偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

夜の時代のプレイリスト

おそらく2011年、高校2年生の頃にサカナクションに出会い、それから大学卒業までサカナクションの影響でなるべく夜行性を目指して生きる夜の時代を過ごしていた。
夜中に本を読むことももちろんあったけど、音楽を聴きながら本は読めないので夜っぽい音楽を聴きながらまとめサイトやのちにはTwitterを眺めたり、書けもしない脚本を書こうとしたり(結局物語の形にならないままセリフの極端に少ないよく分からない3分くらいの短編映画を3本くらいだけ撮ったのが我が生涯の創作活動の全てであった)、映画を編集したり、えっちな深夜ラジオを聴いたり、えっちな動画を探したり、まぁ口実はなんでもよくとにかく夜が深まっていってやがて少しずつ明けていく空の色や少なくなっていく交通量など夜という空気感を吸って吐くのがただ心地よく儚く楽しかった。
今では仕事で朝が早いのですっかり夜更かしもできなくなってしまったが、あの頃の夜の空気がたまに無性に懐かしくなって仕方がない。
そして今ではそれなりにあの頃よりも色んな音楽を知ってもっとオシャレな洋楽とかを聴いたりもしてるけど、こないだふとふくろうずの「夜明け前」を聴いて、あの頃の深夜に聴いていた夜の歌たちは(今では滅多に聴かない曲も多かれど)私にとって特別な曲たちなのです。

なんせもう30歳になるので最近は過去を振り返ってはあの頃は良かったと思うことばかりで、そんな懐古趣味の成れの果てに当時の自分になりきって夜のプレイリストを作るという遊びをしてしまったので、それをここに紹介します。
(もちろん当時の私ならゲスの極みのなんとかを入れているだろうけどそんなクソリアリティは要らないので当然入れてません。さっさと解散しろ)



禁断の多数決「トゥナイト、トゥナイト」

禁断の多数決をどこで知ったのか全然覚えていないんだけど、結構ハマってて特にこの曲の入ったアルバムとかはだいぶ聴きました。
やっぱりこの変なチープさが堪らないし、当時童貞の私にはMVも含めてえっちすぎてドキドキしながら聴いてた思い出があります。



パスピエ「ワールドエンド」

パスピエは大学の名字が同じ先輩にオススメされて知って、このアルバムまではめちゃくちゃ大好きだったけどだんだん音楽性の違いによって離れてしまった気がします。盲腸で入院してた時にちょうどハマってて、病院での長い夜を共に過ごした思い出が強い。
この曲は大好きなこのアルバムの最後の方の曲で、人気(ひとけ)のなくなった深夜に聴くとまさに世界が終わったかのような感覚になって激エモい。



きのこ帝国「You outside my window」

きのこ帝国もご多分に漏れず「クロノスタシス」で知って、最近まではほぼこのアルバムしか聴いてなかったです。最近ようやく他の作品も聴いてみて、『愛のゆくえ』とか大好きになったけどそれは別のお話。
この曲は「夜、未来、長い、怖い、夢、見る、終わり」という単語を並べ立てつつ「あほくせえ」って言う出だしからもうかっちょ良すぎるのと間奏の一瞬のスラップベースが大好きで、曲全体があそこを聴くための前振りみたいになってて最高なんすよね。夜の気だるさと不穏さが出てて良い。



GRAPEVINE「死番虫」

バインは大学のまた別のTSUTAYAで働いてる先輩が好きで、「お前バイン聴くならバイト先で社割で借りてきてやるよ」って言って貸してくれた思い出がある。そんでとりあえず当時最新アルバムだったこれを聴いてじわじわとハマって今では大好きなバンドです。
この曲の静かな不穏さと「嘘でしょう」のどさくさに紛れて「クソでしょう」としれっと歌うセンスが好きすぎるのと間奏が超カッコいい。この間奏は大学時代に撮った2本目の映画のエンディングに使いました(内容は世間話をしてる学生2人が実は今人を殺したところだった......みたいなしょうもない話)。
あと同じアルバムの「MAWATA」とかも夜っぽくて好きだった(今も好きですもちろん)。



