前々から気になってた本作をついに読みました!!!
(ちなみに最初に書いておきたいんですが、文庫版の裏表紙の「あらすじ」がだいぶネタバレ気味なのでこれから読む方はあらすじは読まないことをお勧めします!
まぁあとついでに言うとこの記事とか人の感想なんかも読む前に作品を読んで欲しい!面白さは保証しますので!
民俗学者の大生部教授は、アフリカへフィールドワークに行く費用を集めるためにテレビの超能力番組に出演していた。一方、彼の妻・逸美は8年前にアフリカで娘を事故で失った悲しみから信仰宗教にのめり込んでしまう。大生部は番組で出会った奇術師で超能力ハンターのミスター・ミラクルと共に逸美の奪還を企て......。
中島らもはこれまで短編と明るい悩み相談室しか読んだことがなくて、文庫本3冊に及ぶ大長編の本作はどうしても「長いな......」と思って読めてなかったです。
でも3冊とはいえ1冊300ページくらいなので全部で900ページちょいくらい、と考えると意外と短いし、なんせめちゃくちゃ面白いので夢中で読んじゃって長さを感じなかったですね。あっという間よ。
そんなに長くもないのに文庫本3冊に分かれているのは3冊買わせた方が儲かるから......ではなく、内容的に3部構成になっているからなんですね。
第一部は上記のように信仰宗教から妻を奪還するという話なんですが、そこからケニアを大冒険したり手に汗握るバトルになったりと、自由自在に展開していく先の読めないストーリーに振り回されるのが超楽しい!
それだけに、あらすじでその楽しさが削がれるのが残念でならないわけですが......しかしあらすじ書かれてたら読んじゃいますよねつい......。
しかしそんな一見破天荒な展開でありながらも第1部の中ボス的なキャラがいることで第2部で登場するラスボスの凄味が強調されたり、第3部では重さを増して最初に戻ってくるような構成にもなってて、はちゃめちゃな法螺話のようで読み終わってみれば上手く出来てんな......とまた感嘆させられます。
描かれるモチーフも超能力、信仰宗教、呪術、民俗学、武術、ケニア紀行、寄生虫、酒、テレビ業界......と幅広く、どうやったらこれだけのモチーフを一つの作品に落とし込めるんだよ?とその独特のセンスに驚かされました。
そして、そんだけ詰め込まれているのに読み味は軽妙で、物語はどんどんシリアスさを増していきながらも、俗っぽいのにどこか品の良さも感じさせるユーモアは全編に渡って在り続け、呪殺とか寄生虫とかエグい話もぎょうさん出てくるのに定期的にニヤニヤしてしまう文章の魔力も凄いです。
あと、キャラが良い......。みんな濃い人ばっかでありながらもなぜか実在していそうな生々しさがあります。大生部と愉快な仲間たちはみんな基本的に良い人たちなんだけど、どこかズレてたりダメだったりするところがあってそれが彼らへの愛おしさを募らせます......。実際憎たらしい敵キャラたち以外全員好きになっちゃったので、そのうち死ぬ人も出てくるのがつらくてしょうがなかった......。
特に好きなキャラは鬱屈を抱える超能力青年の清川くん。あと医師の秋山ルイ先生もえっちで良かった......あんなお医者さんにかかりたい......。それと大阪弁ペラペラの現地通訳ムアンギさんも良い味出しすぎてて良かったです。
基本的に超能力や超常現象というものはトリックで再現できるという科学的な立場で描かれつつ、それでも終盤ではどうしてもそれだけでは納得できなさそうなことも起きたりして迷宮の深みにハマっていくような感覚が面白く、昔好きだった『TRICK』というドラマシリーズもちょっと思い出しました。
そんな感じで、なんというかこういう面白過ぎる本を読んでしまうと作品の面白さに負けてしまってなかなか上手く感想が書けなくて困りますね。私の感想が纏まっていない時ほど作品は面白いんだと思っていただければ幸いです。今年読んだ中で暫定ベスト。


