偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

目次(小説etc)

≪あ行≫

相沢沙呼
『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』

青山文平
『半席』

朝井リョウ
『世にも奇妙な君物語』

芦沢央
『今だけのあの子』

飛鳥部勝則
『堕天使拷問刑』

阿津川辰海
『紅蓮館の殺人』

綾辻行人
『深泥丘奇談・続々』
『Another エピソードS』

伊坂幸太郎
『火星に住むつもりかい?』

石持浅海
『相互確証破壊』

井上ひさし
『十二人の手紙』

井上悠宇
『誰も死なないミステリーを君に』

井上夢人
『ダレカガナカニイル』

今村昌弘
『屍人荘の殺人』

上田早夕里
『魚舟・獣舟』

歌野晶午
『ずっとあなたが好きでした』
『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』

海猫沢めろん
愛についての感じ

浦賀和宏
《安藤直樹シリーズ》
1.『記憶の果て』
2.『時の鳥籠』
3.『頭蓋骨の中の楽園』
4.『とらわれびと』
5.『記号を喰う魔女』
6.『学園祭の悪魔』
7.『透明人間』
8.『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』
9.『HELL 女王暗殺』
10.???
《八木剛士・松浦純菜シリーズ》
1.『松浦純菜の静かな世界』
2.『火事と密室と雨男のものがたり』
3.『上手なミステリの書き方教えます』
4.『八木剛士 史上最大の事件』
5.『さよなら純菜 そして不死の怪物』
6.『世界でいちばん醜い子供』
7.『堕ちた天使と金色の悪魔』
8.『地球人類最後の事件』
9.『生まれ来る子供たちのために』
《メタモルフォーゼの女シリーズ》
1.『Mの女』
2.『十五年目の復讐』
《ノンシリーズ》
『こわれもの』
『ファントムの夜明け』
『姫君よ、殺戮の海を渡れ』
『究極の純愛小説を、君に』
『緋い猫』
『ハーフウェイハウスの殺人』

大山誠一郎
『赤い博物館』
『アリバイ崩し承ります』

小川勝己
『撓田村事件』
『イヴの夜』

尾崎世界観
『祐介』


≪か行≫

加門七海
『蠱』

楠田匡介
『いつ殺される』

倉野憲比古
『スノウブラインド』
『墓地裏の家』

甲賀三郎
『蟇屋敷の殺人』

小林泰三
『忌憶』
『殺人鬼にまつわる備忘録』


≪さ行≫

坂木司
『和菓子のアン』
『アンと青春』
『先生と僕』
『何が困るかって』

桜木紫乃
『ホテルローヤル』

沢村浩輔
『夜の床屋』

下村敦史
『闇に香る嘘』

朱川湊人
『都市伝説セピア』
『いっぺんさん』

住野よる
『君の膵臓をたべたい』



≪た行≫

太宰治
『人間失格』
『走れメロス』

多島斗志之
『クリスマス黙示録』
『不思議島』
『少年たちのおだやかな日々』
『私たちの退屈な日々』
『追憶列車』
『黒百合』

谷崎潤一郎
『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』

千澤のり子
『シンフォニック・ロスト』

辻真先
『郷愁という名の密室』(牧薩次名義)

辻村深月
『かがみの孤城』

積木鏡介
『誰かの見た悪夢』

友成純一
『ホラー映画ベスト10殺人事件』



≪な行≫

中西鼎
『東京湾の向こうにある世界は、すべて造り物だと思う』

夏目漱石
『こころ』

七河迦南
『アルバトロスは羽ばたかない』

西澤保彦
《腕貫探偵シリーズ》
『腕貫探偵』
『腕貫探偵、残業中』
森奈津子シリーズ》
『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』
『小説家 森奈津子の妖艶なる事件簿 両性具有迷宮』
《ノンシリーズ》
『殺意の集う夜』
『死者は黄泉が得る』
『夏の夜会』
『パズラー 謎と論理のエンタテインメント』
『笑う怪獣』
『いつか、ふたりは二匹』
『からくりがたり』

貫井徳郎
『修羅の終わり』※全編ネタバレのみ)

