うちのオカンが映画好きでして、特に80年代から90年代前半、私が生まれて忙しくなる前くらいまでの名作は結構観てるんですが、そんなオカンに「一番好きな映画教えろや」と聞いたところこれを勧めていただいたので観てみたわけですが、まあぁぁ、最高ですね。エンタメ度1200%!しかも泣ける。うん、たしかに最高の映画だよ。
知能指数が人よりやや低い男フォレスト・ガンプ。バス停のベンチに腰掛けた彼は、入れ替わり立ち替わり隣に座る他人たちに、自分のこれまでの半生の物語を語ります。
幼少期、人とは違うことでからかわれたりもした自分を真っ直ぐに育ててくれた母のこと。徴兵されて知り合った親友と上官のこと、ライフワークとも言える長すぎる恋のこと。
そして、母が教えてくれた言葉......。
- 発売日: 2013/11/26
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人生はチョコレートの箱。開けてみるまで中身は分からない
1人の男の半生を辿りながら、作中ではおそらく30年ほどの期間が描かれているので、内容も30年分てんこ盛り!
お話の最も軸の部分は、
①フォレストが奇跡の連発によって成功者へと(本人はあまり分かってないうちに)のし上がっていくサクセスストーリー
②その中で唯一上手くいかない切ない片想いを描いた恋愛ドラマ
の2つ。......ですが、フォレストが徴兵されるところは戦争映画になったり、ちょいちょいスポーツしたり、ニュースやカルチャーなどアメリカの50s〜80sの歴史の総まとめのような構成にもなっていたり......とにかく!140分あるとはいえあまりに色んなことがてんこ盛りでまとまった感想が書けませんので、まとまらない文章になりますご了承ください。
バカをする人がバカなんだ
まず、全体にめちゃくちゃユーモラスなのが素敵です。
本作で扱われるのは、戦争、身近な人の死、長すぎる片恋といった、重かったり切ないことばかり。でも、フォレストの語りに(本人は意識してないと思うけど)上品で上質なユーモアがあるため、悲観的/沈痛/説教くさい/陰鬱......などといった雰囲気はありません。あくまでユーモラスに人生で大事なことを教えてくれる、そんな優しさのある映画でした。
また、フォレストの行く先々にあまりにも奇跡的な出来事が頻発するのですが、それも彼のとぼけた語り口を聞いていると「御都合主義め!」などという無粋なつっこみも思い浮かばず、むしろ当然のように受け入れられました。あるいは、御都合主義的な展開は彼の財産と名声に関わることに限られていて、かつ彼自身はそういうことに関心がないことも御都合主義を受け入れやすい要因かもしれません。
小便がしたいです
そして、そんなユーモラスな語り口で描かれるアメリカの政治、またカルチャーの歴史も面白いです。
ベトナム戦争に関してはフォレスト自身が従軍して作中のひとつのシークエンスにまでなっているのでまた別としても、大統領やたら狙撃されがち事件とか、差別に対する運動とか、超有名作の誕生の秘密とか、あるいはBGMがその時期流行した映画の音楽だったり......。
そういういろんなトピックの取り入れ方が最高にお茶目で好きです。まぁアメリカの歴史とかあんま知らんから、知ってたらもっと楽しめたのにという残念さはありますが。
僕は賢くはないけど、愛が何かは知ってるよ
御都合主義と書いた通り、サクセスストーリーとしてはイージーモードな本作ですが、恋愛ものや人間ドラマとしては実はほろ苦ビターテイストだったりするんです。
フォレストは小学校に入る時にジェニーという女の子と仲良くなります。
ジェニーと豆と人参のように仲良しになるフォレストでしたが、彼女は気を持たせておきながらも決して彼のところへは来ない。そんな風なので、ジェニーに関するシーンはことごとく切なく、しかし彼女と一緒にいるときはものすごく幸せでもあり......そんな恋のジェットコースターを楽しめました。
そんなわけでジェニーに対しては一瞬「なんやねんこの女!💢😡」とも思ってしまいますが、彼女の壮絶な事情も、さらっとですが、しかしずしんと重く描かれているので、憤りは長くは続かず、ただただ上手くいかないことへのやるせなさだけが募っていきます。
そんな積もり積もった恋の痛みが最後に......どうなるのかは書けませんけど、泣きました。つらくてもなんでも、ここまで一心に人を愛せるフォレストの美しさに、醜い私は嫉妬すら覚えてしまいます。彼のように美しく生まれたかった。
死は生の一部なのよ
この感想の最初の方で御都合主義的と書いた本作ですが、しかし死だけは平等にやってきます。大事な人も死にます。むしろ、他が御都合主義的なだけに、死の不可避さがくっきりと際立っています。
しかし、それでも、いなくなった人がいたことで御都合主義的奇跡は大きくなっていき、いなくなった人の言葉、その存在がフォレストの中に確かに生きていく......そんな、死さえも包み込む懐の深さ。これこそ本作を観終わった後の優しい余韻の正体でしょう。悲しいけど誰もいつか死ぬもので、だからこそ死というものは色んな作品のテーマにもなってるわけでして、そんな死の扱いが丁寧な本作はやはり名作と呼ぶに相応しいと思う次第であります。
そして、この感想でさっきから事あるごとに作中のセリフを引用してきましたが、これだけじゃなくて、本作は作中の膨大な量のセリフのどれをとっても素敵という、非常に名言の多い映画でもあります。これもまた名作の条件の一つ。
140分という長尺ではありますが、テンポ良くってまるっきり飽きさせません。むしろ30年の年月をたったの140分で味わえるなんて超時短術ですね!?(錯乱)
そんなわけで、作品の長さ以上のどでかい満足感の残る色々てんこ盛り面白すぎマジ卍な映画でした。最後に一言、私が観てて一番泣いたセリフで〆ようと思います。
君も一緒だったよ