偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

目次(映画)

〈あ行〉
アンダー・ザ・シルバー・レイク
エターナルサンシャイン



〈か行〉
カビリアの夜
キートンの探偵学入門
きみに読む物語
きみに読む物語その2
巨大クモ軍団vs GoGoダンサーズ
キングスマン
キングスマン : ゴールデン・サークル
禁断の惑星
狂い咲きサンダーロード
軽蔑



〈さ行〉
サスペリア
サタデー・ナイト・フィーバー
三月のライオン
シェイプ・オブ・ウォーター
シャークネード・シリーズ(1〜5)
ジャンゴ 繋がれざるもの
スウィート17モンスター
スプリット
ゾンゲリア



〈た行〉
ダンケルク
チェイシング・エイミー
ドグラ・マグラ
トラフィック
トリプルヘッド・ジョーズ
ドント・ブリーズ



〈な行〉
ニュー・シネマ・パラダイス



〈は行〉
ハイテンション
バッファロー'66
HOUSE
パラドクス
P.S.アイラブユー
フォロウィング
冬の怪談 〜ぼくとワタシとおばあちゃんの物語〜
ザ・フライ
プールサイド・デイズ
ベイビー・ドライバー
ボヘミアン・ラプソディ



〈ま行〉
マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり
ムーンライズ・キングダム



〈や行〉



〈ら行〉
ラースと、その彼女
ルチオ・フルチの新デモンズ
レディー・プレイヤー1



〈わ行〉



〈その他映画記事〉
失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選
【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介
好きなゾンビコメディ15選
My Favoriteホラー映画10選のリスト〜〜。

目次(小説)

≪あ行≫

青山文平
『半席』

飛鳥部勝則
『堕天使拷問刑』

井上夢人
『ダレカガナカニイル』

歌野晶午
『ずっとあなたが好きでした』

海猫沢めろん
愛についての感じ

浦賀和宏
《安藤直樹シリーズ》
1.『記憶の果て』
2.『時の鳥籠』
3.『頭蓋骨の中の楽園』
4.『とらわれびと』
5.『記号を喰う魔女』
6.『学園祭の悪魔』
7.『透明人間』
《萩原重化学工業シリーズ》
8.『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』
9.『HELL 女王暗殺』
10.???
《メタモルフォーゼの女シリーズ》
1.『Mの女』
2.『十五年目の復讐』
《ノンシリーズ》
『ファントムの夜明け』
『姫君よ、殺戮の海を渡れ』
『緋い猫』
『ハーフウェイハウスの殺人』


小川勝己
『撓田村事件』



≪か行≫

楠田匡介
『いつ殺される』

甲賀三郎
『蟇屋敷の殺人』



≪さ行≫

桜木紫乃
『ホテルローヤル』

朱川湊人
『都市伝説セピア』



≪た行≫

太宰治
『人間失格』

多島斗志之
『不思議島』
『追憶列車』
『黒百合』

辻村深月
『かがみの孤城』

積木鏡介
『誰かの見た悪夢』

友成純一
『ホラー映画ベスト10殺人事件』



≪な行≫

夏目漱石
『こころ』

七河迦南
『アルバトロスは羽ばたかない』

西澤保彦
『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』
『夏の夜会』
『いつか、ふたりは二匹』

貫井徳郎
『修羅の終わり』※全編ネタバレのみ)



≪は行≫

深水黎一郎
『大癋見警部の事件簿』

藤野恵美
『わたしの恋人』『ぼくの嘘』



≪ま行≫

柾木政宗
『NO推理、NO探偵?』

三津田信三
『碆霊の如き祀るもの』

武者小路実篤
『友情』

望月拓海
『毎年、記憶を失う彼女の救い方』

森見登美彦
『ペンギン・ハイウェイ』



≪や行≫

山田風太郎
『伊賀忍法帖』

米澤穂信
『真実の10メートル手前』



≪ら行≫

連城三紀彦
『小さな異邦人』



≪わ行≫




≪海外作家≫

陳浩基
『13・67』

トマス・H・クック
『夏草の記憶』



≪アンソロジー

角川ホラー文庫「現代ホラー傑作選」
2.魔法の水



≪その他≫

2017年に読んだ小説ベスト20

目次(音楽・漫画・その他)

〈音楽関連〉
indigo la End
『幸せが溢れたら』
『Crying End Roll』

スピッツ
「エンドロールには早すぎる」
「子グマ!子グマ!」

2017年、私的アルバムランキング!





