偽物の映画館

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三津田信三『死相学探偵最後の事件』感想

ついに完結編!さよなら、僕にゃん......。

黒術師の居場所を探す俊一郎と祖父母、黒捜課の元に、黒術師からの招待状が届く。
向かった先の孤島では、奇妙なスタッフたちが待ち受けていて......。


というわけで、最後の事件です。
これまでの作品は、呪術という特殊設定を用いつつも事件が起きて探偵が解決するというオーソドックスなミステリの形式を取っていましたが、本作は最後なのでファンサービスがメイン。

冒頭からして三津田ファンには嬉しいサプライズがあってテンション上がります。
そして、嬉しい茶番を経て本編に入ると、俊一郎、祖父母、黒捜課のメインメンバーというパーティーで黒術師の島への冒険。
中盤までは、今までの作品のようにスタッフらが次々と殺害される事件が起き、その真相を推理する構成。
その真相はもはやサプライズ至上主義みたいな感じで正直無理がある気がしますが、最後なのでアイデアてんこ盛りの真相を愉しみましょう。

終盤はついに対決!
と言ってもバトルアクションではなくRPG風なのが味わい深いです。
ダンジョンの最上階に待つラスボス、パーティーのメンバーそれぞれの見せ場、各階ごとのクエスト......マジでおもっくそド定番のRPGになって、そこに死相学探偵ファン検定みたいなのがセルフで入ってきたりしてびびるものの、やっぱ王道だけに胸熱。

そして、ついに明かされる黒術師の正体にはびっくりしました。
てっきり(ネタバレ→)新垣警部か祖父だと思ってたので......。

こんだけベタなRPGをやっといて、もやっとした余韻の残る終わり方だけ三津田節全開で笑いましたが、ともあれ分かりやすいファンサービスに全振りした、もはや完結編というよりファンブック的なスタンスもそれはそれで面白かったです。

三津田作品の中ではオマケみたいなつもりで読んでたシリーズですが、なんだかんだ終わってみれば寂しいもので。
またスピンオフとかでも出るのを願ってます。