを強調する役割を果たしたり、はたまた本作のテーマ自体を示唆していたりと、非常に有意義な使われ方をしているのがお見事。何度見ても細部に新しい発見があって飽きさせません。

そして、脇役さんたちですよおおぉぉぉ!!!(すみません推しキャラを思い出して興奮しました)

ベイビーの養父のジョー、強盗チームのボスのドク、サイコ野郎のバッツに、ラブラブ犯罪者カップルのバディとダーリンと、とにかく脇役さんたちが濃いんです。
しかも、ただ濃いんじゃなくて、主人公たち2人の恋愛模様の脇で彼らのこれまでの人生についても最低限の描写で仄めかされていることで、それぞれの過去を持つリアルな人間としてその姿が浮かび上がってくるんです。
そして、全員に見せ場がしっかりあるんです。だから見終わった後に、主人公たちの恋模様と共に、あの場面でのあの人カッコよかったな......という脇役さんへの愛着も溢れてくるんですね。
というかぶっちゃけ、私が個人的にイケオジのバディさんが大好きなんです!それだけですすんません!その辺のことはネタバレ感想の方で詳しく書きます。
そしてそして!本作で何と言っても大好きなのがラストの展開なんです!!

伏線や脇役などのいろんなおもしろギミックはあるものの、やっぱりメインは主役の2人ですよ!ほい!

本作のストーリーの軸って、ホントに、主人公のベイビーが好きな女の子のために犯罪稼業から足を洗おうとするって、そんだけのシンプルなお話なんですね。
でも、シンプルなだけにストレートに心を打つんです。そもそもキャラクターが魅力的なので、観ている人はベイビーとデボラの恋路を応援したくなること請け合い。ラストの展開も、某有名映画をアップデートしたもので、古典的ないい話でありつつ今の時代に求められる物語でもあるという......。
あの結末にもう、人生の全てが詰まっているといっても過言ではないと思う気がしなくないこともないんです!
まぁ要は完璧な筋立てなんですよおおぉぉぉ!!!(すみませんラストを思い出して興奮しました)
この辺こそはもうネタバレ感想で詳しく書きますが、とにかくもはや涙しか出ません......。てかそんなラストまでにもすでに4回くらい泣いたんですけどね。デトックスや〜。

というわけで、音楽と映像が完璧に融合したアクション映画にして、恋と人生を完璧に描き出した人間ドラマで、つまるところ完璧な映画です。今まで観た映画で一番好きです!

というわけで、ネタバレありコーナーへ続きます。









ネタバレありコーナー!!

はいそれでは!ここからはネタバレありでラストのことなどを書いていきたいと思います。



まずはいきなりですがラストについて。

この作品、終盤でベイビーが若者たちから車を奪う際に「ボニーとクライドかよ」と言われるように、『俺たちに明日はない』的な逃避行ラブストーリーの様相を途中までは呈すのですが、最終的にはベイビーは自ら投降し、罪を償って再びデボラに会う......という超絶怒涛に感動的なオチになってます。おっと強い主観が混じった......。

で、この流れだと『俺たちに明日はない』のようなラストとか、2人で首都高を走ってる映像でジ・エンドとかでも良さそうな気がするのになんでこうなるのか、というところに、本作のテーマである「愛」と「アイデンティティ」というものがある気がします。

