2年前に夫に先立たれた93歳のテルマ。友達みたいな孫のダニーが遊びに来たりもしつつ、気楽な一人暮らしを謳歌していたが、ある日そのダニーが事故を起こしたというオレオレ詐欺電話を受け、保釈金を郵送してしまう。娘夫婦からボケただの老人ホームに入れるかだのと言われて傷付いた彼女は、トム・クルーズの『ミッション・インポッシブル』の影響を受けて騙し取られた金の奪還を決意し......。

いや〜良かったよ〜🥺
『We Live in Time』を観て泣いちゃってその余韻を大事にしたいなと思いながらもせっかく名古屋まで出てきたしとほぼノータイムで次の上映会の本作を観ましたが結果大正解でした!
まず主人公テルマを演じるジューン・スキップは作中の設定と同じ93歳にして本作が映画初主演。さらにオレオレ詐欺のエピソードは実際にジョシュ・マーゴリン監督の祖母のテルマさんが遭遇した話らしく、現実では家族が気づいて未遂に終わったけれど、もしお金を払っちゃってて祖母が取り返そうとしてたら......という着想から本作が生まれたらしく、その辺の外側のエピソードも色々ほっこりして好きすぎます......。
それはさておき、作品の内容もそんなテルマという愛すべきキャラクターを活かしたもので、ストーリー自体はシンプルにまとめられ、刺激は少ないけどずっと浸っていたくなるような心地よさがあって愛着の湧く作品でした。
冒頭の孫にパソコンを教わったりトムクルーズを観たり恋バナしたりしてる関係性が微笑ましくて好きだし、本作のキャッチコピーで「おばあちゃん版ミッション・インポッシブル」ってあったのがガチでM:Iの影響で無謀なミッションに挑む話なのに笑った。
頑固で家族に心配をかけまくるテルマの行動がしかし可愛らしくも自分の存在意義をかけた切実なものなので「傍迷惑な!」とイラつくこともなくハラハラしながらも笑って応援できてしまうのが良いよね。老人ホームでのセニアカーでのカーチェイスとか銃の暴発とか全編にユーモラスな場面があって基本的にずっと笑いながら観られるものの、そこに友人たちがみんな死んでいって生きてる者ボケてきて......みたいな人生の最終盤に差し掛かった彼女だからこその切なさがいい塩梅に挟まれて笑って笑って時々ホロリ😢みたいなバランス感が好き。亡き友人の夫ベンとボケとツッコミみたいなバディを組むのも楽しい。
そんな痛快な旅の中でも、93歳になっても人生に対して不器用なテルマの姿に共感したり勇気づけられたり、サブストーリー的にある孫とその家族の不安定な中でもがく姿にもまた応援したくなったりと見どころがたくさん。孫の父親(テルマの娘婿)がだいぶボケ担当なのも面白かった。
使いそうな分かりやすい伏線をしっかり回収していく作りもこの作風だからこそ安易さより安心感があるし、詐欺の犯人のキャラ造形もそう来たかという感じで良い。人生経験と耳が遠いせいで銃撃や爆発といったド派手なシーンにもトム・クルーズとは違った意味で落ち着いて対応するテルマが最高。笑。
なんというか、いい意味で変に予想を超えて来ずに「こういう感じだろうな」と思った通りのお話を手堅く見せてくれる映画で、気楽に楽しみつつちょっとホロリとしてなんだかんだ心に残る良作でした。