〈漫画関連〉

駕籠真太郎
『殺殺草紙 大江戸無惨十三苦』
『ブレインダメージ』

加藤元浩
Q.E.D 証明終了』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻
『C.M.B 森羅博物館の事件目録』全巻読破計画
① 1巻〜10巻

アンソロジー
怪談マンガアンソロジー『コミック幽』





〈その他雑文〉
感想を書くときに気をつけていること

「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきました。

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)


はい、観てきました。
観て来たてほやほやだし、シンクよりもフィールな映画なので今回は簡潔に!🤫

私は20代のガキンチョなのでクイーン・ドンピシャ・ジェネレーションではないのですが、母がまさにその世代で、ボウイとかマイケルとかデュランデュランとかと一緒にクイーンも聴いてた感じのおばはん。その母が「絶対見に行く」と言うのでなんとなく便乗して一緒に着いて行きました🤗
そんな家庭環境で育ったので、クイーンの曲やフレディの人となりはいくらかは(エイズで死んだゲイでマッチョのおっちゃん程度には)知っていましたが、私自身は特にクイーンのファンというわけでもありません😵

でもめっちゃ良かった〜〜🥰🥰🥰
泣いた〜〜超超泣いた〜〜😂😂😂


曲はもちろんよくって、知らなくて初めて聴いた曲も多かったけどそれでも映画館の音量で聴くとめっちゃ興奮しました。それはほんと曲が良いから当然のことではありますが、加えてドラマパートがとても良かった!!👍👍

お話は、フレディがギターのブライアン・メイとドラムのロジャー・テイラーと出会うところから、晩年の伝説のライブフェス・"Live Aid"までのフレディの半生を描いています。🎸🎤

なんせ詳しくないのでどのへんまで実話でどのへんまで脚色かは分かりませんが、そんなこたぁ置いといて思ってた以上に物語として素晴らしい出来栄えで、彼の人生のドラマチックさが窺えます。だってこれ私の好きなスピッツとかじゃ絶対無理でしょ😨

ドラマチックとは言いましたが、しかし本作ではそんなフレディの家族やバンドやセクシャリティについての苦悩が中心に描かれていて、いい意味でとっても普通な、我々スターならざる庶民でも共感して泣けるようになってるのがずるいですね😡
フレディがゲイだって知ってて観たので、女の子と付き合って婚約までしているのにはびっくりしましたが、その彼女とのシーンがもう全て泣けるんです。こんなことってある〜?......😱
どうもやっぱり色恋沙汰が私の涙腺の手綱を握ってるので......。つれえ......😢

もちろん、クイーンの名曲たちの作られた背景もいろいろ描かれてて楽しかった!😇
特にタイトルのボヘミアン・ラプソディ
私は実はサカナクションの「ナイトフィッシング・イズ・グッド」を聴いて、母に「おいお前!サカナなんとかいうバンドの曲めっちゃ斬新やで!」と教えたら「え、なにこれボヘミアン・ラプソディのパクリじゃーん懐かし〜」と言われてこの曲の存在を知りました。そして、「なんじゃこれ!」と叫んだものです🤣
そんな、今時の若者が聞いても斬新なくらいですから、当時はめっちゃ衝撃的だったんだろうと思ったらその通りで、斬新すぎて賛否両論どころか事務所にすらなんぞこれと叱られるのには笑っちゃいました。でもそこで曲げないのがバンドとしてかっけえなと😉
あと、個人的にベースの音が好きなのでディスコテックな「Another One Bites the Dust」がめっちゃツボでした。これ、syrup16gの「メビウスゲート」ぽいですよね。


で、その後も色々と紆余曲折の人間ドラマがあるんですが、そこを経た後の最後のライブシーンがすんごかった🤗💖

パフォーマンス自体が、曲自体が良いのは、上にも書いたように元がいいんだから当然っちゃ当然。🙂
凄かったのは、字幕で歌詞がテロップされるのですが、その歌詞の内容がこれまでの物語の総括になっていること!「え、この歌詞あの時の事じゃん......!」という、音楽への興奮+物語としての興奮!🤩🤩
これはもう、上質なミステリーで最後に全ての伏線が回収されて「そうだったのかー!」というのと同質のカタルシスでありまして、音楽だけではなく、物語あってこその感動😊
もうね、ここまででも十分に泣いてましたが、最後のライブシーンで全部持ってかれました。やられました。こりゃずるいや......😳😳



てなわけで、クイーンにそこまで詳しくなくてもノープロブレムに楽しめる、物語としての強度も強えー傑作でした。最高!

「アンダー・ザ・シルバー・レイク」への小並感、あるいはメモ程度の文章


フォロワーさんに勧められながらも観れないまま上映最終日を迎え、運良くその日に仕事が早く終わったのでこれも巡り合わせかと名駅まで観に行ってきました。


『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督による、L.A.を舞台にした映画です。「映画です」とはまたざっくりしすぎてますが、本作はジャンル分け不能の奇妙奇天烈なストーリーが魅力なので、「映画です」くらいの紹介しか出来ないのです......。

それでも一応あらすじを書いてみますと......

