偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

エル・スール(1982)

1957年の秋のある朝。エストレリャは枕の下に父の大切にしていた振り子を見つけ、父がこの世を去ったことを知る。内戦の最中に南の故郷を捨て家族と共に北の地にあるこの家にやってきた父。エストレリャは幼い頃の父と過ごした日々を回想しながら、父の苦悩…

シャークナイト(2011)

湖の中の島にある別荘にバカンスに来たサラたち大学生グループ。しかし1人がサメに腕を食いちぎられ、島から逃げようとする彼らをさらなる悲劇が襲う......。シャーク・ナイト (字幕版)サラ・パクストンAmazon クソサメ映画だと思ったらちゃんとした映画で、…

コット、はじまりの夏(2022)

無口な少女コットは家でも学校でも軽んじられて生きていたが、弟が生まれるために一夏のあいだ田舎に住む親戚のアイリンとショーン夫妻の家に預けられることになる。 子供のいない夫妻はコットに淡々と愛情を注ぎ、コットは少しずつ自分を肯定できるようにな…

喜国雅彦『嗜好機械の事件簿』感想

嗜好機械の事件簿作者:喜国 雅彦東京創元社Amazon車両消失トリックがジオラマで楽しめる鉄道ミステリ博物館や、そして誰もいなくなりそうなクローズドサークルで生き延びる方法、衆人環視の密室殺人の驚愕トリック(読者への挑戦付き)に、コロナ時代の探偵事…

真造圭伍『センチメンタル無反応』感想

全然知らなかった作家さんのノンシリーズ短編集でしたがけっこー好きでした。センチメンタル無反応 真造圭伍短編集 (ビッグコミックススペシャル)作者:真造圭伍小学館Amazon色んな味わいの8編を収録した短編集で、悪く言えばまとまりのない1冊ではあるけど、…

高野雀『さよならガールフレンド』感想

コミティア見本誌読書会で1位になったという表題作など6編を収録した著者デビュー短編集。さよならガールフレンド (FEEL COMICS swing)作者:高野雀祥伝社Amazon漫画の後ろに書いてある「ドン!」とか「ガーン!」みたいな擬音語あるじゃないですか?本書はあ…

佐原ミズ『バス走る。』

ドラマ化されてタイトルは聞いたことある『マイガール』などの著者によるオムニバス短編集。バス走る。[新装版] (ゼノンコミックス)作者:佐原ミズコアミックスAmazon表題の通りバスを舞台にした「バス走る。」の5編に加え、7つの曜日を7つの色になぞらえる…

久野遥子『甘木唯子のツノと愛』感想

著者の漫画デビュー作ですが、調べたら岩井俊二監督の『花とアリス殺人事件』やクレヨンしんちゃんの劇場版のいくつかの作品などに関わっているアニメーターらしくて驚いた。甘木唯子のツノと愛 (ビームコミックス)作者:久野 遥子KADOKAWAAmazon著者がアニメ…

ヤマシタトモコ『運命の女の子』感想

こないだ読んだ『ミラーボールフラッシングマジック』が良かったので読んでみましたが、軽めの読み味のあちらに比べて本書はかなりヘビーで、これまた面白かったです。運命の女の子 (アフタヌーンコミックス)作者:ヤマシタトモコ講談社Amazon帯の言葉を借り…

青山景『ストロボライト』感想

大学の時くらいに読んだ気がするけど、まぁそん時は童貞でしたしこういう恋愛モノはよく分からなかったので、単巻漫画にハマったこの機会に再読しました。ストロボライト作者:青山 景太田出版Amazon 夜行列車で過去を小説に書く作家の浜崎正。 ......大学時…

ミスティック・フォレスト 〜"アレ"と"ソレ"がいる森〜(2019)

クリーチャーをフィーチャー!!!というわけで、大須シネマさんの「サメとカニとアレと」で観てきました。↑下のポスター、詐欺にもほどがあるやろ。 「監督脚本ジョン・ミリオーレ」で覚悟は決めていたつもりでしたが、甘かった。正真正銘のダメ映画でした.…

ええっ?キメたカニ(2022)

大須シネマさんの「サメとカニとアレと」で観てきました!!!宇宙から飛来した宇宙蟹が地球の大学生にコカインを強要されてラリってしまい人を殺していくZ級パニックムービー。冒頭からしてオモチャの蟹がカタカタカタカタ言ってて、低予算とかZ級とか言っ…

ストップ・メイキング・センス(1984)

以前『アメリカン・ユートピア』をお家で観てめちゃくちゃ良かったので本作の4Kレストア版が公開されると聞いてぜってえ映画館で観てやるぜ!と思ってたので、センチュリーシネマに観に行ってきました!ストップ・メイキング・センス [DVD]トーキング・ヘッ…

石沢麻依『貝に続く場所にて』感想

リーガルリリーのBass.海さんがInstagramに載せてたので読んでみました。貝に続く場所にて (講談社文庫)作者:石沢麻依講談社Amazon コロナ禍のドイツ・ゲッティンゲン。 「私」は9年前の東日本大震災で津波に呑み込まれた知人の野宮と会う約束をしていた。現…

九段理江『東京都同情塔』感想?

