偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

2018-01-01から1年間の記事一覧

多島斗志之『追憶列車』読書感想文

というわけで、こないだ『不思議島』を読んでそのまま連チャンで多島斗志之作品を。 長編の後は短編でも......と思い、短編集の本作をチョイスしてみました。ちなみに本作は単行本の収録作から2本ほど差し替えられているらしく、機会があれば単行本の方も読…

ムーンライズ・キングダム

ムーンライズ・キングダム スペシャル・プライス [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)発売日: 2014/11/05メディア: DVDこの商品を含むブログ (4件) を見る製作年:2012年 監督:ウェス・アンダーソン 出演: ジャレット・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブル…

多島斗志之『不思議島』読書感想文

多島斗志之。 本人が失明することを厭って失踪してしまったということが話題になった作家ですが、結局発見されることなく、恐らく死亡認定がなされてしまっているであろう年月が経ってしまっています。そういうことは知っていながらも作品は読んだことがなか…

米澤穂信『真実の10メートル手前』読書感想文

『さよなら妖精』『王とサーカス』に連なる大刀洗万智のシリーズの短編集。真実の10メートル手前 (創元推理文庫)作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/03/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る 1話目は新聞記者時代の、2話…

現代ホラー傑作選 第2集『魔法の水』読書感想文

角川ホラーのアンソロジーシリーズの第2弾。編者は村上龍。収録作品は、村上春樹「鏡」 山田詠美「桔梗」 連城三紀彦「ひと夏の肌」 椎名誠「箱の中」 原田宗典「飢えたナイフ」 吉本ばなな「らせん」 景山民夫「葬式」 森瑤子「海豚」 村上龍「ペンライト」…

武者小路実篤『友情』読書感想文

武者小路実篤という名前は前から聞いたことがあったのですが、彼の耄碌してから書いたらしい文章 僕も八十九歳になり、少し老人になったらしい。人間もいくらか老人になったらしい、人間としては少し老人になりすぎたらしい。いくらか賢くなったかもしれない…

浦賀和宏『HELL 女王暗殺』読書感想文

前作『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』の姉妹編というか前日譚というか、な続編です。HELL 女王暗殺 (幻冬舎文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/06/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 色んな話が交差してややこしかった…

怪談マンガアンソロジー『コミック幽』

先日友人と小牧古書センターへ行ってきました。お店の広さはブックオフの小型店より小さいくらいでしたが、雑誌(バイクとか音楽多め、『幻影城』なんかも!)、エロ本、そして漫画が充実したお店でした。そこでなんとなく手に取って、収録された作家のメンツ…

感想を書くときに気をつけていることについての頭空っぽな文章

こないだツイッターでなんとなく「ブログ」というものの話題になった時、なんとなく私が「ブログ書く時気をつけてることありますか?」と言ったら、その後フォロワーさんが気をつけてることについてブログに書いてたんですね。それ読んでなるほどなぁと思っ…

三津田信三『碆霊の如き祀るもの』読書感想文

刀城言耶シリーズ、前作より6年ぶりの第七長編。 元は刀城言耶シリーズのつもりだった炭鉱もののホラーミステリが『黒面の狐』として出されたこともあって期間が空きましたね。というか、むしろそれ以前の年1冊ペースでこの濃厚なシリーズを出版していた状態…

辻村深月『かがみの孤城』読書感想文

辻村深月、『冷たい校舎の時は止まる』くらいしか読んだことがないのですが、あれは面白かった記憶があります。本作はそんな辻村さんの原点回帰的な作品だそうで、たしかにデビュー作である『冷たい校舎』に似た部分や、あれを踏まえて進化した部分が多いよ…

バッファロー'66

最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた ......その通りです、とびっきりの天使に出会いました。 バッファロー'66 [DVD]出版社/メーカー: ギャガ・コミュニケーションズ発売日: 2014/03/28メディア: DVDこの商品を含むブログ (9件) を見る製作年:1998年 …

浦賀和宏『HEAVEN 萩原重化学工業連続殺人事件』読書感想文

元は2011年に講談社ノベルスより発表された、萩原重化学工業シリーズ(=安藤直樹シーズン2)第一弾。この度どういった大人の事情があったのか、講談社ではなく幻冬舎から大幅な加筆修正を経て文庫化されました。 講談社も早く安藤シリーズ文庫化して〜〜 HEAVE…

浦賀和宏『透明人間』安藤直樹シリーズその7

透明人間 (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/11/17メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る幼い頃、理美は透明人間を見た。それから少しして、理美の父は雪が積もる神社の境内で不審死を遂げた。状況は殺人とみられ…

浦賀和宏『学園祭の悪魔』安藤直樹シリーズその6

学園祭の悪魔 (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/30メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 穂波留美の同級生の"私"は友達も多くクラスでカーストそこそこ上位の普通の女子高生。でも両親が毎日喧嘩してたり、暗…