L.A.の"シルバーレイク"地区に住むサムは、現在は無職で家賃を滞納し、あと5日で払わなければ追い出すと大家に脅されている冴えないニイちゃん。
ある日家のベランダから隣家を盗み見ていると、引っ越してきたパツキン美女のサラを発見。彼女に声をかけ、おうちデートにこぎつけるも、いいところでルームメイトが帰ってきて「また明日」と追い返される。
そして、待ちに待った翌日、彼女の部屋はもぬけの殻だった。
訝しみ、彼女の行方を探すうち、サムはL.A.の街と世界のポップカルチャーに隠された"秘密"にのめり込んでいき......。


という、それだけ見ると消えた美女を探すハードボイルドな探偵モノの筋立てで、街の秘密や暗号や都市伝説を調べていくのはミステリーっぽいですが、そういうところは別に本質じゃないという......。

では何が本質かというとこれも難しいところで......。前作『イット・フォローズ』が"It"の正体が明示されないリドルストーリーならば、今作はそれをさらに推し進めて、テーマ自体が明示されずに観た人によって気に入ったところを好きに取って食べてねという立食パーティーみたいな映画だという気がします。

そのため、感想を言おうとするとほぼピンポイントなネタバレになってしまいますが、まずは少しだけネタバレなしで本作の魅力を紹介しましょう。できるかな。難しいな。

まぁ、ネタバレなしで言うなら一番わかりやすいのが

ヒッチコックとリンチが融合した悪夢版「ラ・ラ・ランド」だ

という惹句でしょう。
L.A.を舞台によく分からないことが起きていくというお話のベースの部分は『マルホランド・ドライブ』の雰囲気。現実なのか妄想なのか分からないままどんどん変な人がなんの説明もなく登場してきて「???」と思いますが、視点は常に主人公視点なのでお話についていけなくなることはないのがまた上手いですね。
そして覗き(裏窓)や女探し(めまい)のようにヒッチコック風のモチーフを取り入れていき、ハリウッド近郊で生きることにまつわるテーマ性は、裏「ラ・ラ・ランド」とでも言うべきものになっています。

加えて、オタク文化(スーパーマリオも出てきます!)やポップカルチャーの要素、そして陰謀論や都市伝説、暗号といった好奇心をそそられるものたちが詰め込まれていて元ネタに詳しくなくてもめちゃくちゃ楽しかったです。

さらに女性陣のエロさも良かった!
直接的にエロいシーンは主人公のサムが彼女とファックするところくらいですが、ここがむしろ滑稽に描かれていてそこまでエロくなく、代わりにヤれなかった女たちの方がエロいというのがなんとも分かってますよね。これは本作のテーマにも密接に関わってくるので詳しくはネタバレ感想で書きますが、とりあえずジャケ写のプールから顔を出してるヒロインに惹かれたら観るべきです。ああいう幻想的なエロさが良いんです。


とまぁそんな感じで、分からないなりに色々変なものが出てきて観てるだけで面白いしエロいのでサブカルとエロいのが好きな人は見てください!(雑)


というわけで、以下はネタバレでーす。ただ、ネタバレだからといって考察とかは出来ないのでいつも通り思ったことだけ書くだけなんだからっ!勘違いしないでねっ!

























はい、というわけで、まぁ正直に白状すると、本作について私はほとんど何も分かりませんでしたよ。ただ、それはきっと監督がそういう風に、全部を理解されることを拒んで作っているからで、だとすれば私は私が感じられたことだけで本作を語ってもいいんだと思います。

で、私が感じた本作のテーマというのは、いっちばん大きく言うと「オタクが現代を生きること」です。

我々オタクというのは、パンピーよりたくさんの映画や漫画やゲームや音楽や小説の知識があることを誇り、いつか自分もそんな作品を作ったり演じたりしたいとまるっきり本気ではなく思っています。しかし、実際には私は他の平凡な人たち同様平凡な人間であり、何か大きなことをしたいという気持ちだけを燻らせながら現状を享受して生きていくしかないのです。



主人公のサムはまさにそんなダメな普通のオタクのひとり。L.A.はハリウッド近郊の街"シルバーレイク"に上京(?)してきて有名人になりたいとなんとなく思い、それを言い訳に職にも就かず、ついにあと5日で家賃滞納の罪で追い出される状況にまで陥っているダメっぷり。
それでも何もせずに部屋の裏窓から向かいの部屋の裸の女を覗いたり、セフレに近そうな愛情など抱きあっていない便宜上の彼女を連れ込んで後ろからファックしたりするだけの生活。
そんな、何かチャンスを待ちながら何もしない生活の中で、一つの事件が起こります。
それが、隣人のサラへの恋と、彼女の失踪。

