偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

マーニー(1964)


幼少期のトラウマから赤を恐れ、就職しては会社の金を盗むことを繰り返していたマーニー。しかしある時盗み狙いで入社した会社の社長マークに惚れられて、彼と結婚することになる。しかし、マークの義妹やマーニーのかつての知人は彼女のことを疑っていて......。


60年代、ヒッチコック監督後期の作品です。

バッグを小脇に抱えて歩く女の後ろ姿、金を盗まれたと騒動になっているオフィス、再び女の後ろ姿、そして黒く染めた髪を脱色してブロンドになった瞬間にばさっと女の顔が初めて映る......このオープニングの一連のシークエンスがもう流石の格好良さで引き込まれてしまいます。
その後も、会社の金を盗むシーンの掃除のおばちゃんとか、赤の幻視とか、社長室での雷のシーンとか、(60年代の作品と思うとやや古臭さは感じるものの)ヒッチコックらしい映像表現の上手さがところどころで垣間見られるのが面白かったです。

ストーリーはだいぶシンプルで、トラウマを抱えた泥棒の女と、彼女を愛して更生させようとする男のロマンティック・スリラーといった感じ。
『鳥』のティッピー・へドレン演じる主人公のマーニーは泥棒なんですけど、むしろ彼女を救いたいとおせっかいを言って支配しようとするショーン・コネリー演じるマークが気持ち悪くて、胸毛を見てもう無理......ってなった。

そしてヒッチコックとヘドレンのことを考えると余計に気持ち悪いストーリーで、ラストなんか現代の感覚で観れば反吐が出ますね。
とはいえ作品としては地味ながらもなかなかよく出来ているので、こういう作品に触れる時にどう評価していいものか、まだ悩んでいます。やってることで言えば私の大嫌いな川谷絵音より百億万倍最悪なんですけど、昔のことだからといってどこまで目を逸らしていいのかが分からない......。