前作『schoolgirl』がめちゃくちゃ良かったので新作が出たらすぐ買って読もう!と決めていた著者ですが、まさかの発売前日に芥川賞を受賞してどこの本屋に行っても売り切れ!というのを経てしばらく待ってからようやく買うことができました。東京都同情塔作…

2024年1月に聴いた音楽まとめ

音楽好きなのでブログに音楽の話も書きたいんだけどアルバム感想を書き始めるとめちゃ長文になってしまってなかなか骨が折れるのでその月に聴いたアルバムや曲を一言で紹介するコーナーを始めようと思います!毎月ちゃんとやれるかは不明! アルバム The Bir…

辻村深月『水底フェスタ』感想

辻村深月による夏フェスが開催される山村での青春を描いた長編。水底フェスタ作者:辻村深月文藝春秋Amazon ロックフェスを誘致した湖畔の山村・六ツ代村。 フェスの夜、高校生の広海は、この村出身の女優の由貴美と出会い、恋に落ちる。しかし彼女が村に帰っ…

いしいしんじ『ぶらんこ乗り』感想

リーガルリリーのたかはしほのか先生が「この本がなかったら歌詞を書いてなかった」みたいなこと言ってて、実際たかはし先生の初期作品への多大なる影響が(ぶらんこという曲もあるくらいだし)感じられる作品でした。ぶらんこ乗り (新潮文庫)作者:いしい しん…

コントラクト・キラー(1990)

15年間勤めた職場を外国人だからとクビになったアンリ。自殺を試みるも失敗し、殺し屋に自分を殺して欲しいと依頼する。しかし花売りの女性マーガレットに一目惚れして生きたいと思うようになり、殺し屋から逃げることになる......。コントラクト・キラー (…

哀れなるものたち(2023)

マッドサイエンティストの"ゴッド"の手により、自殺した妊婦の体に胎児の脳を移植して造られたベラ。見た目は大人、頭脳は幼児の彼女だったが、旅に出て世界や他者を知ることで成長していき......。 2作ほど観たことあるけどあんまピンと来てなかったヨルゴ…

カラオケ行こ!(2024)

中学3年で合唱部部長の聡実は合唱コンクールの帰り、見知らぬヤクザの成田狂児に「カラオケ行こ」と誘われる。狂児は組のカラオケ大会の"歌ヘタ王"への罰ゲームを逃れるために歌の指導をしてほしいと言い......。 原作は未読ながら、原作者の和山やまさんの…

新・死霊のえじき(1995)

タイトルだけで惹かれてDVDを買ってしまった本作。 もちろん『死霊のえじき』とは何の関係もございません。新・死霊のえじき [DVD]ゲイリー・ミラーAmazon ロックコンサート帰りの若者たちがゾンビに襲われるお話なんですが、このゾンビが実は吸血鬼なんです…

リュミエール!(2016)

シネマトグラフを発明し「映画の祖」とされるリュミエール兄弟が、1895年から1905年にかけて撮影した1400本以上の作品の中から108本を厳選して修復し、ナレーション解説付きで観られる作品集。リュミエール!(字幕版)ティエリー・フレモーAmazon 解説が字幕で…

枯れ葉(2023)

スーパーで働く女アンサは仕事を失い、アル中の男ホラッパは酒に溺れながら建設現場で働いていた。それぞれ友人に連れられて行ったカラオケバーで出会った2人は互いに惹かれ合うが、不運と不器用さから幾度もすれ違うことになり......。 名古屋市をお散歩し…

和山やま『夢中さ、きみに。』感想

妻が友達に借りてたのを読ませてもらいました。夢中さ、きみに。 (ビームコミックス)作者:和山 やまKADOKAWAAmazon高校2年生の変人林くんと周囲の人々の交流を描く4編と、中学時代にモテすぎたトラウマから逆高校デビューをした高2の二階堂くんを描く4編から…

東区とかそのへんとか名駅。

文化のみち界隈。ボンボン。 昔よく父が買ってきてたけど店に行くのは2回目とか。サバランがあるのが嬉しいよね。 久国寺。岡本太郎さんのトゲトゲの鐘がありました。 普光寺。大仏がおった。途中にあったパン屋さんでコロッケサンドを買った。美味しかった…

谷川史子『忘れられない』感想

忘れられない (マーガレットコミックスDIGITAL)作者:谷川史子集英社Amazon少女漫画を読むなんてこともなかなかない経験ですけど、めちゃ良かったわ......。なんつーか、俺たち男子が「卍、解!!!」と叫びながらぼくの考えた最強の斬魄刀で戦ってる間に女子…

青池保子『エル・アルコン -鷹-』感想

フォロワーのこいさんに勧められて読みました!こいさん、あざまる。エル・アルコンー鷹ー (秋田文庫 20-15)作者:青池 保子秋田書店Amazon 16世紀末、イギリス。海軍将校のティリアン・パーシモンは、敵国スペインと内通しながら世界の七つの海を制覇すると…

町田洋『夜とコンクリート』感想

フォロワーが好きって言ってたので気になってた漫画の短編集。夜とコンクリート作者:町田洋祥伝社Amazon白が多く極度にデフォルメされた絵柄は無機質さと暖かさを同時に感じさせるものでとても良い。 上手く言えないけど、私たち世代が子供の頃を思い出す時…

リーガルリリーの新曲「17」が出たのでみなさん聴いてください。よろしくお願いします。

煌めきというものはどんなに明るくキラキラ光っていてもどこかその中に儚さがあるものだと思う。 そんなことを感じさせるリーガルリリーの新曲「17」が出たので、今この文章を読んでいる方は全員聴いてください。17Sony Music Labels Inc.Amazonリーガルリリ…