野崎まど
『【映】アムリタ』

法月綸太郎
『頼子のために』
『一の悲劇』
『ふたたび赤い悪夢』
『パズル崩壊』
『犯罪ホロスコープ Ⅰ』
『怪盗グリフィン、絶体絶命』



≪は行≫

深緑野分
『オーブランの少女』

深水黎一郎
『大癋見警部の事件簿』

藤野恵美
『わたしの恋人』『ぼくの嘘』
『ふたりの文化祭』
『おなじ世界のどこかで』

穂村弘
『もしもし、運命の人ですか。』



≪ま行≫

柾木政宗
『NO推理、NO探偵?』
『ネタバレ厳禁症候群』

松井玲奈
『カモフラージュ』

三田誠広
『永遠の放課後』

道尾秀介
『向日葵の咲かない夏』
『月と蟹』
『カササギたちの四季』
『水の柩』
『光』
『笑うハーレキン』
『鏡の花』
『透明カメレオン』

三津田信三
『碆霊の如き祀るもの』

武者小路実篤
『友情』

村上春樹
『夜のくもざる』
『レキシントンの幽霊』

燃え殻
『ボクたちはみんな大人になれなかった』

望月拓海
『毎年、記憶を失う彼女の救い方』

森見登美彦
『ペンギン・ハイウェイ』



≪や行≫

山田風太郎
『伊賀忍法帖』

山田正紀
『ブラックスワン』
『人喰いの時代』

米澤穂信
『真実の10メートル手前』
『巴里マカロンの謎』
『いまさら翼といわれても』



≪ら行≫

連城三紀彦
『明日という過去に』
『白光』
『小さな異邦人』



≪わ行≫




≪海外作家≫

アレン・エスケンス
『償いの雪が降る』

陳浩基
『13・67』

トマス・H・クック
『夏草の記憶』
『心の砕ける音』
『蜘蛛の巣のなかへ』
『緋色の迷宮』

マーガレット・ミラー
『まるで天使のような』

メアリー・シェリ
『フランケンシュタイン』



≪アンソロジー

角川ホラー文庫「現代ホラー傑作選」
2.魔法の水
3.十の物語

『謎の館へようこそ 黒』

『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー』





≪10選シリーズ≫
作中作ミステリ10選



≪その他≫

2017年に読んだ小説ベスト20
2018年に読んだ小説ベスト10
2019年に読んだ小説ベスト10(ミステリ編)
2019年に読んだ小説ベスト10(非ミステリ編)

目次(映画)

〈あ行〉
アバウト・タイム 愛おしい時間について
アンダー・ザ・シルバー・レイク
イエスタデイ(2019)
イディオッツ
イット・フォローズ
1917 命をかけた伝令
エターナルサンシャイン
エンジェル、見えない恋人
オリーブの林をぬけて



〈か行〉
奇跡の海
キートンの探偵学入門
きみに読む物語
きみに読む物語その2
キングスマン
キングスマン : ゴールデン・サークル
狂い咲きサンダーロード
軽蔑
(500)日のサマー



〈さ行〉
サスペリア
サスペリア(ルカ・グァダニーノ版)
三月のライオン
シェイプ・オブ・ウォーター
シャークネード・シリーズ(1〜5)
シャークネード6 ラストチェーンソー
ジョジョ・ラビット
スウィート17モンスター
スプリット
そして人生はつづく
ゾンゲリア



〈た行〉
ダンケルク
チェイシング・エイミー
ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌
チャイルド・マスター
天気の子
ドッグヴィル
ドグラ・マグラ
友達のうちはどこ?
トラフィック
トリプルヘッド・ジョーズ
ドント・ブリーズ



〈な行〉




〈は行〉
ハイテンション
バッファロー'66
HOUSE
パラドクス
バリー・リンドン
フォレスト・ガンプ/一期一会
フォロウィング
冬の怪談 〜ぼくとワタシとおばあちゃんの物語〜
ザ・フライ
ブルーバレンタイン
ベイビー・ドライバー
ボヘミアン・ラプソディ



〈ま行〉
マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり
マンダレイ
ミッドサマー
ムーンライズ・キングダム



〈や行〉



〈ら行〉
ラースと、その彼女
ルチオ・フルチの新デモンズ



〈わ行〉
若者のすべて
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド



〈その他映画記事〉
失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選
【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介
好きなゾンビコメディ15選
My Favoriteホラー映画10選のリスト〜〜。








