偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

押見修造『デビルエクスタシー』(新装版・全4巻)感想

プチ押見修造祭りをしております。


幼少期のトラウマから巨乳の女性に恐怖感を抱く童貞のノボルは、友人の高橋に誘われて入った巨大風俗店「デビルエクスタシー」で出会った微乳のメルルに一目惚れ。
しかし、友人の高橋は翌日死亡する。「デビルエクスタシー」の隠された秘密とは......?


これもこないだ読んだ『ユウタイノヴァ』と同じく初期作品。本作のがちょっと前みたいですね。

今回新装版で読んだので、表紙とあとがきはめちゃくちゃ絵が綺麗なんだけど本編はまだ初期のことで今とは比べ物にならないというジャケ写詐欺みたいな感じではありましたね。
正直ちょっとがっくしだけど、むしろここからあれだけ上手くなるもんなんだなぁと妙な感慨を抱いてしまいました。

そんなわけで、絵には近作のような妙なエロさはまだまだ少ないんですが、ストーリーは青春と性春が暴走しまくってる感じで好きです。
童貞の主人公がデカい勢力から逃げ回りつつも立ち向かおうとする話は好きだし、童貞の主人公が可愛い女の子に救われる話も好きだし、要は童貞の主人公が出てくる話大好きなので、面白かったっすね。
下ネタ系ギャグ漫画であり青春ラブストーリーでありダークファンタジーでもある闇鍋感も良いし、テンポの良い展開も良いし、意外と王道な少年漫画原理主義に則ってる感じも良いっす。
わりとめちゃくちゃな話なんだけど、ラストで(ネタバレ→)それまで悪魔として描かれてた女たちが童貞を失った途端に人間の女の子に戻るってとこが性交体験前後の世界の見え方の違いをリアルに描き出しているのが好きです。

総じて荒削りなところもありつつ、その分わけのわからないエネルギーも感じられる初期衝動っぽい作品で、ここから後の作品に繋がるのだと思うとやはり感慨深いものがありましたね。面白かったです。