偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

目次(映画)

〈あ行〉
エターナルサンシャイン☆4.3

〈か行〉
キートンの探偵学入門☆4.0
きみに読む物語☆5.0
きみに読む物語☆0
キングスマン☆4.0
狂い咲きサンダーロード☆4.0
軽蔑☆-

〈さ行〉
サスペリア☆3.6
三月のライオン☆3.8
シェイプ・オブ・ウォーター ☆4.1
シャークネード・シリーズ(1〜5)
スウィート17モンスター☆3.8
スプリット☆3.7
ゾンゲリア☆3.8

〈た行〉
ダンケルク☆4.1
チェイシング・エイミー☆4.0
ドグラ・マグラ☆3.6
トラフィック ☆3.7
トリプルヘッド・ジョーズ ☆3.4

〈な行〉

〈は行〉
HOUSE☆3.8
パラドクス☆3.5
フォロウィング☆4.5
冬の怪談 〜ぼくとワタシとおばあちゃんの物語〜☆0.6

〈ま行〉
マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり☆4.0

〈や行〉

〈ら行〉
ラースと、その彼女☆3.9
ルチオ・フルチの新デモンズ☆2.8

〈わ行〉

〈その他映画記事〉
失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選
【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介
好きなゾンビコメディ15選
My Favoriteホラー映画10選のリスト〜〜。

目次(小説)

≪あ行≫

飛鳥部勝則
『堕天使拷問刑』

井上夢人
『ダレカガナカニイル』

歌野晶午
『ずっとあなたが好きでした』


≪か行≫

楠田匡介
『いつ殺される』

甲賀三郎
『蟇屋敷の殺人』


≪さ行≫

朱川湊人
『都市伝説セピア』


≪た行≫

太宰治
『人間失格』
積木鏡介
『誰かの見た悪夢』


≪な行≫

夏目漱石
『こころ』

七河迦南
『アルバトロスは羽ばたかない』

西澤保彦
『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』
『夏の夜会』
『いつか、ふたりは二匹』

貫井徳郎
『修羅の終わり』※全編ネタバレのみ)


≪は行≫

藤野恵美
『わたしの恋人』『ぼくの嘘』


≪ま行≫

柾木政宗
『NO推理、NO探偵?』

望月拓海
『毎年、記憶を失う彼女の救い方』


≪や行≫


≪ら行≫

連城三紀彦
『小さな異邦人』


≪わ行≫

山田風太郎
『伊賀忍法帖』


≪海外作家≫

陳浩基
『13・67』





≪その他≫

2017年に読んだ小説ベスト20

目次(音楽・漫画・その他)

〈音楽関連〉
indigo la End『幸せが溢れたら』
indigo la End『Crying End Roll』

スピッツ「エンドロールには早すぎる」
スピッツ「子グマ!子グマ!」

2017年、私的アルバムランキング!



〈漫画関連〉
駕籠真太郎
『殺殺草紙 大江戸無惨十三苦』
『ブレインダメージ』


加藤元浩
Q.E.D 証明終了』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻
『C.M.B 森羅博物館の事件目録』全巻読破計画
① 1巻〜10巻

My Favorite ホラー映画10選のリスト〜。

こんにちは。突然ですが今日から私の極私的偏愛ホラー映画10選を紹介していくぜ!

というのも、先日、友成純一の『ホラー映画ベスト10殺人事件』を読んだので、感化されて私もホラー映画ベスト10を作ろう!と思い立った......はいいものの、ホラーにも色々あってランキングなんかは到底無理だと思ったので、偏愛作品10選という形にした次第。
まぁ、あと、もうブログはじめて1年なのでなんかしら記念ぽいことやりたいなぁというロマンチック精神を発揮しました。スミマセン。
そんなこんなで色んなサブジャンルの映画が集まりました。とりあえず今回はリストと一言紹介だけ。詳しい感想は後から個々に載せたり載せなかったりします(本当はまとめようと思ったけど長くなってしまうので......)。

特に関連性も何もない「私が好き!」だけのリストですが、どれも傑作であることだけは断言いたしますので何かの参考になれば嬉しいです。


1.ドント・ブリーズ

最近の老人が怖い系ホラーブームの発端にして、物理的な怖さと心理的な怖さが両立された傑作!

2.新感染 ファイナルエクスプレス

新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]

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韓国ゾンビ!そして、密室ゾンビ!さらにヒューマンドラマゾンビ!な超ゾンビ映画

3.ブレイン・デッド

ブレインデッド [DVD]

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血糊の量はギネスブック級!人体破壊のパターンを網羅しグロすぎてもはや笑える怪作......。

4.ゾンゲリア

ゾンゲリア [Blu-ray]

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タイトルからB級クソ映画と侮るなかれ、ミステリー仕立てで哲学的な内容にまで踏み込む深みのある脚本はA級!

