偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』ざっくり感想

ボクたちはみんな大人になれなかった (新潮文庫)

ボクたちはみんな大人になれなかった (新潮文庫)

2016年、おっさんのボクは、1999年に好きだった"最愛のブス"に間違ってSNSの友達リクエストを送ってしまう。

ノーフューチャーでも確かに恋して懸命に生きていたあの頃を愛おしく思い出す、現代風なエモーショナル青春私小説です。
著者はツイッターの人らしくて、ざっくりいうともともとツイートがエモいって話題だったので小説書いてみた、みたいな流れで本書が生まれたみたいです。

そのせいか、本書は非常にツイッター的といいますか。
とにかく過剰なまでにサブカル系の作品やアーティストの具体名がたくさん出てきて、きっと趣味が重なる人ならばめちゃくちゃピンポイントに心えぐられることでしょう。
とともに、私みたいに世代も違うし出てくる作品名とかは分かんなくても、そのピンポイントさに強烈なリアリティを感じ、自分があんな歌でこんな映画で恋を乗り越えてきた思い出を重ねたりしてやはりエモ散らかせるので凄いっすね。

そして、とにかく過剰なまでにロマンチシズムとナルシシズムでじめじめ湿っているあたりが、非常に男性が書いた恋愛ツイートという感じで良い。良いを通り越して自分が書いたみたいで恥ずかしくて読むに耐えないくらい。それくらい、なんだか自分に引き付けて読んでしまえる作品でしたね。

それだけに、刺さりすぎてちょっとどんな感想を書けば良いのかも分からぬうちにいつしか書くのを諦めてしまっていたので、このざっくり感想コーナーに供養しておきます。
いやもう、青春への悔恨とか、叶わなかったり手からすり抜けてしまった恋へのエモーションだったりがある人、特に男にはぜひ読んでほしい作品です。