偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

浦賀和宏『学園祭の悪魔』安藤直樹シリーズその6



穂波留美の同級生の"私"は友達も多くクラスでカーストそこそこ上位の普通の女子高生。でも両親が毎日喧嘩してたり、暗くて友達もいない穂波留美のカレシの安藤くんに岡惚れしちゃったり、ほんとは世界一不幸な女の子なのです。高校生にもなって未だにバージンだしね。ぐすん。

だいぶふざけてるけど、ほんとにこんな感じの語り口でこんな感じの話なんです。シリーズ史上最短の短さで、8割がた読むまでは連続殺犬事件(解決もしょーもない)と過去作の事件の話題が出るだけであとは安藤と留美にちょっかいをかける主人公の日常を描いただけのお話です。といってもそれで自意識の溢れ具合だけで楽しく読めるからこの作者はすごい!あと主人公が映画ファンなのでアンタッチャブルとかファイトクラブとか好きな映画の話題がちょいちょい出てきて面白かったです。またこの作品のストーリー自体も私の好きなM・ナイト・シャマラン監督による「アンブレイカブル」へのオマージュになっていて嬉しかったです。

で、終盤になってようやく物凄いことが起きるんですけどこれがまぁひっどい!(褒めてます) どうして急にそんなことになっちゃったのかよく分からないですけど絵面的にインパクトありすぎて笑いながら泣きました。なんじゃこりゃ。
ここまでいっちゃうともう今後シリーズをどういう方向に持っていくのかまるっきり謎で次作が楽しみです。ファーストシーズンは次作が最後......。とはいえ、どう考えても次作でなにかが解決するわけじゃなさそうですけどね。