5.フェノミナ

美少女虐待万歳!ましてや世界一の美少女を苛め抜くときたら......。

6.ハイテンション

ハイテンション [DVD]

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「ウェーイ!」......ではなく「超絶緊張!」のHigh Tension!人生で一番ハラハラした映画です。

7.輪廻

あんまり見ない和ホラーからは、サイコサスペンス味の濃いこちらを。優香さん綺麗。

8.ファウンド

ホラー映画を題材にした異色暗い青春ムービー。根暗で陰キャラのホラーファンよ、観ろ。

9.ルビー・スパークス

ホラー映画じゃないですラブコメですスミマセン。でもクライマックスは今まで観た映画で一番怖かったんだ......。

10.シックス・センス

手垢が付いた?いやいや、この映画の凄さは演出とストーリーです。そしてシャマランは一発屋じゃなーい!




というわけで、リストは以上。これから各作品の感想をゆる〜〜く書いていくので誰も読んでないだろうけどもし読んでる人いたら楽しみにはせずに待っててね。

山田風太郎『伊賀忍法帖』読書感想文

風忍法帖!Yeah!

タイトルからなんとなく『甲賀忍法帖』を連想しますが、もちろん忍法帖は全て単独の作品であり、本書も『甲賀』の姉妹編や続編ではない独立した作品です。
ただ、『甲賀』と比較して、分量は同じくらいなのに内容は好対照を成しているので、そういう意味では併せて読むと面白い二冊ではあると思います。



戦国の世。武将の松永弾正は、主君の妻への歪んだ欲望を叶えるため、魔術師・果心居士とその弟子である七人の忍法僧の力を借り、「淫石」と呼ばれる媚薬を作ろうとする。
「淫石」を作るには大量の女の愛液......それも絶世の美女のもの......が必要となる......。
ーーー「淫石」を作るため、妻を犯されて殺された若き伊賀忍者の笛吹城太郎は、妻の死霊の言葉に従い、超人的な能力を持つ忍法僧らと松永弾正への復讐を誓うが......。



甲賀』が十人vs十人のド派手な忍法バトルだったのに比べて、本作は一人の男が七人の異能に挑むという、やや地味でありながら主人公に感情移入しやすいお話でした。

地味......というのは敵キャラの一人一人の描き分けが(能力以外には)されていないことや、その能力にしても使い方が普通で意外性が少ないことが主な原因に思われます。
なんせ、読み終わってから敵のキャラ名や忍法の名前/能力をほとんど覚えてないからやっぱりその辺印象薄かったんでしょう。
逆に、それ以外の部分は、恐ろしい製法の媚薬"淫石"、戦国のメフィストフェレス"果心居士"、首と胴が別々の継ぎ接ぎ女、大仏炎上などなど、おどろおどろしくいかがわしいギミックが満載でやっぱり地味とは言い難い小説ではあると思います。
ただ、忍法バトル部分に期待して読むと、「やや地味」という感想を持ってしまうので、これから読む方はぜひバトルよりも物語への期待を持って読んでいただくといいかと思います。


で、そのストーリーの方は非常によく出来ていると思います。
主人公・城太郎の復讐が本物語全体を貫いていることで本筋はシンプル。
一方、そこに城太郎を助ける謎の軍団や、右京大夫の想い、そして黒幕・果心居士の存在などが脇筋として複雑に絡んでくることで、単調になるのは避けています。
結果、分かりやすい本筋という強力な牽引力に加え、細かい脇の部分の「これはどういうことなの?」「この人はどうなっちゃうの?」というフックが効いて一気に読まされるエンタメ小説になってます。
また、特に凄いのがラスト。史実に沿わせると物語としてスッキリしなくなりそうなところを、無理筋ではなく見事に両立させる手腕はさすが時代小説とミステリの大家・山田風太郎です。この人の小説はいつもめちゃくちゃやっといて幕引きがとても綺麗だから好きです。


というわけで、派手な忍法バトルは控えめですが、その分お話作りの上手さが際立った作品で、個人的には『甲賀忍法帖』みたいなはっちゃけ方のが好みですが、とはいえ情念に塗れた死闘の果てにある静かな余韻に浸れる美しい傑作でした。

甲賀三郎『蟇屋敷の殺人』読書感想文

KAWADEノスタルジック怪奇・探偵・幻想シリーズ。

甲賀三郎昭和13年に発表した長編本格探偵小説です。この年は戦時下の探偵小説自粛ムードがはじまる前年で、戦前の長編本格ミステリとしては最後に近いものだろうと思われます。
しかし内容はおどろおどろしく、戦争の影を感じさせない見事な娯楽作になっています。