ここからして意地悪なんですが、実際のところサムはサラに恋しているわけでもなければ彼女を心配して探し始めたわけでもないのでしょうよ。ただ、家から追い出される期限が迫っていて何か現実逃避の対象が欲しかったこと、その時たまたまヤり損ねた女が失踪したこと。そしてその失踪に自分の唯一の特技であるオタ知識を活用できそうな「謎」があったこと。
結局、彼は「恋する女を探す私立探偵みたいな俺」になりたかっただけ。それは映像にも残酷なまでに現れていて、映画自体は一人称視点のハードボイルドのカッコイイ雰囲気で進むのに、主人公は両手を下げて欽ちゃん走りじゃないけどあんな感じの走り方の情けないもやし(もちろん役者さんがイケメンなのでギリギリ見ていられないほどではないのがあざとい)。

主人公はそんな風に、漫然と夢を見つつ叶える努力はしない人、夢の残飯を漁っているような人ですが、他にも本作では「夢」という観点から印象的な人がいます。
まずは主人公がたびたび目にするコンタクトレンズの広告看板の女性。
そして、映画に出てたデリヘル嬢。
2人とも女優になるという夢を一応叶えた人たちですが、前者は「これからも努力するわ」と語りながら終盤では彼女の看板が書き換えられるという、「あの人は今」みたいな象徴的な扱いがされさています。とはいえ、努力できる彼女は主人公の視点からは嫉妬の対象として描かれているわけですが......。
一方、後者のデリヘル嬢さんも「売れない映画一本出ただけじゃ食ってけないから」と話しながら主人公に抱かれます。
このように、本作では努力して夢を少しだけ叶えてしまった人の姿も描かれるのです。
この辺が、「ラ・ラ・ランド」の裏と呼ばれる所以でしょう。
syrup16gの「夢」という曲を思い出しました。


また、現代を生きるということで、夢という観点の他に、「情報の氾濫」と「消費」というのも本作の分かりやすいテーマだと思います。
そもそも主人公が暗号探しにハマっていくのも「これだけ情報が溢れてるけどそれらには本当は裏の意味があるのではないか」という妄執に囚われることから始まります。つまり、情報が多すぎる現代特有の情報への畏れが本作のスタート地点にあるわけです。

そして、我々の大好きなカルチャーもまた情報、オタクというのはそれをどれだけ消費しているかを競う仕事とも言えますが、そんなオタクに水をかけるように現れるのが「作曲家」です。
彼が登場するシーンは本作でも屈指の名場面といって異論は出ないでしょう。
あいみょんの歌に「僕はこんな歌で あんな歌で 恋を乗り越えてきた」とあるように、我々オタクは歌とか、なんかの作品に自分の私生活さえも投影して、「これは俺のために作られた作品だ!」と喚きながら毎日歌詞ツイします。
しかし、このシーンではそんな思い入れさえも全否定されます。これはつらかった。私はNirvanaにはそれほど思い入れはありませんが、それでもあの曲は「青春の象徴」「反骨の象徴」のイメージが十分にあり、あんな使い方をされたのには胸が痛み、大好きなスピッツ毛皮のマリーズ川谷絵音を想って泣きました。結局私にとっての特別は私だけの特別ではなくみんなの特別で、それはそのために当の反骨する相手によって計算されて作られたという事実に泣き、ゴーストライターなんかに頼ったカート・コバーンが大嫌いになりました。
一方で、私の人事として映画を見ている冷静な部分では、「テルミーワイ」ってやつとか、クラシックのなんか聴いたことあるやつとか、ビバリーヒルズコップとか、ジャンルレスに名曲が引用されることに快感を覚えてもいて、その悲しさと気持ち良さのギャップがクセになりそうでした。危ねえ映画だよこれは......。
そして、今までは主人公のサムにわりと感情移入して「これは俺の映画だ」と思いながら見ていましたが、そのことさえも相対化されて茶化されるという、観客に直接牙を剥く映画でもあるのです。おそロシア
結局我々は出された料理をただ食わされるように作品を消費させられ、そこに意味を見出すことすら暇なジジイの手遊びによって操られていたことなのですね。つらい。
そんなジジイが作り物のように小気味よくぐしゃっと潰れるのも意味深ですけど......。


消費というところからの連想で、窃視というのも本作全体に通底していますね。
主人公自体も最初っから隣家を覗き見てはおっぱいを眺めている。
彼の友達はなんとドローンでハリウッド女優の部屋を覗き見ます。部屋では女優が泣いている。それは上に書いた「夢」というところとも通じますし、それを窃視する主人公の友人は、川谷絵音に「ゲス不倫」とあだ名をつけた我々ワイドショーを見る世間の人たちを表しているようにも見えます。他人の悲しみも画面一枚通せばエンタメとして消費できてしまう。


そして、夢というのは叶えてもまだ足りず、消費というのもいくら消費しても足りることはない。ヤれなかった女はエロく見える。なんにせよ結局「ないものねだり」という言葉に落ち着くようにも思います。人はないものをほしがっては上を見て嫉妬して、逆に自分の持つものを持たない者を、サムがホームレスにするような態度で見下す。見下し、見下されながら常にさもしく何かを欲しがって行くことこそが人生......という身も蓋も慈悲もないメッセージが、本作には込められていますね。つらい。