〈今月のふぇいばりっと映画〉
2018/9
ジャンゴ 繋がれざるもの/レディプレイヤー1/P.S.アイラブユー/禁断の惑星/巨大クモ軍団vs GoGoダンサーズ

2018/10
サタデー・ナイト・フィーバー/ニュー・シネマ・パラダイス/カビリアの夜/プールサイド・デイズ

2018/11
エンドレス・ポエトリー/君の名前で僕を呼んで/マルホランド・ドライブ/ストレイト・ストーリー/早春 (DEEP END)

2018/12
柔らかい殻/普通の人々/フィールド・オブ・ドリームス/メッセージ/時計仕掛けのオレンジ/ブロンド少女は過激に美しく/ドライヴ/エド・ウッド

2019/1
お熱いのがお好き/リバディ・バランスを射った男/ストレンジャー・ザン・パラダイス/ソナチネ

2019/2
アクアマン/新婚道中記/道

2019/3
夜の大捜査線/ヤコペッティの大残酷/タワーリング・インフェルノ

2019/4
暗殺のオペラ/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/地球に落ちてきた男/地上より永遠に

2019/5
search サーチ/怪怪怪怪物!/クーリンチェ少年殺人事件/ヘレディタリー 継承

2019/6
ブルー・ベルベット/パターソン/ライフ/11:46/カランコエの花

2019/7
トゥルーマン・ショー/スリザー/ラストベガス/セブン/メリーに首ったけ/愛と青春の旅立ち/ネクロノミカン

2019/8
ベンジャミン・バトン 数奇な人生/とらわれて夏/孤独なふりした世界で/メイクアップ 狂気の3P/世界一キライなあなたに/トイストーリー4/チャイルドプレイ(2019)

2019/9
アス/イングロリアス・バスターズ/サスペリアpart2

2019/10〜11
レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで
/ふたりの5つの分かれ路/ことの終わり/ワンダーランド駅で/マローボーン家の掟/映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

2019/12
ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U/スクリーム4

2020/1
死霊の罠/死霊の罠2 ヒデキ/ミスト/悪魔のいけにえ/要塞警察/サマー・オブ・84

2020/2
ウォールフラワー/undo/来る/グエムル 漢江の怪物

2020/3
ウィッカーマン(1973)/アメリカン・サイコ/DAGON/処刑山2 ナチゾンビvsソビエトゾンビ/桐島、部活やめるってよ

目次(音楽・漫画・その他)

〈音楽関連〉

indigo la End

01st AL『幸せが溢れたら』
02nd AL『藍色ミュージック』
03rd AL『Crying End Roll』
04th AL『PULSATE』
05th AL『濡れゆく私小説』

スピッツ

〈アルバム〉
08th『フェイクファー』
13th『とげまる』
15th『醒めない』
16th『見っけ』

〈曲〉
「エンドロールには早すぎる」
「子グマ!子グマ!」


サカナクション

『834.194』感想 -東京version-
『834.194』感想 -札幌version-


年末ランキング
2017年、私的アルバムランキング!
2018年、私的アルバムランキング!!
2019年、私的アルバムランキング!!!




〈漫画関連〉

駕籠真太郎
『殺殺草紙 大江戸無惨十三苦』
『ブレインダメージ』

加藤元浩
Q.E.D 証明終了』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻
③ 21巻〜30巻
④ 31巻〜40巻
『C.M.B 森羅博物館の事件目録』全巻読破計画
① 1巻〜10巻
② 11巻〜20巻

さくらももこ
『ちびしかくちゃん』(全2巻)

田島列島
『子供はわかってあげない』(上下巻)

吉富昭仁
『地球の放課後』(全6巻)

アンソロジー
怪談マンガアンソロジー『コミック幽』




〈まるっきりその他〉

君に捧げる「作中作」ミステリ10選

😎へへへ、昨日Twitterでお友達のフミさんに捧げるためにやったやつですが、貧乏性なのでついでにブログに載せて記事数を稼いどこうと思います🔥🔥


今回選んだのは作中作が出てくるミステリの10選。
個人的な好みが反映され、作中作をテキストとして読み解いていくタイプの作品ばかりになりました。

それでは10選れっつごー。





1.三津田信三『作者不詳』

謎を残して終わる怪奇小説ばかりが載った同人誌を入手した三津田信三は、自らその謎を解いていく。しかしやがて彼の身の回りで奇怪なことが起こり始め......。


作中作単体で読めば怪奇小説としてムンムンな雰囲気を楽しめます。しかし枠部分が解決編になることでクセのあるトリックが炸裂するミステリ短編集に早変わり。しかし、最後まで読んでみるとやはり長編怪奇小説になってしまうという、ホラーとミステリの味変が効いた贅沢な逸品です。





