偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ベイビーわるきゅーれナイスデイズ(2024)

2年半前に1作目を観て虜になり、2作目は映画館で観て、3作目となる本作もまた劇場に足を運び観てきましたが、ほんっと良いシリーズやわぁ。

1作目はアクションとコメディやキャラの良さとのバランスがちょうど半々くらいの印象で、そこから2作目で(アクションもすごいけど)ゆる日常コメディに振ってきた時には「続編なんてこういうのでいいんだよ最高!」と思ったんですけど、そこから本作では揺り戻しのようにシリアスなアクション方向に振ってくるバランス感覚が最高!やっぱこういう続編"も"観たかったよね!
しかもまだちゃんと観れてないけど現在ドラマシリーズも放送中でそっちでは日常パートも観れそうなだけに余計、アクションマシマシで締めてきた本作が輝く!

わけあって宮崎での仕事を受け持つことになったまひろとちさとが、最後の標的を殺しに向かうとそこには先客の野良の殺し屋・冬村かえでがいた。かえでを殺そうとする2人だったが返り討ちに遭ってしまい、協会からかえでの討伐を命じられ、入鹿と七海という現地の殺し屋2人とチームを組んでかえでの行方を追う......というストーリー。

ちさまひの掛け合いの面白さは健在ながらも、前作ほど饒舌ではなくぼそぼそっと交わす会話がゆる面白いという1作目のキャラ造形に立ち返った感があり、こんくらい淡白でも全然良いよなって感じ。

一方、微妙に予算増えてそうな宮崎ロケで、海のシーンや歴史ありそうな県庁舎でのバトルなどの東京とは一味違う風景も見どころ。

またアクションの比重が増して、単純にアクションシーンがかつてなく多い気がするし、冒頭の県庁でのバトルからしてクライマックスみたいな迫力だったし、"最強の敵"冬村かえでに対して珍しく大苦戦する2人が見られるのも新鮮。

そしてなんと言っても池松壮亮演じる冬村かえでのキャラクターが良いですね。
生真面目である種ピュアなんだけど人と関わるのが上手くできないばかりにどんどん変な方向に意識高さを拗らせちゃったようなキャラクターで、狂気的......とも言えるのに、めちゃくちゃ共感できる普通のいい人......にも見えて、それが二面性とかでもなく自然に一つの人格を形成しています。怖い瞬間と愛おしい瞬間が交互にあるような感じでとても良いキャラ。彼のスピンオフとかも観たいし、この監督の世界観ならワンチャンありそうな気がしなくもない。
前田敦子演じる入鹿さんも若干ウザいけど生い立ちを告白するシーンなんかは最高でした......。
しかしかえでにしても入鹿さんにしてもちさまひとも親和性のあるいわゆるコミュ障キャラで、かれら、特にかえでの孤独があるからこそ、前作より口数は少ないちさまひの関係の尊さが際立つのも良いね。ラストバトル前の会話で2人の違いが浮き彫りになって、だからこそ最高のバディなんだよなって分かるところはグッときますよね。

そんで、ラストバトルでの色んな回収と、その後のラストシーンでの1作目の回収などもなかなか良く出来ていて、まぁ正直終わり方に関しては前作が完璧だったのでちょいダレ感がなくもないけど、三部作としてここで完結でも良いくらいの作品でした。
......とはいえ終わっちゃうのは寂しいのであと30本くらいは作って欲しいです......。