4K版が上映されるということで、大学生の頃に家で観て以来2度目を映画館に観に行きました。
前観た時は単純に家だったのもあるし(音楽映画は劇場で観ると楽しい!)、自分もまだ若くてかえってこのどストレートな青春映画に気恥ずかしさや嫉妬を感じてしまって手放しに楽しめなかったというのもあると思います。恥ずかしいか青春は〜♪
しかし30歳の今観るともうそういう青春への歪んだ巨大感情は消え去って単純に「眩しい〜!」「ノスタルジい〜!」みたいな感じで観られたのでただただ最高でした。
文化祭前日、ギタリストの負傷によって自然消滅状態にあったバンドのメンバー恵、響子、望。しかし負けず嫌いで出演を諦められなかった恵は、自身がギターを弾き、通りすがりの韓国からの留学生ソンちゃんをボーカルに引き入れてTHE BLUE HEARTSのカバーをやることにするが......。
はい、そんなわけで本作ですが、その魅力を短く表すなら、映画みたいに特別なことは起こらないタラっとした青春の特別さ、みたいなものでしょうか。
まぁ学祭のステージに立つってこと自体私みたいな友達いなかった陰キャからすれば特別ではありつつも、胸キュンするような恋も泣ける失恋も熱い友情もプロのミュージシャンになるみたいな野望もなく、ただ目の前の学祭の舞台に向けて地味に泥臭く奮闘する少女たちの姿だけがある、その嘘くさくなさによって、どうでもいいような場面の一つ一つ、学校の景色のすべて、会話のぎこちなさや気まずさ、思ってるように上手くはいかない野暮ったさ、そういう"映え"ないはずのもの全てが青春という時間を作るかけがえのないピースになってるというか。だから、心に残る名場面みたいなのが(まぁライブのシーンは除いてですが)ない代わりに全ての場面がフラットにリアルな思い出として感じられるところが大好きです。
夜の屋上で無口な望が訥々と語る「今が思い出になる」みたいな言葉がわざとらしくなく本作の魅力を解説してくれるようで良い。
文化祭の夜みたいな
あの気持ちカミングバック
まぁなので好きなシーンを挙げるとキリがないんですが、「女子がいいな」のとことか、恵とソンちゃんがバス停で話すとこ(てかこの2人だけのシーン全て)とか、顧問の先生が熱く語りそうになるところとか好きだし、部室で耳かきしてるみたいな異様な解像度の細部とかが完璧。
細かすぎることばかりが蘇る
ふとした瞬間この胸をしめつけるんだ
細部が 夏の細部が
作中年代は私が小学生だった頃ですが、私がケータイを持ったのが高校の頃なので「この時代にガラパゴスケータイってもうあったんだ」と思ったけどまぁそんなガラケーも今にしてみれば懐かしいし、靴下の長さとか学祭のデコレーションのノリとかになんとなく平成を感じたし今思えば本作のこの弛緩した雰囲気自体も平成という時代を表しているようにさえ思えて懐か死いですね......。
まぁあと個人的に最近音楽に飽きてあんまちゃんと聴いてないんですが、やっぱ音楽っていいよね。映画感想に書くのもアレだけどやっぱ私は映画の3倍くらい音楽が好きなので、あのカセットテープでブルハが流れた途端みんなで飛び跳ねて「リンダリンダー!」って共有できちゃう感じとか最高なんすよね。
さて、それでは遅くなりましたがここで本作のイかれたメンバーを紹介します。
まずベースの望役の関根詩織さんは言わずと知れた大人気バンドBaseBallBearのベース担当で、私たち世代の邦ロック好き男子の永遠のアイドル!本作では役者じゃないからこその味(トトロのお父さんとかみたいな)を出してて、無口だけどアツいものも秘めてるめっちゃ良いキャラでした。
この感想でも既に2回引用してるくらい私もベボベ好きなんですが、本作はベボベがまだメジャーデビューするちょい前くらいの、まさに初期衝動青春ギターロックしてた時代で、そんなベボベの曲も後ろの方でひっそりと流れてたりしてとても良かった!
そしてドラムの響子役の前田亜季さんは、ごめんなさい調べるまでピンと来なかったけど学校の怪談2、3であざと可愛い女の子の役だったりバトロワのヒロイン的なキャラだったりでなんか言われてみれば見覚えあるな......という感じですが、本作めっちゃ良かった。まず超可愛い!() そんで、響子はバンド内で高校生らしい初々しい恋が描かれるキャラであり、メンバーで1番普通の子って感じなので感情移入しやすく、「お前らはよ付き合え!!」と叫びそうにもなりました。
ギターの恵はご存知香椎由宇さん。
ちょっと高校生離れした美貌でこんな美人だったかとびびるし、役柄も年上の元カレがいたりする大人びてクールなキャラなんですが、だからこそ実はけっこう子供っぽいところがあったりするギャップににやにやしてしまいました。まぁ同級生だったら怖くて近寄れないと思うけど......。
そして我らがボーカルのソンちゃんは、透明少女ぺ・ドゥナ!
一見まじめで大人しそうなんだけど、かなり度胸が座ってるしお茶目だし天然なところもありつつしっかりしてるし友達のことをよく見ていて、1番子供っぽいけど実は1番大人なんじゃないかって感じの複雑で魅力的なキャラクターですね。最初は半ば喧嘩相手への当てつけのように恵に誘われてお客さん扱いだったのがどんどん馴染んでいくところが良すぎる。
また、主演のバンドメンバー4人以外の脇を固めるキャラクターたちもみんな魅力的で良い味出しすぎています。
中でも、ブルーハーツのヒロトの兄である甲本雅裕が演じる顧問の先生が好き。やる気なさげだけど実は青い心を持っていそうだったりもするところがいいし、なんせあの人の顔がいい。ブルーハーツの曲を良い顔して聴いてる場面には「兄ちゃん......!」という気持ちになりました。
また松山ケンイチのキャラがどうでもいいようなキャラなのにめっちゃでかい見せ場(?)があるし、彼がいることで主役の4人だけじゃなくてこの高校のみんながそれぞれのパッとしたりしなかったりする青春を過ごしているんだなと実感できたので、実は重要な役どころなのかもしれない(?)
他にも湯川潮音演じる萌ちゃんは男心を突き刺しすぎて同じ高校にいたら120%好きになってたし、酒焼け声の先輩も最高だし、恵と険悪な凛子の思い返せば出演シーン大体印象的なところも凄いし、なんかもう全員愛おしくてこの映画の世界から出て行きたくないような映画です。
あと5歳でも若ければ、夕方の回を観た後あまりに良すぎて夜の回をそのままもっかい観ていただろうし、とりあえず若くないけど観終わったらブルーハーツを歌わずにはいられなくてカラオケに直行してブルハやベボベを歌いました。
関係ないけどその後「没頭するメイドBar」に行ったらめちゃ落ち着く空間だったしメイドのお姉さんが可愛すぎて恋しちゃったので通います。
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