偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

2024-01-01から1年間の記事一覧

テネット(2020)

オッペンハイマーの公開に合わせて、公開時以来の2度目の鑑賞。 相変わらず何が何だかさっぱり分からんかったけど、分からんままなんとなく楽しむ力が付いたのか劇場で観た時よりも断然楽しめました。 TENET テネット [Blu-ray]ジョン・デイビッド・ワシント…

玄界灘は知っている(1961)

1944年、日本軍の兵士として徴兵され名古屋に入営した朝鮮人の青年ア・ロウン。朝鮮人への差別が罷り通る日本軍のしごきを受けながらも、やがて日本人の女性秀子と出会い、彼女に恋をするが......。金綺泳(キム・ギヨン) 傑作選 BOX (収録作品:《Blu-ray》『…

成功したオタク(2021)

中学生の頃から7年間に亘ってとある男性アイドルを推してきて、推し本人にも認知されテレビ番組での共演も果たした"成功したオタク"だったオ・セヨン監督。しかし、ある日推しが性加害で逮捕された。怒り、失望、悲しみ、様々な感情を抱え込んだ彼女は、同じ…

スピッツ『インディゴ地平線』感想

1997年リリース、前作で爆売れしたスピッツによる今でも最大の代表曲であろう「チェリー」も収録された7枚目のフルアルバム。インディゴ地平線アーティスト:スピッツユニバーサル ミュージックAmazonこのアルバムを初めて聴いたのはたぶん中学生の頃だと思う…

火女'82(1982)

ソウルに住む作曲家の夫と養鶏所を営む妻、2人の子供の一家。田舎から来た若い娘を家政婦として雇うが、ある夜酔っ払った夫が彼を誘惑する生徒の女と間違えて家政婦を強姦したことから一家は崩壊へと向かっていき......。金綺泳(キム・ギヨン) 傑作選 BOX (…

下女(1960)

先日京都に旅行に行った際に立ち寄った「誠光社」という本屋さんにキム・ギヨン傑作選のBlu-rayBOXがあって、旅行のテンションもあってついつい買っちゃったので一本ずつ観ていきたいと思います!キム・ギヨンの作品は全く観たことないのにポンジュノが言っ…

岡崎桜まつり(より団子)。

2024年3月に聴いた音楽まとめ

BaseBallBear「天使だったじゃないか」天使だったじゃないか [通常盤] [CD]アーティスト:Base Ball BearビクターエンタテインメントAmazon前作『DIARY KEY』から3年ぶりの作品となる本作は6曲入りのミニアルバム。正直3年待ったからフルアルバムを聴きたいと…

パリ、テキサス(1984)

テキサスの荒野を彷徨う男トラヴィス。4年間失踪していた彼を、弟のウォルトが見つけ出し連れ帰る。 妻が姿を消し、息子のハンターをウォルトとその妻アンに預けて失踪していたトラヴィスだったが、ハンターと共に妻のジェーンを探しにいくことを決め......…

リーガルリリー 『LIVE HOUSE TOUR2024』名古屋CLUB QUATTRO 2024.3.28

ツアー始まる直前にドラムのゆきやまさん脱退のニュースがあり衝撃を受けていたところからの脱退後初のライブということで、正直行くのが怖いってのもあったけど、行ったらまぁそりゃめちゃくちゃ良かったですわよ......ええ......。ライブ前に行った荒畑駅…

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

それでも、日本人は「戦争」を選んだ作者:加藤 陽子朝日出版社Amazon 日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、第二次世界大戦......近代の日本が経験した5つの戦争を、歴史学者の加藤先生が5日間に分けて中高生たちに語った講義録。中高生相手という…

村雲菜月『コレクターズ・ハイ』感想

フォロワーのちくわさんに紹介された本です。ちくわさん紹介あざ。コレクターズ・ハイ作者:村雲菜月講談社Amazon 癒し系キャラクター「なにゅなにゅ」オタクの三川は、ゲーセンで出会ったクレーンゲームオタクの森本さんととある契約をしていた。それは、森…

綿矢りさ『大地のゲーム』感想

近未来の日本を襲った巨大地震。政府は近いうちに第二の地震が来ると予報するが、とある大学に寝泊まりする学生たちはそれに逆らい、カリスマ的な男"リーダー"の元で狂騒的な暮らしを送っていた......。 大地のゲーム(新潮文庫)作者:綿矢 りさ新潮社Amazon…

沙東すず『奇貨』

名古屋の東山公園駅にあるON READINGさんという小さい本屋さんに岡本真帆さんのサイン本を買いに行ったら目が合ったので一緒に買ってきました。 いわゆるZINEというやつを初めて買ったので、なんか緊張しました。「メレ山メレ子」の筆名でいくつか著作のある…

若林理央『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』感想

妻が買ってきたので借りて読みました。母にはなれないかもしれない―― 産まない女のシスターフッド作者:若林理央旬報社Amazon 「子供を産まない」という選択をした著者が、同じように産まないことを選んだ女性や、産めなかった女性、産んだけど産みたくなかっ…

川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』

敬愛するリーガルリリーたかはしほのか先生が勧めていらっしゃったので読んでみました!すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)作者:川上未映子講談社Amazon フリーの校正者として働く34歳の入江冬子。他人と関わるのが苦手な彼女は、自宅で日々黙々と仕事をし…