蟇屋敷の殺人 (河出文庫)

蟇屋敷の殺人 (河出文庫)


路上に停められた車の中から首を切断された男に遺体が発見された。男は実業家の熊丸猛と思われたが、事件が発表されると本物の熊丸猛と名乗る男が署に乗り込んで来る。警察は男を怪しむが、彼には犯行時に立派なアリバイがあった。
探偵作家の村橋は、ひょんなことからこの事件に関わりを持つが、その過程で初恋の女性・松島あい子と再会し......。



理知的で科学的な本格探偵小説を提唱した作者なので、科学知識とガチガチのロジックを駆使した本格ミステリなのかと思いきや、意外にもおどろおどろしいギミック満載。トリックやロジックよりも、二転三転するプロットの面白さと読みやすさを追求したエンタメ作品でした。

まず、冒頭の凄惨な首切り事件が発見される描写からして、強く「俺は今探偵小説を読んでいる」という気持ちにさせてくれます。
そして、その後登場する主人公の村橋と、あい子と麻里子という2人のヒロイン、そして悪役の熊丸氏のキャラ造形が魅力的です。
なんせ恋愛こじらせ野郎なので、村橋という情けない小説家先生が両思いと思っていた年下の女の子・あい子ちゃんに拒絶される回想のシーンで、既に村橋先生に感情移入して「やっぱ女ってわけわかんねえ!」とか思っちゃいますよね。
一方、麻里子お姉様の奔放な感じには不快感に近いものを感じながらも、それとは逆にこの人に弄ばれてみたいという気持ちにもさせられます。
また、敵役の熊丸氏は、めちゃくちゃ怪しくてムカつく感じで、登場した瞬間からとても嫌いになれてしまう、良い悪役でした。

この辺のある種類型的ですらあるキャラ作りの上手さでガシッと掴まれてしまった時点で作者の術中ですね。


そして、それからの展開のスピード感が凄いです。
首切り殺人が起こるとミステリファンはどうしてもそれがメインになるのかと思っちゃいますが、本作における首切り殺人は冒険への入り口に過ぎないのです。そこからはじまる、恋した女性のために熊丸という怪しい男のことを調べる主人公が次々と怪事件に襲われるのがこの作品の見どころです。
また物語の舞台にしても、タイトルからてっきりガッツリ館ものかと思っていたら、蟇屋敷の外のシーンの方が多いくらいで移り変わりが激しいです。カフェエに連れ出すシーンや怪しいお寺のシーンなど、戦前レトロな探偵小説のいかがわしい雰囲気満点で印象的でしたね。

本作の面白さはこのような展開の移り変わりの激しさにあります。ではミステリとしてはどうかというと......。真相は正直なところ「え、それかーい!」というものですし、蟇屋敷の蟇の秘密は「え、そうだと思った!」という感じで、現在、ミステリとして読むと古臭くありきたりなものに思えます。
ただ、それでも犯人側が仕掛けるトリックの量はなかなかのもので、斬新な意外性こそないものの、ミステリとしても十分に楽しめる作品だと思います。

全体の印象としては、エンタメ方向に振り切っていて、読みやすさやヒロインのキャラ造形も含めて、ミステリというよりもサスペンス仕立てのライト文芸と言えそうな作品でした。
なので、戦前の探偵小説ファン垂涎なのはもちろん、イマドキのキャラノベとかが好きな人にも(手にとってさえもらえれば)受け入れられるんじゃないかと思います。

結論を言うと、カズレーザーさん、この小説をアメトーークで紹介してください!

西澤保彦『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』読書感想文

森奈津子シリーズ。
祥伝社文庫の中編「なつこ、孤島に囚われ。」、徳間文庫の短編集『キス』を一冊にまとめた再文庫化作品です。

内容としてはSF×ミステリ×エロスということですが、前半はコメディタッチ、後半はやや真面目な雰囲気と一冊の中で作風が大きく変わるのが面白かったです。
あとがきを読むと分かるようにテーマはかなり作者の内面が反映されたもののようです。そういう作品に対してよく「作者のマスターベーション」という表現がされますが、その点本書は作中の言葉を借りれば「良いオナニー」だったと思います。なんせ他人のオナニーを見る機会なんてそうそうないですからね。貴重な読書体験ですよ。

