panpanyaさんの7冊目の作品集。
もう、特に言うこともないんですけど、半年に一回くらいのペースで読むとめっちゃ良いんですよねパンパン屋さん。今回も懐かしいのに新しいワールドを満喫させていただきました。
以下各話感想。
「ツチノコ発見せり」
ツチノコって見つけてもツチノコだって証明できるんやろか?というツチノコ獲りに行く際に誰もが思うであろう疑問を元にしたお話。
まるまっちいツチノコちゃんがとにかく可愛くて癒やされる〜🥰
「筑波山観光不案内」
つくばという実在の土地が写実的な絵で描かれてもうほぼ普通に旅行記みたいな感じなんだけど、そんな中で現実を超越したことがしれっと起こったりするシュールな感覚が最高。なんせつくばの市街地の未来都市っぽさと筑波山の寂れた田舎の観光地みたいな感じとのギャップがめちゃくちゃ良いし、筑波山には行ったことないけどめちゃくちゃ既視感があって子供の頃に行った旅行の思い出がぼんやりと思い返されて泣きそうにすらなる。筑波山や蝦蟇の油、ケーブルカーなどの豆知識が豊富なのも楽しい。そしてチケット(道具)への愛着もエモい。旅先で借りて2日間乗ったレンタサイクルを返す時の名残惜しさ......みたいな感覚。
「そこに坂があるから」
家の近所や通学路のちょっと外れたところにも歩いたことのない道ってのは実はいくらでもあって、なるべくそういう場所を歩けるようにわざと一つ手前の駅で降りたりしちゃう私からすると、「ふと、この坂の上がどうなっているのか見てみたいと思ったのさ」という井上陽水の歌詞にでもありそうな冒頭のフレーズからしてもう、「わかる!」という感じで、もー本当に坂を登るだけの話なのにめちゃくちゃ好きです。
「坩堝」
リサイクルショップにゴミを売りに行く話。ゴミとか不要なものへの愛着が心地よく眩しい。この人の絵で描かれるごちゃごちゃしたリサイクルショップの店内はそれだけでワクワクするし、奥に進むにつれてそれがどんどんディープになっていくのも良い。子供の頃チロルの紙とかアイスの蓋とか集めてたのを思い出して切なくなりました。いつ捨てちゃったんだろう。取っておけば懐かしく楽しかっただろうに......。
「街路樹の世界」
街路樹のマップなんてのがあることに驚き。中学生の頃に役場に地図をもらいに行ってそれを見ながらお寺巡りをしていたことを思い出した。
「芒洋」
海を見ないのはもったいないと思っちゃうけど、これも大切な思い出よね。
「カステラ風蒸しケーキ物語」
入れ替わりの激しいお菓子とかアイスとか菓子パンの新商品に入れ込んでその時期めちゃくちゃ食べててやがて消えてしまうっていうあの漫画にするにはささやかすぎる、でも生活の中で実際に起きる心の動きを丁寧に漫画にしてくれてもはやありがとうである🙏
販売終了した商品、閉店したお店、そんなものへの哀惜と折り合いをつけながらたまに思い出して切なくなったりして生きていくんですよね。
「動物入門」
まさかの、本当に「入門」である。
「新しい土地」
なんか別の本にも地下の街みたいな話あった気がするけどやっぱいいよね。
「架空の通学路について」
文章メインで想像の中で架空の通学路を辿るというマニアックにもほどがある趣向。
しかしこの人、絵も凄いけど普段絵で描いているようなことを文章で書いてもこんなに解像度高いってのはちょっと凄いよね。なんつーか、目の造りが違う気がする。細かいものへの眼差しが凄い。
「おむすびの転がる町」
おむすびころりんを実際にやって自由研究するみたいな話で、色んなモノを転がしながら考察するだけの話がこんなに面白いのがわけわからん。おむすび穴に住む動物の口調と、おむすびの落ちる音と自販機の音がどっちも「すっとんとん」なのがめちゃくちゃ好きです。
