偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

レック(2007)


消防署の取材に訪れたレポーターのアンヘラとカメラマンのパブロは、通報があったマンションへ急行する隊員たちに同行する。そこでは1人の老婆が凶暴化して人を襲い出し、やがて建物は封鎖・隔離されてしまう......。

REC/レック

REC/レック

  • マニュエラ・ヴェラスコ
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夏なのでめっちゃ久しぶりに本作を観ましたがやっぱりおもろい!
なんつーか、こういうホラーに求めるちょうどいい面白さで、特に後には残らないけどただただ観てて楽しいっていう、まさに「B級ホラーってこういうのでいいんだよ!」のお手本みたいな映画。

冒頭の消防署の取材の場面が本作で唯一静かなところなんだけど、そこで主人公の性格の悪さが滲み出てるのが面白かった。主人公めっちゃ可愛いんですけど性格悪くて好き。

消防署のシーンを除けば、舞台となるマンションのほぼワンシチュエーションで、縦に長い建物を主観映像で駆け回る様はゲームっぽくもありいかにも2000年代って感じでなんか懐かしい気持ちになりました......。

そしてソリッドなシチュエーションとPOV映像でともすれば単調になりそうなところ、がなかなかどうして飽きさせずに見せてくれるところも良いですよね。
序盤は「この建物で何が起きているのか?」ということ自体が分からないままになぜか大きな力によって外界からは隔離されてしまう......という、なんなのかよく分からないからこその理不尽な恐怖が描かれていて、それに合わせてカメラワークもかなり激しく揺れて三半規管がやられるし、中にいる人々のパニックももう凄くってみんなずっとぎゃーぎゃー叫び続けているのがうるさいんだけど段々それが面白くなってきます。面白いとか言ったら不謹慎ですけど......。
そこからある程度状況が分かってきてからはアクション要素強めで、1人ずつパーティの仲間が殺されていきながらもゲームっぽさも強めで緊迫感のあるダンジョン探検が楽しめます。
緩急の付け方もうまくて、基本「急」がベースなところに時々「緩」を入れてくることで感覚としては勢いがあってノンストップな気がしつつも実はちょいちょい休憩も挟めることでかえって集中力が持続するんですよね。仕事でも6時間以上働くなら45分は休まなきゃいけないですからね。

そんで、終盤ではもうちょいオカルト感強めになりつつ、騒々しかった前半と対照的に静かな緊張感が高まっていって思わず主人公たちと同じように手で口を押さえながら観てしまいます。そして、この辺になってくるとカメラマンのパブロさんが有能すぎてありがたくなってきます。こういう映画で「いや、カメラマン撮ってないで手伝えよ役立たずが」と思ってしまうことってあると思うんですが(女神の継承のことだよ!)、本作はそういうストレスはフリーなので無駄なノイズにならず内容に集中できるのが良かったです。

そんで終わり方がまた良いのよね。けっこう唐突な感じの終わり方で、2を観てからだと続編ありきにも思えるけどこれはこれでB級ホラーとしては変に後を引かずにバシッと終わってて良い結末だと思うし、下手に引き延ばさず70分台の短さなので緊張感がダレる前に終わるところも潔くて好きです。あとおっぱいが良い。
まぁそんな感じで、気楽に観られて結構怖いし楽しい良作でした。ちなみに昔観た時も2までしか観てないのでできれば今回は4まで通しで観たいな。