話は遡りますが、そもそもこの映画では序盤から登場人物の本名が一旦伏せられる形をとっています。
強盗チームの人たちがみな通称(コードネーム)で呼び合っているのは犯罪組織だからにしても、養父のジョーも本名ではありますが愛称ですし、ヒロインのデボラも名札を読む場面で一旦「あ、この制服は友達のなの。私はデボラよ」みたいな小芝居が挟まれます。
これはもちろん、気になる女の子の名前を知ることのトキメキでキュンキュンさせる手法であり、分かりやすい通称を付けることでキャラを手っ取り早く立たせる手法でもあると思うのですが、それ以上に名前というものが「アイデンティティ」の象徴として扱われているからだと思われます。
デボラの名前を知るシーンは、彼女の個に初めて触れたということ。「デボラ」の歌を紹介するシーンは彼女に向き合おうとすることではないでしょうか。
そして他のキャラクターたちの本名も、それぞれの見せ場の近くで明かされます。もちろんそれが自然でもあるんですが、それによって彼らが偽名や愛称という記号から、生きた人間になって存在感を増すような感覚があります。
そして、最後の最後までベイビーが「ベイビー」なのは自分がなかったから。だから彼は音楽で耳を塞ぎ、映画の中のセリフで喋っていたのではないでしょうか。そう、映画のセリフを引用するのは、ただの伏線遊びではなく、彼がまだ自分を確立していないことを表していたのですね。こういう分かりやすい暗示も本作の「深いけどエンタメとしてシンプル」という魅力を体現しています。
で、ベイビーの話に戻りますが、そんなアイデンティティのなかった彼が、デボラを危険に巻き込まないために投降するに至って、彼女への「愛」という絶対的に確かな存在証明を手に入れた......そこで、最後の最後になってようやく彼の本名が「マイルズ」であると明かされるのです。いや、知りませんよ?私はそう読んだということです。はい。
つまりそう、この映画は恋が愛に変わり、"ベイビー"が一人の人間に変わるその瞬間を鮮やかに描き出した、とても美しい物語なのです。

そんなわけで泣きましたよラスト。
2回目以降は後の展開を知っているだけに、ベイビーが助手席で目覚めたところでもう泣いて、スピーカーに手を当て(ううっ......)車を止め(うえっ、うえっ、)鍵を(ひっく、ひっく)抜いて投げ捨(うぅ〜〜っ!)てたところでもう涙を呼び出すエモが最高潮に達して水で画面が見えなくなるため、実はラストシーンをまともに見たことがないくらいですよ。



で、まぁラストはそんな感じで号泣ですが、実は今回の3度目の鑑賞では、そこ以外にも泣いた箇所が4つほどあります。多いなおい!

......あ、すいません、ラストの解釈という一番大事なところは書き終えたので、あとはもう徒然なるままに適当に何も考えずにエモを吐き出すだけのゲボみたいな駄文になるので読んでもらわなくても結構です。ただ感情が抑えきれないから書かせてくれ!

で、4つの泣いたシーンの話でしたね。
まず1つは、ベイビーとデボラがダイナーでデートした後の車の中での会話。
「君は僕にとって奇跡なんだ」「ふさわしくない」ってとこ!
私も人に対してふさわしくないような人間なので......などとベイビーちゃんと同一に語るとファンの方に怒られそうですが、常に「ふさわしくない」という気持ちで生きているのでとてもなんかこう、泣いたよ。泣いたよーん。でろりろりーん。

で、ふたつめとみっつめはどっちも養父のジョーにまつわるシーン......というより、そうですね、まずジョーを施設に置いて行くシーンですよね......。純粋に「泣ける」という意味ではもうここしかないですよね。 はじっこまで、グッドラック、はぁ......。
で、そうなることを知ってから観たもんですから、今回はなんとジョーがベイビーを心配してピザ屋の仕事を紹介するシーンすら泣きました。もう完全なとばっちりですが(?)、ジョーが出て来るだけで涙腺が緩む身体になってしまったのです。どうしよう、こんなんじゃお嫁に行けないよぉ......😢

で、最後の1つですが、これがねぇ、私の推しキャラのバディさんのシーンですよ。そう、ダーリンを失ったバディさんがデボラの店で拳銃を持って待っているところ。「Never,Never Gonna Give Ya Up」という名曲のおかげもあるでしょうが、「いい女だった」「愛していた」と語るバディの喪失と狂気に悲しいやら怖いやらでどっちなのか分からない涙が溢れました。
一応アクション的に見るとこの人はラスボスなんでしょうけど、バディとダーリンが2人で経験してきたことをここまでに上手いこと想像させてくれていたから、彼の喪失感が痛いほど伝わってきてなんかもう彼とベイビーが戦うこと自体がつらいと思いつつブライトン・ロック最高Yeeeeeah!!!というエモの空回りのようなクライマックスも含めて、やっぱバディさん好きですわ......。
彼はきっとラストで投降しなかったベイビーの行き着く先の姿なのでしょう。ラストバトルはいわば、バディの過去と、ベイビーの未来との戦いなのです。