2.依井貴裕夜想曲

山荘で開かれた同窓会で、参加メンバーたちが次々と殺されてゆく。事件のさなか、俳優の桜木の元には事件を小説化したような原稿が届き......。


これはもう作中作を使ったメイントリックがヤバいです。思いついたとしても普通やらねえだろっていう狂気じみたアイデア。それを成し遂げたことに拍手。この騙しへのこだわりはさすが泡坂妻夫の弟子。
正直労作すぎて読みづらいけど、このトリックを体験するためだけにでも読む価値あります。





3.米澤穂信愚者のエンドロール

氷菓』に続く古典部シリーズ第2弾。
とあるクラスが文化祭に出展する予定のミステリ映画。しかし、解決編の脚本が書かれず尻切れトンボに。クラスの一員から相談を受けた折木らは脚本家の意図した「解決」を探すが......。


「未完のミステリ映画」の真相を探っていくわけですが、なんせ未完なので解釈だけならいくらでも可能。書かれた部分までを問題編として登場人物たちによる多重解決が繰り広げられていくのが圧巻。もちろんこのシリーズらしい苦味も。青春ミステリの傑作です。





4.島田荘司『ネジ式ザゼツキー』

記憶障害の男が書いたのは、蜜柑の木の上の国やネジ式の関節の妖精が出てくるファンタジーともとれる物語。それを読んだ御手洗潔は、物語に隠された男の過去を解きほぐしていく。


作中作のテキストがわけわかめで、とっかかりが全く見えないのに、御手洗にかかるとするする〜〜とまさに絡まったイヤホンのコードをほどくように読み解かれてしまうのが鮮やかとしか言えねえ。同じ路線の『眩暈』や『アルカトラズ幻想』もオススメ。





5.浦賀和宏『究極の純愛小説を、君に』

樹海へと合宿に来た高校の文芸部の一同。しかし、謎の殺人鬼により部のメンバーはひとりひとり殺戮されていく。
八木剛は、密かに想いを寄せる草野美優を守ることができるのか......!?


作中作に隠された秘密を読み解いていくのが楽しい。そしてなにより、著者の別作品である「八木剛士シリーズ」をも本作の作中作のように取り込んで繰り広げられるメタすぎる展開が圧巻。さらに、著者の訃報により彼の本名が明かされたことで、本作はさらに深い余韻を残します。追悼。





6.泡坂妻夫『11枚のとらんぷ』

奇術ショーに出るはずの女性が殺害され、遺体の周りには奇術仲間が書いた奇術掌編集『11枚のとらんぷ』に出てくる小道具が散らばっていた。本の作者は謎解きに乗り出すが......。


本の中に本がまるまる一冊入ってるってことにまずわくわくせざるをえないですよね。作中作自体が著者の奇術愛と遊び心の伝わってくる楽しい作品であり、それが作中現実と繋がっていく鮮やかさもまさにマジックのよう。長編第1作にして泡坂さんらしさ全開の名作です。





7.沢村浩輔『夜の床屋』

本作は正直なところ作中作ものってほどではない気もしますが、一応作中作入ってるしあまりTLでも名前を見かけることが少ないので紹介します。

大学生の主人公たちが遭遇する日常の不思議を描いた短編集ですが、後半から超展開を見せて予想外の場所に着地するのに唖然。

作中作は、その着地への鍵を握っていて、作中現実とのあまりに遠い飛距離を演出しています。
また、全体に文体やキャラが上品な感じで、なんとも名状しがたいし面白いと断言は出来ないけど、好きとは断言できる偏愛の一冊です。





8.綾辻行人『どんどん橋、落ちた☆』

ミステリ作家綾辻行人の元に作家志望の青年から犯人当て短編の"問題編"が持ち込まれる。真相を当てようと意気込む綾辻だったが......。


先に紹介した『作者不詳』の元ネタとも思える、著者本人が作中作に挑む短編集。
とはいえそこは綾辻さん。うんうんと呻吟した挙句なかなか真相を当てられないのが可愛いです💕
各話、素人の青年が書いたという設定だからこそのメチャクチャな内容で、こんなものを商業的に発表するにはそりゃ作中作ということにでもしないと難しいだろうなぁ、という感じです。もちろん褒めてます。





9.ニック・カサヴェテス 監督『きみに読む物語

アルツハイマーで記憶をなくしゆく老女と、毎日彼女に会いに来ては、彼女の若い頃の日記を読み聞かせる老紳士。日記には、若き日の熱く激しい恋のことが記されていた。


はい、私がこれを入れないわけがないですよね。美しすぎるゴズリングとマクアダムスの熱烈な恋にきゅんきゅんで死ぬやつです。しかし、最後まで観ると意外と作中作ミステリ(まぁ日記だけど)にもなってる。作中テキストと現実との関係に泣いちゃう傑作です。ミスチル桜井も絶賛!