そんなテーマをまとめ上げるのが、最後に出てくる宗教団体みたいな人たちのパートでしょう。ここがホドロフスキーの「ホーリーマウンテン」っぽくなっているのも狙い目でしょうね。
彼らは人生の虚しさを説き、「上へと登っていく」ために集団自決をするといいます。そして、サムが今まで探していたサラは、人生の虚しさを象徴するようにそんなところにいたのでした......。


部屋に帰ってきたサムは、そのまま家賃滞納の廉で部屋を追い出される形で、なぜか隣家のおっぱいおばさんと寝ることになります。この辺のいきなりセックス展開は村上春樹っぽさを感じてむむむ???と思いましたが、隣家から自分の部屋を、そして自分の冒険の日々を客観視して終わるのには、何も説明されてないのに不思議と「あ、終わった」という余韻が滲み出てくる良い終わり方だと思います。
正直この辺の解釈は上手くできてないのでDVDが出たらもっかい見たいですが、ともあれ、まとまりは無くとも上に書いてきたようなことがとりあえずの私の本作の感想ということになります。犬殺しとは?ホームレスの王とは?そんなことは私の知ったこっちゃないから誰か解説してくれ〜。
とりあえず、人生に迷っている人が観るとつらくなるし人生の意味は見失うけど、みんなそうだという下衆な安心感は得られる映画でしたね。

では、長く書きすぎて何が言いたいのかも丸っきり見失いましたので私はここで失礼します。ばいちゃ。

深水黎一郎『大癋見警部の事件簿』読書感想文

「読者が犯人」に挑戦した野心作『ウルチモ・トルッコ』でメフィスト賞からデビューした著者による、本格ミステリのお約束を茶化しまくったコメディ短編集、あるいはミステリ評論集(決して"ミステリ短編集"とは呼びませんからね!)です。

大癋見警部の事件簿 (光文社文庫)

大癋見警部の事件簿 (光文社文庫)


というわけで、本書は11話の短編と1話のオマケから成る短編集ですが、目次を見ると各話にそれぞれ「最初はやっぱりノックス先生」「そろそろここらで密室殺人」などとミステリファン心をくすぐるサブタイトルが付されています。そして、そうしたミステリにおける定番テーマを次々とギャグに仕立てて行く様にミステリファンは笑いながら怒る人と化していきます。
それでも主人公の大癋見警部率いる捜査一課十係のアホすぎる面々の大活躍と少数のまともな人たちの苦労を見ているうち、こちらも肩の力が抜けてきて「本格ミステリとかwwまぢうけるww」という気持ちになってきます。そういう意味では本格好きにも本格嫌いにもオススメできる作品かもしれません。



第1話の「国連施設での殺人」では、初っ端から(ある意味)唖然とさせてくれます。変な言い方ですが、本職の推理作家が伏線やミスリードを見事に駆使して作った脱力系推理クイズという感じ。読み終わってニヤニヤしながら本を壁にぶつけたくなる感じ。ミステリに関する衒学趣味に満ちた蘇部健一という感じの......とここまで言えば、どの程度バカバカしい話なのかはお分かりいただけるかと思います。良くも悪くも「あ、こういう本なんだ」と一発で分かるのは第1話としては優れているのかもしれません。


続く「耶蘇生誕節の夜の殺人」は、まだしもちゃんとミステリしています。途中からキリスト教の講義になっていきそれはそれで面白いのですが、その講義を読んでいるうちに「もしかしてこれってアレ......?」という気になってきます。そしてその通りでした。しかしこのアリバイトリックはこういう場ででもなきゃ使いづらい捻くれたものなのでなかなか面白かったです。


そしてここらで本格ミステリの王道・密室殺人の「現場の見取り図」
マンションの一室で事件が起きるが、その部屋は視線の密室だったというお話。
こういう密室トリックは長年ミステリ読んできましたけど初めて見た気がします。もちろん、斬新という意味ではなくアホすぎて誰も書かなかったということなのでご了承ください。しかし、こんな話にマジレスするのもおかしいですが、(ネタバレ→)他の住人は苗字表記なんだから空室(からむろ)さんとかで良かったのでは?と思ってしまいました。もちろん作者なりのこだわりの結果でしょうが、そのこだわり要る......?