あ、ちなみにゲヴィン・スペイシーことドクの最期もなかなか感動です!じゃあなんで「ウェートレスの彼女かわええやん大事にしろよ〜(脅)」とか言ったんやひどいやんとかは思うものの、甥っ子の面倒を見てたり案外優しい人だったのかもとも思ったりして。本作に続編は絶対いらないけどドクのスピンオフとかなら観たいなと思ってしまいました。まぁゲヴィンスペイシーがどうなるのか分からんしアレだけど......。



はい、まぁそんな感じで、何回見てもアガって泣ける良い映画なんですよこれ......。
まだまだ細かいところで書きたいことがなくもないけど疲れたし収拾つかなくなってきたのでこの辺で打ち切ります。一回しか見てない人はとりあえずもっかい見てみてください!
じゃ、ばいちゃ!

桜木紫乃『ホテルローヤル』読書感想文

北海道東部にある『ホテルローヤル』というラブホテルに関わった人たちの人生を切り取った連作短編集です。

直木賞を受賞した際に話題になりましたが、著者本人の実家がそのまま「ホテルローヤル」という名前のラブホテルで、そういう家に生まれた人が、ラブホテルを舞台にどんな物語を書くのか......と気になったので読んでみました。


ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)



まず構成が変わっていて、第1話で廃業して廃墟と化した「ホテルローヤル」が登場し、そこから時系列が戻っていく形式になっています。
作品全体に共通して切なさや虚しさが強く漂っている本書ですが、終わりから始まる構成がそんな切なさ虚しさをより強めているように感じました。

また、ラブホテルが舞台ということでセックスについてが一つのテーマにはなっていて、特にセックスにまつわる虚しさや後ろめたさが強調されています。恋愛の後に来る体の繋がり......とでもいったような。それが北海道の片田舎の寂れた風景と相俟って、寂寥感もまた濃密です。
しかし、セックスよりもむしろ、社会の真ん中より少し外れたところにいるような人の「生活」というのが本書の大きなテーマになっています。解説にもありますが、金銭についての描写の細かさなどが、普通より少し下の人たちの日々をリアルに切り取っています。

そうした虚しさ、寂しさ、貧しさを描いて胸が苦しくなるような作品ですが、淡々としていながらもそんな人たちへの優しさも垣間見える描き方のおかげで、読後感はそう悪いものではありません。
各話で、また本書全体でもそんな繊細微妙な余韻を味わえるいい短編集でした。

それでは以下各話の感想を少しずつ......。





「シャッターチャンス」

廃墟となったラブホテルでヌード写真の撮影をしようと言い出す恋人と、それに付き合わされる主人公のお話。


この第1話の時点ではホテルローヤルはもう廃業していて、営業時のローヤルが出てくるこれ以降のお話とは少し雰囲気が違いますが、それでも愛の不毛(?)と生活という2大テーマを端的に描いている点では第1話に相応しいお話だと思います。

主人公は地元のローカルなスーパーで働く、もう若いとは言えない年頃の女性。「恋愛に対して無駄な夢をみなくなった」彼女が、しかし「俺、もう一回夢を見たいんだ」などと言う男に惹かれてしまうのが痛いくらいリアルな感じがしますね。
そんな彼らが廃墟でのヌード撮影を通して"ズレていく"様が、これまた徹頭徹尾リアルに描かれていて、その一文一文にぐわーやめれー!と内臓が口から出てきそうなエグさがあります。
そして、"ズレ"の物語の着地点をここに持ってくるのもリアルで内臓が口から出ました。
もはや「男」という存在自体が悲しくなりますね。女に生まれたかったよ俺は。

ちなみに廃墟でヌードというジャンルを初めて知ったのですが、検索してみてまた切ない気持ちになりました。





「本日開店」

経営難の寺の住職の妻である主人公は、布施を集める名目で檀家の男たちへ"奉仕"をしていた。ある日、父親の後を継いで檀家総代となった男を同じようにホテルに呼び出すが......というお話。