北大路公子『私のことはほっといてください』感想

2014〜2016年に連載されたエッセイを集めた1冊。私のことはほっといてください (PHP文芸文庫)作者:北大路 公子PHP研究所Amazon もはやこの人の本の感想を書こうというのも野暮であり、なんでもいいから1冊買って、最初の1話だけ読んでみてくれ!そしたら面白…

吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』感想

リーガルリリーの海さんがInstagramに載せていたのと、フォロワーのまひろさんにも勧められていたので、信頼する2人が勧めているならまぁ好きだろうなと思ったらやっぱり好きでした。それからはス-プのことばかり考えて暮らした (中公文庫 よ 39-1)作者:吉田…

村上春樹『回転木馬のデッドヒート』感想

リーガルリリー海さんがInstagramで紹介していたので読みました!回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)作者:村上春樹講談社Amazon本書は著者本人がこれまでに色々な人から聞いたその人の人生のお話を短編小説風に書いたもので、厳密には小説ではない......…

道尾秀介『雷神』感想

埼玉で料理屋を営む幸人のもとにかかってきた脅迫電話。それをきっかけに、15年前の妻の不幸な事故死、そして30年前の故郷の村の祭りの夜の事件が、現在の彼と姉の亜沙実、19歳の一人娘・夕見を故郷の村へと引き戻し......。雷神 (新潮文庫 み 40-23)作者:道…

高瀬隼子『め生える』感想

『おいしいご飯が食べられますように』の高瀬隼子による、U-NEXTから出版された中編。め生える作者:高瀬 隼子U-NEXTAmazonU-NEXTが本を出してるってこと自体最近まで知らなかったんですが、そこから今最も注目してる作家の1人である高瀬さんの作品が出ていた…

梓崎優『リバーサイド・チルドレン』感想

カンボジアの川沿いの土地でストリートチルドレンとして暮らす日本人の少年ミサキ。自分を拾ってくれたヴェニイら6人の仲間たちとゴミ拾いをして暮らしていたが、ある日ストリートチルドレンを排除しようとする警官"黒"に仲間の1人が殺されてしまう。それを…

青崎優吾『地雷グリコ』感想

先日フォロワーのばぶるさんと初対面した時に本屋で買わされました。地雷グリコ (角川書店単行本)作者:青崎 有吾KADOKAWAAmazon 勝負事に強い女子高生の射守矢真兎と友人の鉱田ちゃんが挑むのは、じゃんけんで階段を上がるあのグリコ(ただし地雷段付き)の地…

小山田浩子『庭』感想

2013年から2018年に発表された短編・掌編を集めた1冊。庭 (新潮文庫)作者:小山田 浩子新潮社Amazon日常の中で感じるけどすぐに消えてしまうような気持ちを取り出しつつ、現実から少し遊離した白昼夢のような雰囲気もあり、「怖い」まで行かない不穏さにヒリ…

根本尚『怪奇探偵・写楽炎2 妖姫の国』感想

怪奇探偵・写楽炎 2 妖姫の国【文春デジタル漫画館】作者:根本 尚文藝春秋Amazon写楽炎シリーズ・第2集の本作は、洋物(?)の怪事件や異色作クイズマスター、ギャング団のお話など、1巻より事件の雰囲気のバリエーションが増えていて面白かった。 「奇想」と…

根本尚『怪奇探偵・写楽炎1 蛇人間』感想

怪奇探偵・写楽炎 1 蛇人間【文春デジタル漫画館】作者:根本 尚文藝春秋Amazon以前読んでめちゃくちゃ良かった『少女探偵火脚葉月最後の事件』の著者による、別の少女探偵・写楽炎ちゃんの活躍を描いた短編集。 怪奇探偵というタイトルですが、炎ちゃんは別…

大澄剛『千代に八千代に』感想

千代に八千代に アクションコミックス作者:大澄剛双葉社Amazon国語、理科、数学......学校の教科をモチーフにした全7話の短編からなる連作集。 各話が緩やかにつながっていて、前の話の脇役が次の話で主役になったりしながらだんだん作品の世界が広がってい…

藤本タツキ『さよなら絵梨』感想

『チェンソマン』の著者の読み切り中編。さよなら絵梨 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:藤本タツキ集英社Amazon 余命短い母親の「私が死ぬまでを撮ってほしい」という願いで優太が作った映画は、文化祭でボロクソに言われ嘲笑われた。 母の死後、自殺しよう…

panpanya『商店街のあゆみ』感想

著者の記念すべき10冊目の著作らしく、私としては『蟹に誘われて』に続いて2回目のpanpanyaさん体験。商店街のあゆみ (楽園コミックス)作者:panpanya白泉社Amazon 全体としては『蟹に誘われて』の感想に書いたこととそんなに変わらないんだけど、そんな個性…

野原広子『消えたママ友』感想

本棚探偵さんにお借りした漫画です。本棚探偵さん、あざまる水産。消えたママ友 (コミックエッセイ)作者:野原 広子KADOKAWAAmazon レタスクラブという生活情報サイトに連載されていた漫画らしいんですが、今夜の献立とかと一緒にこんなもんを載せるなよ!と…