偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ヘイトフル・エイト(2015)

タラちゃんのフィルモグラフィー9作品の中で唯一観てなかっやつ。これでコンプリート。


舞台は南北戦争直後のアメリカ。
賞金稼ぎの"ニガー"マーキスら8人の男女がひょんなことから雪山の山荘に閉じ込められるというクローズドサークルっぽい発端の密室劇。


とりあえず長いっすね。
いや、長いのはいつものことなんだけど、今作は中盤まで抑えて抑えて抑えておいて終盤で一気に爆発させるタイプなので、その爆発するまでがさすがにちょっと長く感じてしまいました。
そうは言っても豪華キャストが全員腹に一物も二物もありそうな感じで腹を探り合う過程そのものが十分面白いです。また、雄大な雪原の風景や雰囲気ありすぎのロッジの内装なんかを観てるだけでもステキなんすけどね。

んで、終盤の爆発以降はもう最高。さっきまでタラ〜っと観てたのに急に画面に齧り付いてしまいましたよね。
名探偵サミュエルエルジャクソンがめっちゃミステリっぽい雰囲気を出しつつ絶妙に別にミステリってほどでもないとこもわりと好きです。いや、一応意外性もあるんだけど、それがミステリっぽい意外性じゃなくて何というかアトラクションっぽくなってるのが笑う。
クライマックスでちょっと引き締まって、疑心暗鬼のハラハラがあった後で最後またちょっとダレるバランスも嫌いじゃないです。

まぁ動きが少なく全編ほぼ会話劇でしかも嘘か本とかも分からないような話をただ話し続けるあたり、近作よりも初期のタランティーノに近いのかもしんないっすね。初期作の記憶もかなり薄れてきてるのでパルプとかレザボアとかもそのうち見返したいです。