設定がとても古風な官能小説風でびっくりします。お布施のためにご奉仕......。いつの時代だよ......。
しかし、もちろんただの官能小説にはならず、複雑すぎて私みたいな若僧には理解しきれない心理描写、そして生々しいリアリティに圧倒されました。
ホテルローヤルの絡み方も、当然こうだろうというところをちょっとハズしてきてて面白いですね。





「えっち屋」

ホテルローヤル」を廃業することにした創業者の娘が、使われなかった"大人の玩具"を返品するためにアダルトグッズ会社の営業の男・通称"えっち屋"を呼び出すお話。


"えっち屋"という通り名に反して生真面目に過ぎる宮川という男のキャラクターがまずは魅力的です。「仕事ですから」「自分不器用ですから」みたいな。萌えますね。私も好きになっちゃいそう......。
そんな彼が淡々と職業柄の奥さんとのギクシャクエピソードを語るのでなんとも不思議な切なさがあります。
そして、クライマックス(?)のシーンの儚さもまた性的嗜好に刺さりましたが、そこから本書の中ではかなり良いあと味のラストでの、久しぶりに青空を見たような少し眩しくて切ない爽やかさが心地よいです。





「バブルバス」

家族で法事に参加するはずが、頼んでいた住職がすっぽかした。浮いた布施の5000円で、妻は夫をホテルに誘う......というお話。


大きな子供もいる夫婦が、久しぶりに人目を憚らずにするためにラブホテルに行く、それだけのお話ですが、本書で最も生活の生々しさが出た一編です。
ギリギリでなんとか保っている「普通」の生活のリアルが、5000円という金額への感慨や赤裸々な給料と家計の描写からヒリヒリと伝わってきます。
バブルバスというモチーフが、そんな日常からふと離れた泡のような時間を見事に象徴しています。そして最後の主人公のセリフが続いていく日常に対するちょっとした救いになっていて、これだけの話なのに印象的でした。





「せんせえ」

高校教師の男は、妻が結婚前から別の男と付き合っていたことを知ってしまう。しかも、その相手は自分に妻を紹介してくれた恩人の校長先生で......。絶望しながらも帰宅しようとする彼に、「せんせえ」と頭の悪そうな声をかけて来る女生徒が付きまとい......というお話。


これですよ!!この本で一番好きな話を選ぶならもう間違いなく段違いにこれ......。
不倫もので、先生と生徒ものという、本書の中でちょっと浮いてるマンガみたいな設定の物語ではあるのですが......。しかし、その分分かりやすいえげつなさに満ちていて泣きました。泣きます。泣きました。😭。
私なんかそもそも恋愛経験が少ないから失恋経験も少ないのでアレですが、この主人公の圧倒的つらみ体験を読むと過去の失恋の思い出が増幅されて襲って来るような読み心地でTSU・RA・I !!!なんでこんな酷いことを思いつくんだ!作者は人の心がないのではないか!
......はぁ。で、読んでるうちはこの2人の関係性にけっこう萌えたりもするわけですよ。特に女の子が一瞬女になるシーンにはドキッとさせられたりもするわけですよ。
しかしだ!!!(一応→)
ホテルローヤルが出てこないことに違和感を持ってよく考えると、この2人はホテルローヤルの3号室で心中した教師と高校生なんですよね!!!読者にだけこれが分かるようになっているのが上手いですけど、つらい!!!
これ、普通にこの短編だけを読んでいたら、「孤独な2人が手を取り合ってこれから生きていくんだろうな」という読み方が読者の人情として自然だと思うんですよね。......それが短編集の中では正反対になるというサディスティックなギミックがしんどいです。
丸っ切り救いのない話ですが、せめて孤独に野垂れ死ぬのではなく2人でいられたことを良しとする以外にちょっと気持ちのやり場がないですよね。あーつらい。





「星を見ていた」

ホテルローヤルで部屋の掃除のパートをする初老の女性のお話。


若い2人の話から一転、ラブホの掃除のおばちゃんが主人公。
一生脚光を浴びることなく、頑張っているという自覚もないまま懸命に淡々と生きている人間の人生を掬い上げる、切なくも優しさに満ちたお話です。
60歳のおばちゃんが、いつでも母親に昔言われたことを指針に生きているというそれだけで胸に迫るものがありますし、長い人生経験で彼女が正しいと実感する母の教えの説得力もすごくて、特に捻った感想もなく、ただ出てくる人と言葉が愛おしいお話でした。