浦賀和宏『記号を喰う魔女』安藤直樹シリーズその5

記号を喰う魔女 (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/05メディア: 新書購入: 3人 クリック: 202回この商品を含むブログ (27件) を見る 安藤直樹シリーズ。本書は、もう完全にぶっ壊れてしまっている人たちのお話。彼らの狂気…

浦賀和宏『とらわれびと』安藤直樹シリーズその4

とらわれびと (講談社ノベルス)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/23メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 安藤直樹シリーズ第4弾。 今回は、大学病院で起こる現代の切り裂きジャック事件に、留美ちゃんとその友達の亜紀子ちゃ…

浦賀和宏『頭蓋骨の中の楽園』安藤直樹シリーズその3

頭蓋骨の中の楽園(上) (講談社文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/09/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る頭蓋骨の中の楽園(下) (講談社文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/09/12メディア: 文庫こ…

浦賀和宏『時の鳥籠』安藤直樹シリーズその2

時の鳥籠(上) (講談社文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る時の鳥籠(下) (講談社文庫)作者: 浦賀和宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/15メディア: 文庫この商品を含むブロ…

浦賀和宏『記憶の果て』安藤直樹シリーズその1

えー、こないだ幻冬舎から安藤直樹シリーズ2ndシーズン、またの名を萩原重化学工業シリーズの『萩原重化学工業連続殺人事件』『女王暗殺』が文庫化されました。 で、この2冊をここんとこずっと読んでるので、この2冊の感想を書く前に昔書いた1stシーズンの方…

キングスマン : ゴールデン・サークル

私は有言不実行の男です。 「キングスマン」を観た時、「続編は映画館で見る!」と豪語しておきながら、見事にレンタルを待って借りて観ました。......しょうがないよ、落ち込んでる時期だったもんっ。 というわけで、あの傑作の続編なワケですが......。 キ…

ザ・フライ

1958年の『蠅男の恐怖』のリメイクです。 リメイクとは言っても、そこは天下のクローネンバーグ大先生でして、ストーリー展開もテーマも見事に換骨奪胎して現代風にアップデートされています。 まぁ正直私はシンプルなラブストーリーだった前作の方が好みで…

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』読書感想文

もともと森見登美彦は好きなんですが、ミーハー気質なので映画化決定と聞いたらむらむらと読みたくなって読みました。 ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)作者: 森見登美彦,くまおり純出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/11/2…

友成純一『ホラー映画ベスト10殺人事件』読書感想文

ホラー映画批評家の庄内の身の周りで、彼の選んだ「ホラー映画ベスト10」になぞらえた連続殺人事件が起こる。犯人と目された庄内だが、彼の背後にも真犯人の魔の手は迫っていた......! メディア: この商品を含むブログを見る あらすじは見立て殺人モノのミ…

「ドント・ブリーズ」My Favorite ホラー映画10選その1

ホラー10選、一本目はこちら! ドント・ブリーズ [AmazonDVDコレクション]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2017/10/04メディア: DVDこの商品を含むブログを見るまぁ最初なんで最近のけっこう流行ったやつを入れてみました。…

My Favorite ホラー映画10選のリスト〜。

こんにちは。突然ですが今日から私の極私的偏愛ホラー映画10選を紹介していくぜ!というのも、先日、友成純一の『ホラー映画ベスト10殺人事件』を読んだので、感化されて私もホラー映画ベスト10を作ろう!と思い立った......はいいものの、ホラーにも色々あ…

山田風太郎『伊賀忍法帖』読書感想文

山風忍法帖!Yeah!伊賀忍法帖 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)作者: 山田風太郎出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/10/23メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見るタイトルからなんとなく…

甲賀三郎『蟇屋敷の殺人』読書感想文

KAWADEノスタルジック怪奇・探偵・幻想シリーズ。甲賀三郎が昭和13年に発表した長編本格探偵小説です。この年は戦時下の探偵小説自粛ムードがはじまる前年で、戦前の長編本格ミステリとしては最後に近いものだろうと思われます。 しかし内容はおどろおどろし…

西澤保彦『小説家 森奈津子の華麗なる事件簿』読書感想文

森奈津子シリーズ。 祥伝社文庫の中編「なつこ、孤島に囚われ。」、徳間文庫の短編集『キス』を一冊にまとめた再文庫化作品です。内容としてはSF×ミステリ×エロスということですが、前半はコメディタッチ、後半はやや真面目な雰囲気と一冊の中で作風が大きく…

「軽蔑」(ゴダールのやつ)

面白いけど好きじゃない映画、面白くないけど好きな映画、あります。面白くない上に嫌いだけど心に刺さる映画もまた......。これは最後のやつでしたね。軽蔑 [Blu-ray]出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2017/09/29メディア: Blu-rayこの商品を含…