「逃走経路の謎」は、関東圏でここ最近多発している、犯罪者が検問などをくぐり抜けて隣県に逃げてしまう事件について、「彼らはどこから逃げたのか?」を問う変わり種のお話。
そのトリック自体は本書にしては普通すぎて特に印象にも残らないものでしたが、解決がないまま読者の中で全て納得させる変わった書き方が見事です。
そして、よく見てみると本書のサブタイには"さして意味のない叙述トリック"と書かれていて......。
うん、「で?」という感じです。叙述トリックをあえてつまらなく使うことで安易な叙述トリックを皮肉るこの尖り方!これぞ深水黎一郎の性格の悪さの表れでしょう(よく知らないのに失礼)。
さらに、主人公が延々とテレビへのディスりを繰り広げるのも見所。ツイッターで某司会者芸人と揉めたりもしてただけに非常に痛烈にバラエティ番組を批判しています。ミステリ部分よりそこのが面白いなんて......言えないよな。


「名もなき登場人物たち」では、文字通りABCという記号的な名前の人物らが登場。本格ミステリの記号性をネタにすると同時に、テーマはずばりレッド・へリング。あまりにレッド・へリング臭いキャラクターたちは逆にレッド・へリングではないのでは......と考えさせるところまでレッド・へリングの可能性もというかただレッド・へリングって言いたいだけではないのか、ほら、レッド・へリングって響きかっこいいからね。
そんな感じで、レッド・へリング尽くしのお話です。


図像学と変形ダイイングメッセージ」は、タイトル通り、図像学からダイイングメッセージを読み解くお話。お約束のペダントリーからの美しい推理がサブタイにあるもう一つのテーマと絡むことで徹底的に揺さぶられるのが笑えます。


テトロドトキシン連続毒殺事件」は、このページ数でなんと連続殺人。しかもテーマは後期クイーン問題。今まで後期クイーン問題ってなんだか分からなかったんですけど、こういうことだったのですね!これで映画『ボヘミアン・ラプソディ』を5倍楽しめます!
......冗談はさておき、後期クイーン問題というテーマから想像した内容とはだいぶ違うシチュエーションコメディですが、たしかに敷衍してしまうとこうなっちゃうよねという着想がさすが。そして皮肉の効いた真相も笑いました。


監察のボケ老人......じゃなくて神様が(ある意味)大活躍するオマケ(幕間?)の掌編「監察の神様かく語りき」は、ミステリーを題材にしたギャグとしてのワンアイデアだけの話ですが、そのワンアイデアがほんとに一撃必殺の笑撃を持っているので笑いの観点では本書で一番笑いました。


幕間を挟んでの「この中の一人が」は、お茶会で狙った1人を毒殺するという定番のアレ。大癋見警部の捜査手腕に焦点が当てられているのも面白く、ボツネタを引っ張り出してきたようなトリックもさることながらあまりにくだらない動機もトホホという感じで面白かったです。トリックがあまりにバレバレなのは、この殺害方法のコスパの悪さを表す皮肉なのでしょうか。


宇宙航空研究開発機構(JAXA)での殺人」は、島田荘司先生にオマージュを捧げた大胆なトリックの光る"21世紀本格"です。密室なんてものにはいくつかのパターンしかないことは世に数多ある密室講義が明らかにしていますが、それでもミステリ小説の中で密室が出てくるとその不可能(に見える)性にワクワクしちゃうんですよね。そしてそのトリックが大胆なら大胆なほど楽しい。
その点この作品は、読者にほぼ絶対解けないというアンフェアなものではありますがトリック自体が鮮やかで楽しい気持ちになります。また捜査パートもすごくオーソドックスなミステリという感じで温故知新でした。
ちなみにここで第1話の解決なんかもあったり。あとググらなきゃ分からないギャグがあってググったらくそしょーもなかったり。見所の多い一編です。


そして出ました!"見立て"を扱った「薔薇は語る」では、めっちゃ(特に男性が読むと女性の100倍くらい)痛そうな"薔薇で装飾された死体"が登場。バカバカしい真相から更にバカバカしい真相へと、話が進むごとにバカバカしくなっていくのが面白くて、最後まで読めば脱力のあまりその場に崩れ落ちてしまいました。


そして、掉尾を飾る「青森キリストの墓殺人事件」には、サブタイトルとしてバールストン先攻法リドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決」と、ここまでに入れれなかった面白そうなガジェットを片っ端から集めたような文章がついていて期待をそそられます。
そして、その期待通りに北の地の旅情やキリストの謎をちょこちょこっと入れつつ、ミステリとしての解決は意外とオーソドックス......と見せかけてバールストンギャンビットとリドル多重解決の滅多打ちで笑わせてくれる、最後に相応しい作品です。

まぁ正直有終の美には程遠いですが、本書にはこういうわちゃわちゃした終わりが似つかわしいと思います。


というわけで、最初から最後まで徹頭徹尾バカバカしくも、ミステリへの歪んだ愛が横溢していてミステリファンはにやにやしちゃうこと請け合いの一冊でした。

そして、なんとこんなバカバカしい本なのに『大癋見警部の事件簿リターンズ』なる続編があるらしいですね......。絶対下らないと分かっていながらも、きっと読むだろうという諦念も抱いてしまいますよね〜。

今月のふぇいばりっと映画〜(2018.10)