「ギフト」

愛人を連れて「ホテルローヤル」を創業しようとする、創業者・田中大吉のお話。


最終話のここに来てようやく登場しました、ホテルローヤル創業者の田中大吉氏。
廃業後からローヤルの歴史を遡って来た本書ですが、最終話=最初の物語はホテルローヤルがまさに今から創られる時のお話です。
主人公がとにかく昔ながらの馬鹿な男で、ロマンだけを追いかけて大きな夢を見たり、不倫しておいて家族も不倫相手も背負った気になったりと、なんとも嫌いなタイプの人間なのですが、それは私にはないものへの反発ということもあるでしょう。ただ団子屋の娘が可愛いから不倫をし、ただ夢を見たいからラブホテルを建てようとする、そんな彼のある種の純粋さ。それがあるから、馬鹿だなクズだなと思いながらも気付けば応援したくなってしまう......彼にはそんな主人公気質があると思います。ホテル命名の由来となった"あるもの"の場面では不覚にもジーンときたり......。

......しかし、読者はその後の成り行きを全て知っているから、「えっち屋」や「本日開店」を思い出してなんとも切なくなる。しかし、ここで「本日開店」という言葉が効いてきて、まぁ人生そんなもんか、という、案外悪くない余韻に浸ることができました。それもこれも、やはり本書に通底する、「日陰者を物語として掬い上げて描くこと自体の優しさ」によるものでしょう。

読み終わってしばらくしてからも、あの人やあの人やあの人......登場人物たちのことをふと思い出してしまうような、そんな良い小説でした。

多島斗志之『追憶列車』読書感想文

というわけで、こないだ『不思議島』を読んでそのまま連チャンで多島斗志之作品を。
長編の後は短編でも......と思い、短編集の本作をチョイスしてみました。

ちなみに本作は単行本の収録作から2本ほど差し替えられているらしく、機会があれば単行本の方も読んでみたいと思います。

追憶列車 (角川文庫)

追憶列車 (角川文庫)


5編の短編が収録されていますが、全体にミステリー要素は味付け程度で、ストーリー性重視の短編集になっています。
1話目が現代もの、そこからどんどん時を遡っていくかのように舞台が時代がかってきて、最終話は明治維新後のお話になっています。この収録順もおそらく意図的なものと思いますが、どんどん物語の深淵に迷い込んで行くような感覚があります。と同時に、どの話も人間の複雑な心理を描いているので、いつの時代も人の心は難しく遣る瀬無い......という感慨も、一冊読み終えた時に湧いてきました。

以下各話の感想をちょっとずつ。





マリア観音

幼い娘を家に置いたまま遅くまで出かけていた美佐子。帰宅し、何をしていたか問い詰める夫に、彼女は語る。娘の持ち物が消えること、"あの女"のこと。そして......。


冒頭、遅く帰った妻が夫に叱責されるくだりまでは「ははーん、不倫ものだな」と早合点してしまいますが、そこからいきなりのストーカーサスペンスへ、さらに場所探しミステリーからの思わぬ展開へと、ジャンルがことことと変わっていくのが楽しいです。
また、前読んだ『不思議島』と同じで、本作に出る地名やマリア観音のある寺も全て実在のものなので、美佐子のちょっとした旅の長さを思ったり、実際のマリア観音の写真を見て感慨にふけったりと、インターネット併用で旅情ものにもなる味わい深い作品です。
ラストは人の心の複雑さを見事に描き出していて、深い余韻が残りました。(ネタバレ→)「どんな人間も死んだら仏」という言い方をしますがまさにそれがテーマで、お寺巡りのゆるやかな仏教的雰囲気に合った見事な幕引きです。





「預け物」

娘たちの態度の悪さに悩む普通の主婦・京子は、大事な預け物をしていた友人の照江が急死したことを知る。預け物を取り戻そうとする京子だが、それは様々な人の手を転々としていて......。


