大好きな穂村弘による、恐怖をテーマにしたエッセイ集。
- 作者:穂村 弘
- 発売日: 2019/07/10
- メディア: 文庫
いやぁ、面白かったです。
これまでのほむらさんのエッセイと、書いてあるエピソード自体は被ってることもあるくらいなんですが、これまでは文章がユーモアとエモみでブレンドされていたところに、エモの代わりに「鳥肌」を加えたような感じ。
にやにや笑っちゃうところがありつつも、ちょっとぞくっと鳥肌が立つような、または逆に結構怖いことが書いてあるのに思わず笑っちゃったり......。
なんというか、穂村エッセイの面白さは保ちつつ、どこか実話怪談とかに近い風味も出てて、心がざわつくような余韻が残るんですよね。
そんで、書かれていることひとつひとつがめちゃくちゃ共感できる内容なんだけど、でも普段自力で生きているとそこには目が行かない......そういうあるのに気付かない感情とかを掬い上げるうまさはやっぱ流石だなぁ。
あと書かれてる話がだんだん自分の病気のこととか、親の老化の事とかになってきてて穂村もおっさんになったなぁと思う。もちろんいつものしょーもない話もあるけど。
個人的には二階堂奥歯さんの話がとても印象的。こんな言い方はアレですけど、カッコいいとすら思います。