10.アン・リー 監督『ライフ・オブ・パイ

とある小説家が、取材のためインド人の青年・パイのもとを訪れる。パイはかつて嵐の中をトラと共に漂流して生還していた。パイは小説家にその時の一部始終を語って聞かせるが......。


口頭ですが、過去をお話として整理して語るというのも広い意味での作中作ということにしといてください。
パイ少年がトラと共に漂流する場面の映像が美しい冒険ファンタジー映画です。
が、それだけではなく、壮大なスケールと意外な展開で「物語を語ること」自体を描き出しているあたり、作中作ミステリとも言えると思います。





という感じで、小説メイン映画ちょこっとで私らしいセレクトが出来たかと思います。
次週以降も気が向いたら週一でやりたいけど弾切れしそうな気しかしないっすね。まぁぼちぼち。
んじゃ、ばいちゃ😎😎

イディオッツ

『奇跡の海』(1996)に続く"黄金の心"三部作の第2作です。

イディオッツ [DVD]

イディオッツ [DVD]

  • 発売日: 2011/09/07
  • メディア: DVD



深い悲しみに沈む女性カレンは、レストランで知的障害者の団体に出会う。
彼らは実は障害者のふりをして迷惑行為を行う団体だった。しかし、カレンは彼らに魅力を感じ、自らもその一員になる。




というわけで、『奇跡の海』や『ダンサーインザダーク』は1人の女性の人生に焦点が合わされているところ、本作はイディオッツという集団が主役でやや毛色が違う異色作になってます。
とりあえず、個人的にはあんま好きじゃないっすね。


一応、知的障害者のふりをする団体が出てきて、彼らに対する世間の人たちの上辺は優しく、でもあからさまに迷惑そうな態度を描いてたりするんだけど、それだけじゃなくて。
そんなことしてる彼らも、それを利用して無銭飲食とか詐欺とかチャチい犯罪をしてるだけだったり、挙げ句の果てには実際の障害者に差別的な暴言を吐いたりと、めちゃくちゃなんすよね。正直ダセえ。

そもそも、うーん、こんなこと言うとあれだけど、まぁ、そりゃあ私でも買おうとしてる家の隣にあの集団いたらああいう態度にはなるだろうし......。それを今更突きつけられても何を思えば良いのか......。ましてやそれを突きつけたいわけでもなさそうだし。
はい、感想なんか書いといてあれだけど、どうやってこの映画を観ればいいのかが、分からなかったんです。


ただ、パパのお迎えのシーンとか、最後とか、印象的なところはあったです。はい。

アレン・エスケンス『償いの雪が降る』読書感想文

先日まだギリギリ不要不急に外出してもOKだった頃にフォロワーさんたちと本屋に行って、ケーキおじさんって人に勧められて買った本です。

償いの雪が降る (創元推理文庫)

償いの雪が降る (創元推理文庫)



英語の授業のレポートで身近な人物の伝記を書くことになった大学生のジョーは、近所の介護施設を訪れ、そこでカールという老人を紹介される。
彼は30年前の少女暴行殺人事件で有罪になった男で、末期癌のために刑務所から出て施設に移されていた。
最初は手応えのあるレポートの題材としてカールの話を聞くジョーだったが、次第に事件に違和感を覚え、独自に調査を開始する......。



素晴らしかったです。激エモきゅんきゅん丸でした。


まず、普段あんまり翻訳ものを読まない身としては、どうしても海外の小説を読むときに文章読みづらかったらどうしようという不安を抱いてしまいますが、本作に関してはめちゃくちゃ読みやすかったです。
全編にわたり主人公の一人称で語られ、彼の性格上やや捻くれた言い回しが使われることもあるものの全体に平易な文体でつっかえることは少ないです。加えてストーリーはどんどん加速していくので序盤を超えたあたりからは面白くて一気に読んでしまいました。


