ブラジル、リオデジャネイロ郊外にある貧民街「神の街」。ギャングによる強盗や殺人が日常で子供達ですら銃を持って走り回るような街で、兄がギャングの少年ブスカペは自身はギャングと距離を置いて写真家を目指し、恋もしていた。一方、同年代の少年リトル・ゼは幼少期から殺人を繰り返し、長じて街のギャングのボスになり......。
60年代〜80年代ごろのブラジルの現実を基にした映画で、暴力が蔓延り子供ですら銃が身近にあって中には簡単に人を殺す者もいる......というあまりに悲惨な世界を活写した作品なんですが、まず映画としてめちゃくちゃ面白いのが凄かった。
冒頭の少年たちが銃を片手に逃げた鶏を追っかけるシーンのどこか滑稽さもありながら緊張感ある一連のシークエンスが作品全体の雰囲気を決定づけている感があります。そこからブスカペのモノローグで20年ほど遡り、「〇〇の物語」みたいに章立てされながら群像劇として少年ギャングたちとその周辺事情が語られるのが、さながらスコセッシのマフィアものの作品群のようで抜群に面白いです。
また、映像的にも60年代はセピア調の色合いで、80年代は荒めのデジタルっぽい質感の映像になったりと変化が付いていたり、スプリットスクリーンやちょっと変わったカメラワークなども使われていて、目にも楽しいです。
また、内容も現代日本に住む私が観ると悲惨な話に見えますが、しかしこの環境に暮らす彼らはある種ただ生きるためにやっているだけであって、変な裏表がないところには奇妙に清々しさのようなものも感じて、どういう気持ちで見ればいいのかよく分からないままただ起こることを見ていました。
ほんとに物騒な映画なのでことあるごとにバイオレンスシーンがあるのも不謹慎ながら刺激的で、特に序盤の少年リトルが笑いながら銃殺を繰り返すところとか衝撃的でしたね......。
主人公はギャング少年たちとはちょっと離れたところにいるカメラ小僧だというのも良かった。
熱量のものすごい映画ではありつつ、一応の視点キャラが物語の中心から外れたところにいることでドキュメンタリーのような客観的な感覚も同時にあって、その距離がむしろリアルな生々しさを感じさせます。
あと主人公はカタギなので彼の友情や恋愛の部分は普通の青春映画みたいな味わいもあって好き。
そしてクライマックスから結末までが良すぎた。明確に「ここからクライマックス」と分かるのはアガるし、最後にブスカペが主人公である意味が出てくるところも良い。
仄かな希望もありつつ、この環境が根本的に変わらない限り繰り返されていくんだろうなという諦念も感じさせる印象的な終わり方です。
