偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ベイビーわるきゅーれ(2021)

『ある用務員』の女子高生殺し屋コンビのリブートみたいな長編です。

高校を卒業した殺し屋のちさととまひろは社会勉強としてアルバイトをはじめさせられるが、面接で撃沈したり客にキレたりとなかなか上手くいかず......。一方、組員を暗殺されたヤクザが彼女らを狙い......。
といったあらすじ。


とにかく主演の2人が魅力的。それだけで最高!
喋れないコミュ障のまひろ(金髪ショートの方)と、しゃべるコミュ障のちさと(黒髪ロングの方)の、髪型同様対照的で、しかし似たもの同士な2人。
その似てる部分と違う部分とのギャップから喧嘩したりもするけど喧嘩の仕方もめちゃくちゃ可愛いです。その不器用さがめっちゃ分かるので、かなり入れ込んで見ちゃいましたね。
一緒に見た妻はちさとちゃん派だったけど私は断然まひろちゃん派なので我々も殴り合いになりました。


2人のキャラだけでも見れるんだけど、ストーリーも『ある用務員』から磨きがかかっているように思います。
主人公の2人vsヤクザの人たち主に3人という、よりシンプルな骨格ながら、そこにリアルな現代の生活や空気感、そして女性映画としての視点も入ってきてより厚みが増したように感じます。

2人が寮を追い出されてアパートで生活を始めるってとこが結構細かく描かれていたり、バイトの面接とかも胡蝶はされつつヒリヒリするようなリアリティで描かれていて、今時の若者としては共感しっぱなし......と思ったけど、彼女らとはもう10歳違うんだと気づいてかなり凹みました。もう若者ぶって高校生に共感とかしてていい歳じゃねえんだよなぁ。
悪役のヤクザさんがかなり胸糞悪い奴なんだけど、クセが強いので胸糞を通り越して笑ってしまいます。フェミニズムみたいなことを口にしつつもめちゃくちゃ女性を蔑視しているあたりのTHE悪党すぎるキャラ造形が良いと思います。
その辺のメッセージ性についてまじめに論じようと思うと、ちょっとどうかと思うところもあるんですけど......。

そんでもはや特筆することもない気さえするくらいアクションもいつも通りめちゃくちゃ良いです。
ガンアクション多めでありつつしっかり肉弾戦もあり、最後はちょっと派手な武器も使ったりと、硬派なところは守りつつキャッチーにも寄せてる感じでいい塩梅。

低予算ながら、アクションの凄さにキャラの魅力も加わって一瞬たりとも退屈しない超絶娯楽映画に仕上がった傑作。
というか、『黄龍の村』は本作より後に作られたらしいですけど、比べると本作よりかなりクオリティが落ちている気がしますがどうなんでしょう(いや、あっちもめちゃ好きだけど)。

あ、あとラバーガールが結構好きなので出てて嬉しかったです。大水さんはちゃんとキャラ演じてたのに大水じゃない方の人はラバーガールのツッコミそのままで面白かった。