一転してややコミカルなユーモアミステリーという感じ、そして、預け物が見つからず変な人巡りをする羽目になる展開は「世にも奇妙な物語」っぽさもあります。
正直、なかなか嫌な感じの人間ばかり出てきて、ユーモアミステリーとしてはそんなに笑えないです。結局のところの預け物の正体も、たぶん誰もがまず考えるであろう可能性をそのままやっているので、意外性はなかったですね。
ただ、嫌な奴ばっか出てくるからこそ、とある場面ではスカッとして面白いし、いきなりバカバカしい話になるラストのいい意味でのとほほ感、しょーもなさ、それでいてちょっといい話だったり「ちゃんちゃん」と効果音が付きそうな最後の一文だったりなかなか味わい深い部分も多くて嫌いになれない不思議なお話でした。





「追憶列車」

『離愁』を観た淳一郎は、50年前の第二次大戦終期に、パリからベルリンへと逃げる列車の中で出会った明実という少女を思い出す。


私は一応映画ファンを公言していますが『離愁』を観たことがないのでこの話がどれくらいあの映画を踏まえているのか分からず悔しい思いをしました。←
それはともかく、戦時中という時代におけるボーイ・ミーツ・ガールという、どうにも悲しくなる予感しかしない設定で既にしんどいです。
さて、内容ですが、とりあえず男の子と女の子が魅力的です。時代背景はなかなかややこしいものの、話の軸はこの2人の交流なので、彼らが魅力的ならそれでいいのです。2人とも、変にキャラ立ちしすぎず、しかし1個しか違わないのに未知の世界にいる感を出してくるお姉さんとちょっと反発しながらも惹かれてしまう少年というオタク心を揺さぶる2人の関係性がいいですね。女の子ってのはミステリアスでオトナチックなものですね。私なんかもうおじさんだけど未だに高校生以上の女の子はみんな年上に見えますからね。
で、そんな2人の恋が行き着く終着点がなかなかで、青春こじらせマンとしてはなかなかでした。ネタバレ回避のためにぼかしています。
ただ、惜しむらくは短編の分量のためかなり駆け足なところ。もうちょいじっくり読みたかった。とはいえ、唐突な終わり方はフランス映画みたいでおそらく狙ったものでしょうけど......それにしても......。





「虜囚の寺」

日露戦争下、ロシアの俘虜の収容所。所長の大野久庵は、虜囚のセルビンが脱獄を企ててる気配を察知する。一方、13歳の少女おみつは、姉のおきぬが俘虜のロシア人と親しくするのを心配し......。


戦争中に敵国の虜囚を収容していた町......という舞台設定が魅力的です。外出許可を得て町をうろつく見慣れる大きな外国人たちに恐れを抱く少女と、彼らと親しくするその姉。そしてお互いに認め合いながらも対立する立場の収容所長とロシアの陸軍士官の4人を主役に据えた短い割に読みどころの多いドラマです。
脱獄ものミステリーの要素もあるにはあるのですが、そちらは大方の予想通りの展開でいまいち頭脳戦としての面白みに欠けるのは残念でした。しかし細かい小道具の使い方や、逃走を悟る場面の演出は面白かったです。
また、クライマックスのシーンのなんとも言えない良さが印象的でしたね。はい。





「お蝶ごろし」

元芸者のお綱は、清水次郎長の3人目の妻となる。亡くなった先代の妻の名を継いで"二代目お蝶"となった彼女。しかし、ある日芸者時代の恋人・新之助の同志と再会したことで、新之助の消息が心配になり、次郎長には内緒で新之助の行方を探し始め......。


「追憶列車」「虜囚の寺」も時代ものでしたが、こちらは実在の清水次郎長と二代目お蝶という人物を主役に据えたフィクションになっています。最初に史実における結末が語られ、本編でそこへ向かう過程がフィクションとして描かれ、「どうやってあの結末に至るのか?」という一種の倒叙のような面白さがありました。
で、本編に関しては、次郎長の妻「お蝶」が、過去の恋人が大変な目にあっていると知って芸者の「お綱」だった頃に気持ちが戻ろうとするんですね。この過去と現在のバランスがどんどん過去へ向いて行ってしまうのにハラハラさせられます。また、そんな風に終盤まで主人公はお蝶さんなのですが、結末に至って彼女の周りのキャラクターたちの姿が一気に印象を増して読後感は群像劇のようですらありました。あらかじめ主人公が死ぬことは分かってはいながら、こうした予想外の余韻が残るのには驚かされましたね。
本書収録の他の短編は全体に短すぎてちょっと物足りないところがありましたが、このお話は中編並みの分量だったので満足感も強いですね。やっぱ表題作もこんくらい長けりゃ......。

