偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

汚れた顔の天使(1938)


悪童のロッキーとジェリーは貨物列車に泥棒に入るが警官に追われる。ジェリーは何とか逃げ延びたが、ロッキーは捕まってしまい、それから悪事を繰り返し、やがてギャングになる。久しぶりに娑婆に出たロッキーは故郷の街は戻りジェリーに会うが、彼は聖職者になっていて......。


以前観た『民衆の敵』でも主演でギャングを演じていたジェームズ・キャグニーが主演の、こちらもギャング映画。
......とは言っても本作はキャグニー演じるギャングのロッキー、彼の元悪童仲間だけど今は神父をするジェリー、そして2人が目をかけている地元の悪ガキ共の関わりを描いたドラマがメイン。
そのため、ギャング映画って感じは薄い、ある種異色のギャング映画になってます。

聖職者と悪党という正反対の道を選びながらも対立することなく友情を保ち続ける2人の関係性が良い。主人公のロッキーは冷酷な悪党だけど、少年たちを気にかける優しさもあり、自ら選んだ道とはいえ環境が違えば......と思えてしまう憎めないキャラクター。
そして、両極の2人の間に悪ガキだけどまだ純粋な心を持つ少年たちがいるところがやっぱ上手くできてると思います。かつての自分達に重なる少年たちへのシンパシーとか放っとけなさ、そして大人としての責任感......そんなものが少年たちを通して見えてきてドラマがぐっと深まります。
ラストも彼らの存在なくしてはありえない悲しくもかっこいい結末で、ちゃんとこの終わり方が出来るのがすごく大人な感じがして憧れてしまいました。