内容としては、一方では30年前の事件と、その犯人とされるカールという男の壮絶な人生が軸となります。
もう一方では酒浸りの母親と自閉症の弟を実家に置いてきて一人暮らしで大学に通う主人公の家庭環境、そして隣家のキュートなGirlライラとの甘酸っぱい恋が描かれます。
そして、その2つの軸が邦題に冠された『償い』というキーワードで絡み合っていくのが見事。

つまり、ミステリファンならみんな大好きなスリーピング・マーダーもの(解決済みとされる過去の事件を調べてくやつ)でありつつ、私が個人的に大好きな青春恋愛小説の側面もある、一冊で何度も美味しい作品なんです!



まず、主人公のジョーのキャラクターが魅力的というか、とても良いです。
彼は冴えないように見えて賢いしできる子なんですけど、それだけに「自分はつらい環境にいるんだから」という青い傲慢さをも持っていて、それによってちょいちょい怒られ案件を起こしたりするのに等身大な感情移入が出来ました。
ヒロインのライラへの恋も、最初は「隣に住んでて可愛いから」くらいのもので、彼女にも素っ気なくされるのでやきもきしますね。

そんな彼が、本書の物語を通して他人にも過去があるということを身をもって知り、視野を広げていくところが見どころです。
最初は概ね共感しつつ反感をも抱かせる主人公に、だんだんだんだん愛着を沸かせていくのが凄い。
また、彼を生暖かく見守るヒロインのライラも素敵。彼女のためのシーンではことごとく感情を揺さぶられましたね。恋って素敵よね💕



......一方、カールという男の逮捕されるまでの半生についてもまた読み応えがあります。
ゆっても「母親が酒浸りでうんぬん」くらいのジョーに比べ、彼は戦争経験者で、その語りは壮絶。彼の過去のエピソードは、本書の第一のクライマックスと言ってもいいでしょう。実際、私なんかはちょっと本を閉じてショックでため息をついたくらいですから。
そして、読者は冤罪というものについて考えざるを得なくなります。彼が本当に少女を殺したのか?それは定かではありませんが、もしもこれが冤罪だとしたら、人生の大半を塀の中で過ごすとはどういうことなのか......。想像もつかないし、それでもなんとか想像しても、言葉にはならないですよ......。


そして、そこからは、これまでどちらかと言えば「静」の印象だった(それでもぐいぐい読ませてた)物語がガラッと「動」のモードに切り替わり、一気読み不可避。
ミステリとしては予想のつく範囲にとどまりやや物足りないものの、サスペンスとしてはぐわんぐわんと振り回されて圧倒的に面白く、合間合間でちゃっかり恋模様もエモい。
まぁ、ここまでしっちゃかめっちゃかにしちゃう主人公に「おいおいやめとけよ......」とは思うんだけど、そのめちゃくちゃさが若さですよ!眩しい!!

そうしてぐわんぐわんと振り回された挙句、最終章ではしんみりと泣けますからね。てか終盤はわりとずっと泣いてましたね。



そして、読了後タイトルと表紙を見てしんみりと余韻に浸りました。
苦味、甘酸っぱさ、ハラハラ、ドキドキ、絶望、多幸感、全てが詰まった傑作でした。



以下、少しだけネタバレで良かったとこを。

































ジョーは「償い」というキーワードでカールと、またライラはレイプ被害でクリスタルとそれぞれ対応している造りが良いですね。
過去と現在の全く異なる話ながらもこうした繋がり方で群像劇として綺麗にまとまってます。
結末はこの状況における最大限のハッピーエンドで、苦味や今後の課題をも抱えつつ、雪道に一筋の光が差した表紙の写真のようなほのかな多幸感を感じます。
まぁ、懸賞金のくだりはさすがにうまいこといきすぎやろ......って思ったけど笑


あと、ライラとの初デートのシーンと初チョメチョメのシーンがとても美しかった。やっぱり女の子って可愛いですよね。うん、ネタバレ感想という名目でそれだけ言いたかった。ライラちゃん可愛い。

奇跡の海

ラース・フォン・トリアーにハマってます。

もうほんと、最悪な映画しかないんだけど、その最悪がなぜかクセになるんですよね......。



本作『奇跡の海』は1996年の作品で、『イディオッツ』(1998)、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)と並んで『黄金の心』3部作として位置付けられる作品です。