ムーンライズ・キングダム


製作年:2012年
監督:ウェス・アンダーソン
出演: ジャレット・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブルース・ウィリスエドワード・ノートンビル・マーレイフランシス・マクドーマンド

☆3.7点

〈あらすじ〉
60sのとある島。幼い恋人のサムとスージーは駆け落ちをし、ボーイスカウトの仲間や大人たちが彼らを追う。



わかりやすくもエモいストーリーと、ウェス・アンダーソンな映像が魅力的な映画です。アンダーソン版『小さな恋のメロディ』と言われていますが、見てみるとまさにそんな感じ。



駆け落ち。
男子なら必ず100万回は妄想する、好きな女の子との駆け落ち。実際にしたことがなくても、全ての男の中に駆け落ちの記憶はたしかにあるはずです。私も14歳の頃に始めて駆け落ちをしました。それから今に至るまで、私の人生は全て駆け落ちの連続であったと言えるでしょう。
とにかく、本作はそんな妄想人類諸君には堪らない美しい映画です。

主人公のサムくんは孤児で、周りの友達がみんなアホに見えるタイプの男の子。
だいたい、男子というものは、"心の闇"とか"業 −カルマ–"といったものを欲しがります。しかしあまりに闇が深すぎるのはしんどい。そこで、不謹慎な言い方ですが、養父母はいて生活に不自由はないけど孤児、くらいの主人公はちょうどよく自己投影できる存在であるわけです。こういうオタク心のくすぐり方はさすがにうまいですよね。

一方ヒロインのスージーちゃんもなんだか男子の妄想を具現化したような可愛さがあります。クールビューティーなんだけどけっこうな変人で、エロい。完璧じゃないですか!アンダーソン様、この子を作ったのは正解だね。

そんな理想のカップルである2人の間の独特の空気感がすごく良かったです。
子供らしい可笑しさをベースにしつつ、誰も触れない二人だけの国を目指す決意の壮絶さ、厭世的な気分を共有する甘美さ、一緒に冒険するワクワク、はじめて性に触れる背徳、どこかで無理だと分かっているような切なさ、、、などといったシリアスを上乗せすることで、「こんなに真剣なのに笑っていいのだろうか」という笑いがある。こういう絶妙の気の抜き方が『小さな恋のメロディ』の清澄な空気感とはまた違う無二の心地よさを演出しています。
そんな可笑しみと愛しさと切なさと心強さと泪と男と女とが画面から私の部屋まで溶け出してきそうになる、「ムーンライズキングダム」でのシーンは、タイトルとして掲げるに相応しい名場面だと思いますおっぱい。


私としては2人の関係だけでお腹いっぱいでしたが、脇役の魅力もそのまま本作の大きな魅力になっていると思います。
スカウトの他の子たちの唐突な手の平くる〜〜は、この映画の中でも一番笑ったかも。まじかよお前ら、とびっくり。
そして、子供がメインの映画だからこそ、脇を固める大人たちの魅力も重要になってきます。本作にはなんとブルース・ウィリスエドワード・ノートンビル・マーレイフランシス・マクドーマンドといった映画初心者の私でも名前を知っているような超有名俳優たちが出てるんです。
彼らがそれぞれ脇に徹しながらも強烈な個性を出してくるので、そのへんも面白かったですね。大人たちの方がむしろ子供っぽいというか。大人びた子供vs子供じみた大人、みたいな?そういう点では私のような見た目は大人、頭脳は子供の精神的ボーイズ&ガールズには身につまされる映画でもありました。
でも最後のブルースさんの安心感はやっぱり大人!かっこいい!


まぁそんなこんなで、ヒステリックだがストイック、ヒロイック、ファンタジックでロマンチックな絵本的最強青春夏休み的神話でした。長めの感想書いて疲れてきたのか適当なこと言ってますけど、まぁ妄想人類は見てくれ!