はい、それでは今月のふぇいばりっとのコーナーです。冷静に考えたらこのコーナー、今月じゃなくて先月になっちゃうんですけど、もうやりはじめてしまったので今更曲げるのもカッコ悪いですしこのまま突き進みます。

それでは"今月"のふぇいばりっとはこちら〜↓


サタデー・ナイト・フィーバー
ニュー・シネマ・パラダイス
カビリアの夜
プールサイド・デイズ




サタデー・ナイト・フィーバー

ディスコでフィーバーしながらコンドームの大切さを鋭く描き出すお話です🕺😹

最初は大嫌いでした。そう、クライマックスまでは、『グリース』と同じで大嫌いな映画で、なんならトラボルタもほんっと嫌いでした。
当時だったら別に気にならなかったかもしれませんが、今これを見たらいろんな差別的言動は平気でするわ男女関係は男上位のセックス本位だわ、そもそもキャラ全員イヤな奴だわと、まぁ時代の違いは仕方ないことではありますが、やっぱりちょっと生理的な不快感が強かったですね。
ただ、それでもBee Geesのディスコテックとダサかっこいいディスコダンスと夜の闇を照らす灯りの華やかさとそれとは裏腹の虚しさと切なさと心強さはステキでした。

で、クライマックスのダンスシーンまではそんな感じで不快が強かったのですが、その後の怒涛のイヤな展開、人間が簡単にぶっ壊し合う様を見ると、ここまでの不快感もこのカタストロフを描くための伏線だったことが分かり戦慄しました。
また、そんなことがあって無知の知を得たはずの主人公トラボルタが結局最後まで自分本位にしか生きれないという皮肉な気持ち悪さが後を引くラストも素晴らしかったです。そもそもなんで私が彼らのことをあんなに憎んだのかというと、畢竟それは同族嫌悪でしかなかったと思い知らされ、見終わってみれば闇の青春映画としてぶっ刺さる二度と見たくないタイプの傑作だったのであります。




ニュー・シネマ・パラダイス


映画監督のサルバトーレの元へ、故郷の母から「アルフレードが亡くなった」と電話が来る。その電話で、サルバトーレは幼少期に思いを馳せる。貧しく小さな村。唯一の娯楽施設「シネマ・パラダイス」。そして、大親友で父親が割りのような、映像技師のアルフレード......。

少年が大人になるまでの半生を切なくも優しく描いたドラマです。

とにかくアルフレードがいい人。そして主人公の幼少期がバチクソ可愛い。正味な話それだけ。それだけで最高。

前半ではまだ小さなトトが映画と映画館での交流で少しずつ人生に触れていくのがユーモラスに描かれます。
無学だから映像技師という奴隷のような仕事しか出来ないことを主人公のサルバトーレことトト君に説明して「ちゃんと勉強しろよ」と言い聞かせるところとか泣けました。トト君ちゃんと聞いてなかったけど。小学校の卒研の場面も泣きました。トト君は笑ってたけど。
子供って何も知らないからけっこう残酷だったり。でも、後から思い出してあの時のあの人の気持ちが分かったりすることもありますよね。
そして、村の人たちも良い味出してます。今の映画館で上映前に流れる「映画鑑賞のマナー」のコーナーに照らし合わせると彼らはもう最悪ですが、映画だけじゃなく映画館という場所を楽しむ彼らの姿はちょっと羨ましく思いました。

そして中盤からは学生になった青年期のトトのお話なんですが、ここで描かれる初恋というのがもう素敵なんですねぇ。まず女の子可愛いし、彼女と関わるシーンの全てが胸キュン。中でもキスシーンの美しさは夢のようです。観ているだけで幸せでいいなぁちくしょう!と思います。
で、私が観たのが実は「劇場公開版」ってやつで、これと別に「完全版」という長いやつもあるらしいですね。そちらではこの恋の顛末がわりと詳しく描かれているようですが、私が観たやつだと恋の終わりがとても中途半端になってます。といってもそれが悪いわけではなく、初恋なんてだいたいまともに終わるはずもないんですから、これはこれでリアルで良かったと思います。

そして、ラスト、詳しくは書きませんが、エモいということをよく分かってらっしゃいますよねあれは。最高でした。




カビリアの夜

カビリアの夜 完全版 [DVD]

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付き合っているはずの男に金を奪われ川に突き落とされる女性。流される彼女を見つけた人々が助けるが、意識を取り戻した彼女は礼を言うでもなく悪態をつきながら家に帰り、家でも悪態をつきまくりながら夜を彷徨う......。

