偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

押見修造『スイートプールサイド』感想

プチ押見修造祭り最終回。


毛が生えないことがコンプレックスの中1の少年太田くんが、同じ水泳部で毛深いことに悩む後藤さんの毛を剃ってあげることになるお話。


私見ですが、性欲が自分の体の中に抑えきれずにモクモクと外に漏れ出てしまうような年齢は中2からで、中1ってのは、性にちょっと目覚めそうになりつつまだピュアな気持ちも残ってる過渡期のような時期だと思っていて、本作はそのほんの少し芽生え始めたエロと、それ以上にピュアな青春模様が絶妙なバランスで楽しめるお話だと思います。

正反対のコンプレックスを持つ2人がお互いのことを気にしてしまうのもなんか中学生の頃なんかはありがちで、大人になってみれば大したことないことだけど四六時中そのことを気にしてしまう感じもリアルだし、経験したことないのに実体験を思い出すような生々しさで読めました。

個人的にはむしろ毛深いのがコンプレックスだったのですが、そのことから同じように毛深い女の子のことが気になったりとかしてたので後藤さんとても可愛かったです......。

後の作品に比べてラストもさっぱりした終わり方で、生々しいけどサクッと読めちゃう良作でした。


併録の短編「超常眼球沢田」は、ひょんなことから透視能力を手に入れた沢田くんが友達と一緒に校内の女子全員のおっぱいの図鑑を作るお話。
これも若い頃の変なこだわりと情熱とが懐かしくも眩しいお話で、こういうことを言ったら怒られるだろうけど、めっちゃ楽しそうだな!と羨ましくなりました。