UNISON SQUARE GARDEN「夜が揺れている」

USGもご多分に漏れずシュガビタの大ヒットで知ってハマりました。しかし意外とこれとか「さよなら第九惑星」とか初期の荒削りな感じの曲が好きだったりする。最近のポップな曲には薄い切実な焦燥感みたいなものを感じるんですよね。USGには後輩の女の子と2人でライブに行って、別に全然そういう気はなかったけど「デ、デートだ......」とめちゃくちゃ緊張した思い出がある。



ストレイテナーAlternative Dancer」

テナーもどこで知ったのか忘れたけどおおかたアジカンのダチ、みたいな繋がりだと思う。
こういう切ないダンスロック曲がとにかく大大大好きで、曲中の全ての音が最高に気持ちいいし声が良すぎる。
同じアルバムの「Good night, Liar Bird」もディープな夜感があり好き。



くるり「WORLD'S END SUPERNOVA」

くるりチオビタのCMで知って、あの曲好きだしやれ、ちょっとベストでも借りてみるかって聴いたらこんな曲とか「青い空」みたいな激しい曲とか幅広すぎて一気に好きになってしまった思い出。
中でもこの曲は先述の通りの切ないダンスロックであり、サカナクションにハマってた時期でもあるのでサカナクションへの影響も感じて超好きだったな。ドゥルスタンタンスパンパンはズルすぎる。こんなん言いたくなるに決まってるもん!
ちなみにベストアルバムではシングルバージョン?だけど、後に聴いたアルバムバージョンのが断然好きだし、このプレイリストでは割愛したけど次のインスト曲に繋がってるextended感がかっこいい。



凛として時雨「a over die」

時雨は高校の時流行ってて一回聴いたら声が嫌で聴けなかったんだけど何回か聴いてるうちにだんだん良くなっていった思い出があります。でもインストのこの曲を選んでしまうのはごめんなさい......。
それまでほんとに音楽なんて歌モノしか聴いたことなくて、サカナクションのいくつかのインストと並んでインスト曲のカッコよさを教えてくれたのは時雨でした。
ちなみに大学の頃に撮った最初の映画のエンディングで使いました(廃屋に肝試しに行った学生たちが殺人鬼に殺されるけど実はその正体は......みたいななんちゃってミステリで、そんでも私が撮った中では1番マシな作品でした......)



plenty「ワンルームダンサー」

プレンティは大学の後輩のくみこが「最近どうなの?」って曲のMVを作ってて、それでいいやんと思ってちょっと聴いてた。めちゃくちゃハマったわけじゃないけどいくつか好きな曲があり、特にこの曲の入ったラストアルバムは全体通して大好きなアルバムです。
イントロのカッティングやサビのディスコっぽいベースが大好きで、江沼のイノセントな声とアダルトオルタナティブっぽい曲調の微妙なギャップも良いですよね。
他にはスローモーションピクチャーとか枠とかよい朝をとかが好きです。



BaseBallBear「kodoku no synthesizer」

ベボベは特にどこで知ったとか言うこともなく邦ロック聴いてたら自然と入ってくる名前で、なんか聞いたことあるから聴いてみよ、くらいの感覚で聴き始めたけど結果めちゃくちゃ大好きなバンドになりました。
特にこの曲が入ってるアルバム『新呼吸』はアルバムの曲順が1日の時間の流れを表したコンセプトアルバムになっていて、そういうギミックとか曲同士の繋がりとかが多いのも若い頃の私には堪らんかったのよね。
この曲はそんなアルバムの終盤の夜のパートに入ってて、「何も変わらない部屋」に「冷蔵庫」や「炊飯器」だけが動いているというリアルな孤独の表現が好きです。



