偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

シソンヌライブ[huit]雑感

いよいよあと2本。そんな8本目です。



《収録作品》
閉めたのに/野村くん、登校する/キッチンようこ/知らない自分/飲み会のあと/叔父と甥っ子


前作が個人的にはいまいちだった反動もありますが、今作はめちゃくちゃ良かったです。
何が良いかっていうと難しいんだけど、単純に一個一個のネタが好きなやつばっかなんですよね。わりと王道なのが多めの中で、4本目と5本目でちょっと変化球を投げてくるところも好きです。前半がほっこりした話メインで、後半でだんだん毒っぽさとか切なさとかが出てくる構成も良いですね。


「閉めたのに」

おじさんが可愛い。それだけなんだけど、それだけでとても愛おしいですよこれは。
複雑すぎる乙女心(おじさん)にキュンキュンしました。


「野村くん、登校する」

前作では変化球でしたが今回はいつもの長谷川先生vs野村くん。vsというか、長谷川先生がいい人すぎて泣けてきます。野村くんみたいな生徒をこれだけ気にかけてくれる先生なんていないっすよね。いたら私だってもっとマトモな人間になっていたはずなんですけど......。
奇抜な設定と、その設定が雑すぎるところが野村くんらしくて良いです。


「キッチンようこ」

気がかりだったおじさんの話のラストから続いてこれなので、正直おじさんが心配ですが、それよりなにより、ようこさんが可愛すぎます。可愛い人しか店主になれないのかこの土地は!
ようこさんの決め台詞たちって、「ばばあの罠」みたいにワード自体がキラーワードなわけじゃなくて、フレーズ自体は普通なのに使い方と言い方でめちゃくちゃ印象的になってるのが凄いっすよね。


「知らない自分」

バーのマスターと客をこういうスプリットスクリーンみたいな切り取り方してるのがまずカッコいい。他にも演出の数々がどれもアダルトでダンディーな魅力を醸し出していて、それだけに題材の馬鹿馬鹿しさとの落差がヤバい。
でも最後には人生を狂わされてしまった男の姿に切なく泣けるのも凄い。ジャンル分けできないから「ヒューマンドラマ」の棚に並べられそうな一本。


「飲み会のあと」

着眼点はちょっと面白いもののまぁ普通で、会話の内容も下世話なんだけど男友達同士2人で飲めばこうなるって感じでこれまた普通。シソンヌのコントにしてはかなり普通な話なんだけど、それでもきっきり面白く仕上げてくれるから好きです。
あとファンサなのかなんなのかの歌には驚きました。普通に上手いやん。


「叔父と甥っ子」

ぶっちゃけたあの一言に全て持ってかれます。
ともすれば胸糞悪くなりそうですらある話を、絶妙に面白おかしくもいい話っぽく仕上げちゃうのが凄い。酷い話なのになんかラストに相応しい感動すら感じなくもなくなくないですからね。四重否定だぜ。巧みだぜ。