ただ、ラストの意味はよく分からなかったので、もし分かる方がいたら教えてほしいです......。



「なつこ、孤島に囚われ。」


エロ百合作家・森奈津子(※実在の人物です)は突然誘拐され孤島に置き去りにされる。意外にも島での暮らしは快適で、小説を書き妄想に耽りながらのんびりゆったり過ごす奈津子だったが、ある日隣の島で殺人事件が起き......。

これだけ以前の祥伝社版で読んだのでうろ覚えですが......。
中編であることもあり、内輪ネタ(主人公以外に牧野修倉阪鬼一郎なども登場!)とエロ百合ネタがメインのお遊びみたいな小説です。
しかし、うんうん頷かされる論理展開と、「1時間で読める中編ならギリギリ許せる」くらいの絶妙なバカ真相は(怒る人も多そうですが)私は好き。
むしろミステリ要素が思ったよりは強くて、エロ百合要素がもうちょい濃くてもよかったかなぁとすら思わされてしまうあたり......。



「勃って逝け、乙女のもとへ」

自殺を考える中年男・蛯原は、最後のにと訪れたフレンチレストランでシロクマ宇宙人と出会う。
宇宙人に懇願し、女とヤリまくれる身体を手に入れた蛯原は街を行く少女たちを次々と犯していくが......。

まあバカな話ですね。
主人公が死にたい理由や女とヤリまくりたい理由が、絶妙に共感できるラインで屈折していて西澤保彦らしさ全開です。
エロポイントとしては、射精の快感を無限に楽しめるというところでしょうか。相手の少女たちの描写はロクにないのですがとにかく射精しまくる様子が楽しそう。しかし、それをめちゃくちゃバカバカしく描くことでセックスの滑稽さを描き出しているあたりは作者の意図したテーマを露骨に表現していて面白いですね。ちょっと山田風太郎のエロ忍法帖とかにも通じるものを感じます。
ミステリ部分は「一応ミステリ作家だから真相とか用意しとくか......」程度の取ってつけたようなものだし最初から方向性はわかってしまいますが、想像するとなかなか笑えます。と共に恐ろしくもあり、「幸せな人生とは何か」という我々人間の永遠のテーマを考えさせられるところも良いですね。面白かったです。



「うらがえし」

小説家のわたしの元へ不審な電話がかかってくる。電話の主はわたしの部屋の中の様子が事細かに見えているらしく......。 / ウェイトレスの松島里沙は、学生時代に想いを寄せていながら同じ女に奪われた2人の先輩の息子たちを性的に調教していくが......。

この短編集のもう一つのテーマが「メタ」。この話は作中作もので、こっから単純なエロ百合ミステリじゃないメタネタが入ってくるのは好みが分かれそうなところですね。私はこういうのも嫌いじゃないけど、バカなエロ百合を期待してたので小難しい方向にいっちゃうのがちょっと寂しかったりも......。
もっとも、この話まではアホなダジャレネタやエロエロな官能小説としての側面もあって気楽に読めますけどね。
しっかし39歳ってエロいですよね......。
小説家 森奈津子の華麗なる事件簿


「キス」

中学生の夏、療養先の田舎の村で愛し合った少女。死んだはずの彼女を蘇らせるため、"わたし"はレディNこと森奈津子に会いに行くが......。

このへんからは深刻な雰囲気も加わって笑ってばかりもいられません。
一夏の恋を取り戻そうとする話が最終的にああいう着地を見せるのは驚きと同時に胸が締め付けられるような余韻が残ります。私は女が好きな男という謂わばノーマルと言われる嗜好の持ち主なのであまり共感とか理解が出来るとは言い難いのですが、それでも「幸せとは」というテーマにおいて本作は普遍的な一つの答えになっていて救われる気持ちです。



「舞踏会の夜」

で、最終話のコレなんですけど、コレがどうもよく分からなかったのは読み込み不足でしょうか。それともあえてモヤモヤが残る終わりになってるんですかね......?
内容は、シロクマ宇宙人が小説家デビューを目指してショートストーリーを書くというもの。作中作として何篇かのショートストーリーが挿入されていますが、これが作中で指摘される通りなかなか微妙な出来。まぁこれが今の大人気作家西澤保彦の習作時代の作品なのかと思えば「人気作家でも最初から上手いわけではないんだな」という感慨がありますが、なんにしろ読んでて面白くはない。
さらに、その後謎の「舞踏会の夜」の描写と色合いの違う作中作が出てくるに至っては混乱の極みです。
何か深い意味があるのか?それとも単にめちゃくちゃな短編集をまとめるための雰囲気作りなのか?というところからしてよくわからず......。
ただ、最後の作中作は本書のエロ百合以外の色んなテーマを短い寓話にしたような読み心地で、不思議な余韻は残りました。