3部作とは言っても話が繋がってたりってことは全くないんですけど、一応純真無垢な女性の主人公が酷い目に遭う、というのが共通テーマになっています。

中でも2作目のイディオッツはちょっと異色で評価しづらいのですが、あとの2作品はもう観たことを後悔するしかないレベルで後味悪い。よく胸糞映画として紹介されてますが、私が今まで見た映画の中でもほんとトップクラスに後味悪いっすね。
ただ、それでも彼女らの生き様をどっぷりと観せられるのでかなり感情移入しちゃうし見終わったあとの満腹感は凄いですからね。そういうとこがクセになるんでしょうね。はい。

そんな3部作の始まりが、本作『奇跡の海』なわけでして......。

奇跡の海 (字幕版)

奇跡の海 (字幕版)

  • 発売日: 2017/04/10
  • メディア: Prime Video





まじでさぁ、もうほんとクソだわ。ほんとクソ。うんこフォントリアー!死ね!クソファック!うんこ!




1970年代、スコットランド。厳格な教会の影響が色濃い田舎の村に住むベスは、他所から来た労働者のヤンと結婚する。
愛し合う2人だったが、ヤンは仕事であちこちを飛び回り、なかなか一緒に過ごすことができない。信仰心の篤いベスは、神様にヤンが戻ってくるよう祈るが......。


はい......。
本作は8章立て150分ちょいの大作。
主人公ベスがヤンと結婚式を挙げる場面から始まります。
近作の『メランコリア』でもそうですが、トリアーは結婚式を決して幸せなだけには描かないんですね。本作のがまだマシだけど、この後嫌なことが起きそうな予感に満ちてます......。

そして、そのシーンの終わりでベスがウェディングドレス姿で仕事のためにヘリに乗り込むヤンとの別れを嘆くのを観て、主人公である彼女に心を掴まれてしまいました。
ベスはこの3部作に特有の純粋で愚かな(それこそ知恵遅れかと思うような)女として描かれています。
彼女は心を病んでて、一人二役で神様とお喋りしたりもしてるんです。そして、神を信じ、他人も信じ、疑うことを知らない。
多分だけど、純粋な美しい心というのは愚者にしか宿らないという世界観なんでしょうね。

一方、同じ愚か者でも権力の味を知ってしまっている神父さんたち教会の男たちの醜さたるや、本当にうんこです💩
なんかもう、分かりやすく「人間の醜さ」を戯画化したようなやつらで、こいつらへのムカつきから余計にベスに感情移入しちゃう。
男だけで勝手に宗教ごっこやりやがって。お前らみたいなうんこはさっさと死ねばいいんだクソ。あとこんなやつら出すトリアー監督も死ねクソ。

そして、本作で最も賢い人として描かれているのはベスの義姉のドドだと思います。
彼女はベスに同情し、優しくしながらも、どこかでやはりベスのアホさについていけてなくて俯瞰で観てる私たちからすると的外れなことをしちゃってます。良い人なんだけど、良い人として振る舞っているにすぎなくて、ベスのような純粋な心はもう失ってしまっているような。
そんな感じで、結構分かりやすくキャラが対比されてるので観ててあちゃ〜ってなりますね。はい。

後半からはベスの信じやすい性格のせいでどんどん物事が悪い方に転がっていって、さすがにこっちも「おいおい何やってんだよ〜」とベスを叱りたくなってしまいますが、だからこそ彼女は美しい。こりゃもう、世界がおかしいとしか言えないのです。

そうこうして、デヴィッド・ボウイのかの名曲とともに物語は静かな終わりを迎えるのですが、終わり方が凄かった。皮肉でありながら美しく、絶望でありながら希望の光が差す、みたいな。

(ネタバレ→)
いい加減、神様なんか信じられなくなったところで、鐘の音が鳴るあの荘厳な美しさ。
あれを聴いたのがヤンだけならば妄想かと思うところですが、みんなで聴いてるとあっては、超自然的な、つまりは神の存在を感じざるを得ません。ベスがベスだったからこそ、この奇跡は起きたのだと言う気がしますね。
ちょっと違うけど、私の好きな太宰治の「葉桜と魔笛」という短編にもちょっと似たシーンがあります。あれも名作。

そんな感じで、本作はまだしも観て良かったと思える作品ではありました(もちろんクソ最悪だけど)。