この冒頭に、思わず「なんじゃこの女は??」と戸惑いと反感を覚えますが、実はその時点でもうヘデリコ・ヘリーニの術中にあったのです......。

彼女は娼婦のカビリア
本作は、彼女が男に騙され嘲笑われながらも生きていく姿を描いた映画です。
演じるのはフェリーニの奥さんだったらしいジュリエッタ・マシーナ。本作で初めて見ましたが、素晴らしかったです。ぎょろっとした目と、めっちゃ動く口元。決して美人ではないですが、その表情の激しい動きを見ているとこっちまで嬉しくなったり悲しくなったりしちゃうような魅力がありました。
彼女はとにかく純粋。だから男たちに辛い思いをさせられることばかりですが、それでも泣いて、悪態をついて、また生きていく。だから、冒頭ではなんだこの女と思っていたのに、気づいた時にはそんな彼女の虜になってました。

で、それだけに後半は先が読めてしまってフライングつらみを味わい続けたあげくお約束通りそのつらみは実現するのですが、それでもまだ歩いていく彼女の姿には人生を肯定はしないまま受け入れる強さを感じて泣けてきちゃいました。

とまぁ、全体の感想はこんな感じ。ただ、そんなことより本作は細部に宿るエモさが見どころ。俳優について歩く時の嬉しそうなカビリアの可愛さよ。舞台の上でロマンスを演じる彼女の美しさよ。マリア様を詰る切実さよ。そして、ラストの2人の表情よ......。筋だけ読んだらなんてことないお話かもしれませんが、そういう場面場面の良さがえげつない傑作なんです。だから文章で良さをうまく伝えられないのがもどかしいです。とにかくみんな観て!




プールサイド・デイズ


14歳の内気な少年・ダンカンは、母親の新しい恋人のトレントの「この夏は俺の家族と別荘で過ごすぞ」という言葉で、トレントファミリーとのバカンスに強制連行されます。しかしトレントトレントファミリーもクソ人間ばかりでまいっちんぐ。居心地の悪さに別荘から出てふらふら外を歩いていたダンカンは、カフェでオーウェンというめちゃくちゃな男に出会い......。


一夏のボーイ・ミーツ・怪しいおっさん&ボーイ・ミーツ・ガールを描いた陰キャ系青春コメディです。

陰キャラという言葉がいつからあったのかは定かではありませんが、少なくとも私が中学生の頃、つまりは10年前くらいには既にありました。おそらくその辺の時期に広く流布した新語だったのではないかと思います。
とまれ、そんな言葉が生まれてしまったがために、世のボーイズ&ガールズの個性というものは陰陽二元論に分けられ、それは即ち善悪二元論にすり替わって陰キャラは悪だから下に見ていいというルールが世界に蔓延ることと相成ったわけでございます。
かく言う私もご多分にもれず、キモい陰キャラとしての学生生活を送ってきたわけですが、この映画の主人公のダンカンもまたそんな陰キャラの1人なのでありました。

冒頭、母親の彼氏のトレントに「お前に10点満点で点数をつけるなら3点だ」と酷いことを言われ、トレントファミリーの女の子からは居るだけで「なにあれキモ」という扱いを受けるダンカンを見ていると往時の自分を見るようでいたたまれない気持ちになります。あれ、この映画コメディって書いてあるけど、全然笑えないんですケド......という。

しかし、そんな状況下でもやはり彼も男の子で、隣家の可愛い女の子に猛烈アタックします。
「あ、あ、あの、こ、こ、今年はあ、あ、暑いな、な、夏になりそうだねでゅふふ」
あっちゃーっ!やっちゃった......。
そんなこんなで何もかもうまくいかない夏。ふらふらしてると変な大人に出会います。
そう、彼こそがサム・ロックウェル演じる変人オーウェン。彼と出会うことで、変わっていくダンカンの成長と、彼のキャラクター自体が単身でコメディなのが本作の最大の見所なのです!

なんせ私のフィクション開眼が映画の「アヒルと鴨のコインロッカー」だったので、こういう若い人がおっさん?お兄さん?くらいのヤバい人に出会うというタイプのお話が好きなんですよね。
今作のオーウェンという男も、とんでもなくテキトーな変人のようでいて、ちゃんと彼なりに芯の通った人生哲学を感じさせるのでカッコいいんですよね。わざと道化を演じている感じ......というか、アホなのも本当かもしれないけどその裏に底知れないものを感じさせるというか......とにかく魅力的なキャラクターなのですよ。はい。

そんなオーウェンさんとその仲間たちとプールのバイトとして過ごすうち、ダンカンくんもだんだんとこのプールサイドデイズを楽しむようになっていきます。プールに来るパリピたちは真のパリピだから陰キャ陽キャラという陰湿な区別もせずみんな友達みたいな感じ。良いですね。
相変わらずトレントファミリーはクソだけど、クソに見下されて泣き寝入りする彼ではなくなっていく、その一夏の大きな成長が素敵です。
そして、最後の最後までトレちゃんはクソだけど、それにどう向き合うか......というところの答えがきちんと出た結末は切なくも静かな爽快感がありました。

「夏」という言葉に弱い根暗陰キャの方はぜひ見て欲しい作品です。