APOGEE「The Sniper

ポジーはフォロワーのおもちさんに「サカナクションが好きなら好きかも」と勧められてまんまとハマったバンド。
たしかにサカナクションっぽいダンスロックなサウンドで、ボーカルの声はどこか若干スピッツぽい雰囲気もあって好きじゃないはずもなく......。
この曲は9分近くあるめちゃ長い曲で当時は(てかなんなら今でも)こんなに長い曲は他にあんま知らんし、でもこんなに長いのに常にカッコよくてあっという間に感じるのが凄いです。
なんせ雑踏の音からのポポポポポッポポ「ヤッ」っていうイントロからしてもうキマりすぎている。
淡々と進んでいきながらもどこか緊張感があって、後半にかけてだんだん盛り上がっていく構成が素敵。正直夜感は薄い気もするけど、アポジー自体夜っぽいバンドとして聴いていたのでこの曲もなんとなく夜に聴きたくなってしまうんです。もっと夜っぽい曲もあるけど単純にアポジーで1番好きな曲なので入れました。



ZAZEN BOYS「The Drifting/ I Don't Wanna Be With You」

長い曲繋がり(?)でこれ。
ナンバガは高校生の時から好きだったけど、大学に入って同級生の可愛い女の子がナンバガ好きで、「ZAZENも知ってる?」みたいに言われてなにそれとか言ってたらCD貸してくれて聴きました。なんか、音楽って女子が絡んだ思い出があると3割り増しで好きになっちゃうよね。
それはさておき、私は座禅ではこの4枚目と、次の5枚目が特に好きです。中でもこの曲は静かな感じで始まりながら色々わけわからんけどカッチョイイ展開をしていって特に終盤のいきなりベースがバキバキになるところとかイキそうになります。10分もあるのに終わるともっと聴いていたくなる。



サカナクション「mellow」

サカナクションの中でも夜の清澄な空気感とやがて明けゆく儚さを最も的確に音にした曲で、当時はサカナクションで1番好きな曲だったし、むしろこの世で最も好きな曲の一つであった。その後色々他にも好きな曲がリリースされた今でもまだ特別な曲です。
アルバムの曲順のせいも多少あるけど、もうすぐ夜が明ける深夜3時から4時くらいに聴いて夜を追悼していた。



相対性理論「ムーンライト銀河」

相対性理論も例に漏れずスクールオブロックというラジオ番組で流れていた「LOVEずっきゅん」で「こ、こんな可愛い声で歌って良いのか〜」と衝撃を受け、シンプルでともすればチープにすら感じるけどめちゃエモいバンドサウンドと奇抜かつ胸を抉られるような切なさのある歌詞にも度肝を抜かれてもう一時はほとんど恋に近いような好き方をしていました。
高校生の頃は特に夜中に相対性理論の曲をシャッフルで無限に聴くことも多く、中でもこの曲はしっとりしつつ強烈な儚さがあってやはり夜の終わりを感じさせるところがあり寝る直前とかにシャッフルをやめてこれだけ聴いて寝たりしてたわ。



ふくろうず「夜明け前」

そして、いよいよ夜が明けるわけです。
ふくろうずはスピッツのファンクラブ会報で知ったバンドの中でも最もハマったバンドだと思う。特に初期の『砂漠の流刑地』までの3枚はめちゃくちゃ聴いてたけどそっからだんだん離れちゃったんだよね。「マシュマロ」「ボーイミーツガール」「優しい人」とかも好きです。

この曲は、イントロのドラムとキーボードの音色が朝を間近にして澄んで明るくなりはじめた空の色を感じさせて、これを聴きながら夜明けを迎える時にはもうなんかこのままこの1番美しい瞬間に時間が止まって欲しいなんて陳腐なことを思って、でも時間は止まらなくて無粋な朝が来て親たちが起き出して私は夜の終わりに不貞腐れるように眠りに就くのでありました。