大晦日の夜、死の床にあるシスターはダヴィドを連れて来てくれと懇願する。彼は彼女がかつて救おうとした男だった。しかしアルコール依存と感染症でダヴィドは死に、彼の霊魂は死神の従者となってシスターの元を訪れる......というような話ですたぶん。
本作は1920年のスウェーデンのホラー/ダークファンタジー映画。
とりあえずprime videoで観たんですが日本語字幕が酷かったというのを先に言っておきたい!字幕ない方が分かりやすいのではないかというレベルで支離滅裂で観ていて頭が痛くなるし何が起きているのかよく分からない......。
とはいえ、映像がとても美しく、内容も何となくホラーな中にも宗教的だったり哲学的な含みがありそうで、ちゃんとした字幕があればもっと面白かったんだろうなと惜しい気持ちになります......。
監督・主演のヴィクトル・シェストレム(字幕ではスェストレムになってた......)は、後にベルイマンの『野いちご』であの主人公の老教授を演じたらしく、言われてみて「ああ!」と思ったものですが、本作の幽霊馬車(?)が街を行くシーンは『野いちご』の教授が授賞式に向かうシーンに似てるし、死神は『第七の封印』だったり、全体的な宗教や哲学のテーマがありそうなところもベルイマンへの影響が感じらて面白かったです。
あと影響という点では『シャイニング』でオマージュされたシーンもあって面白かった。こんなところから引用してあれを作るキューブリックのセンスも凄い。
映像の面では光と影の陰影が死というテーマに相応しい憂愁を画面に与えていたり、半透明の馬車と霊魂みたいな奇怪なビジュアルを拝めたりしてカッコよかったです。特に海に死神の馬車が現れるイメージはとても印象的。
ストーリーは上記のようによく分かってないんですが、アル中の男が死に捕らえられることでこれまでの生き方を反省し改心するというシンプルな大筋は分かりました(たぶんそうだと思う)。このへん、あんだけ酷いことしてたのに都合がいい感じもしちゃうものの、そのダメさにこそ人間臭さがあって間抜けな字幕さえなければグッと来てたと思います......。