離婚して失意のズンドコにいたトビアスはふらふら歩いているところを車に轢かれてしまうが、自分を轢いた気鋭のシェフのアルムートと激しい恋に落ちる。やがて2人の間には娘が生まれるが、ある日仕事中に激痛に見舞われたアルムートは医者にステージ3の卵巣癌だと告げられる。余生を前向きに生きるため、アルムートはとある決意をするが......。

いや〜、たぶん人生で初めて映画観て泣きました〜😭
まぁ別に本作が今まで観た中で突出して泣ける話だっていうよりは私も30になって涙腺がだんだん緩んできたのと子供はいないけど同世代くらいの夫婦である主人公たちに自分らを重ねてしまったのがデカいんですが、とはいえ今年見た映画では今んところベストくらい好き。
本作ですがあらすじだけ見るとお涙頂戴のベタな余命モノでしょ......と正直観る前は思ってました。でも、フローレンス・ピュー演じるアルムートと、ガーフィールド演じるトビアスという2人のキャラクターを実際にそこにいるかのようにリアルに描き出していくことで、安易な泣かせ方を丁寧に避けながらも結果的にめちゃくちゃ泣ける話に仕上げていて、穿った目で見てたからこそ「思ったより泣けちゃうぞこれ......」と焦りましたね笑。
物語はアルムートが余命宣告をされるあたりと、2人の出会いや出産までの話を時系列を複雑にシャッフルして描かれていきます。
直接的に描くと前半はハッピーなラブコメで後半は泣ける余命モノという形で分離して悲しい側面が目立ってしまいそうですが、シャッフルすることで幸せな場面でも切なさが生まれ、逆に癌を宣告されてからも幸せな頃と地続きな2人の愛の強さが際立って、なんつーかどっちも引き立て合いながら悲しみへと向かう物語ではなくタイトル通り「この時を生きる」物語になってるのが素敵です。
また、なんのエクスキューズもなしに時間軸がぽんぽんと飛んでいくんだけど、観ていて変に混乱することがなくすんなり今がどの辺か分かるように作られている(フック的にわざと分かりづらい入りにして少し後に明かされるとかはあるけど)のも上手いと思いました。
そしてもちろんキャラクターの魅力がすごいよ。
シェフとして店を持ってたり受賞歴もあるやり手なだけに激しい性格ながら、カラッとしたユーモアも持つアルムート。そんな彼女を支える繊細でちょっと頼りなさげながら優しいトビアス。正反対な2人のバランスと、つらい時にもユーモアを忘れない姿に右肩上がりにどんどん彼らを好きになっていってしまうからつらい......。そしてかなりなところ2人だけの話ながら、周囲の人たちもみんないい奴でヤバい。ガソリンスタンドの2人とか出番はあの場面だけだけど強く心に残るし、アルムートの助手ちゃんも内気で生真面目っぽいのに時に大胆なギャップに好きになっちゃう。
悪い人が1人も出て来ないんだけど、脇役の一人一人まで丁寧にキャラメイクされているから「みんないい人すぎない?」なんて都合よく感じないのが凄い。
あと、終わり方がヤバかったですね。こういう映画をそうやって終わらせるんだ、という驚き。死ぬことではなく生きることを描いた本作においてアルムートの人生を体現するような完璧なエンド。私の大好きな某映画にも通じるところがあり(影響受けてる?)こういうことされると好きになっちゃいますよね。
まぁそんな風に結末では「え、すご」ってのが先に来ちゃって泣きはしなかったんだけど、出産のシーンと髪のシーンはもう泣いちゃいましたね......😢😿
まぁそんな感じで、なんかめっちゃ良かったし、正直フローレンス・ピュー見たいってだけでそこまで過度に期待してなかったのもあってやられちゃいましたね。