偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

サスペリア

2017年6月25日はこの作品の日本公開40周年記念日だそうで、そのためかイマジカBSで放映していたのを機に再び鑑賞しました。やっぱり良いですね。

 

 

 

サスペリア [Blu-ray]

サスペリア [Blu-ray]

 

 

 

製作年:1977
監督:ダリオ・アルジェント
出演:ジェシカ・ハーパー

☆3.6点

 

 

トーリーはバレエ学校へ編入した主人公が学校に潜むとある秘密を探っていくお話で、アルジェント作品にしてはきちんとした筋がある方だと思います。

 

でもやっぱりそれより何よりこの作品の魅力は音楽と、独特の映像美と、気持ち悪いシーンの連続でしょう。
全編にわたってあまりにも強調されている赤や青の燻んだ原色使い。装飾的な舞台セット。凝ったカメラワーク。一つ一つのカットがそのまま芸術品です。

f:id:reza8823:20170712130025j:image

f:id:reza8823:20170712130208j:image

 f:id:reza8823:20170712130218j:image

こんな感じの映像、好きな人には堪りません

 

 

冒頭、サスペリアのテーマ(by Goblin)をBGMに嵐の中バレエ学校へ向かうシーンからして不穏で期待が膨らみます。このシーンに幽霊が写り込んでいるという噂も有名ですね(実際は監督の悪戯だそうで)。

そしてその次にもう一つのプロローグとして描かれる、バレエ学校から逃げた女の子が殺されるシーンが絶品です。というか早くも一番の見どころです。手だけが映される犯人、ステンドグラズを割って降ってくる死体、ガラスの突き刺さった顔、アルジェントの美学がこれでもかと詰まってました。

f:id:reza8823:20170712130304j:image

このペンキっぽい血の色がいいんじゃ〜

 

他にも蛆虫、犬、こうもりといった生き物を使った気持ち悪いシーン、魔女(?)に幻惑されるシーンのクラクラ感など、ストーリーそっちのけでインパクトの強いシーンが盛りだくさんです。

また、キャラクターもみなさん濃いです。主人公は楳図漫画にでも出てきそうな感じのホラー顔美少女。顔芸の先生怖いし、醜い使用人や謎の少年もいるだけでアトモスフィア〜〜。変な友達や盲目のピアニストは最期が可哀想すぎますね......。

 

そして、過程でこれだけ飾り付けておきながらラストが潔いのも好きです。エドガー・アラン・ポーを受け継いだラストシーン。謎の笑顔の不気味さ。かっこいい音楽のエンドロール。

 

ホラー的な雰囲気が好きな人にとっては嬉しく、興味ない人には全然面白くないであろう作品です。雰囲気はほんとアルジェント作品の中でも最高だと思います。

ちなみに個人的にはアルジェントのベストは「フェノミナ」だったりします。次点で「トラウマ」と「サスペリアPart2」かなぁ......。「サスペリア」はその次。