警察の待ち伏せに遭い、宝石店強盗に失敗した6人の男たち。落ち合う予定の倉庫で、まだ来ない仲間たちを待ちながら、自分たちの中の誰が密告した裏切り者なのかを話し合うが......。
たぶん10年くらいぶり2度目に観ましたタランティーノ監督デビュー作。
ここんとこタラちゃんの作品を集中的に見返してきた中で、改めてデビュー作を観ると、近作には及びもつかない低予算でありながら既に作風が確立されていて凄えと思った。
冒頭で男たちがマドンナの曲の歌詞に関する下ネタをうだうだと話して「その話いつまでしてるん?」ってなるところからしてタランティーノだなぁと分かりますもんね。
登場人物ほとんど語彙がシットとファッキンとアスホールしかないところや、だらだらしたテンポで進みながらいきなりエグいバイオレンスを繰り出すあたりもらしさ全開。
一方でわざとにしてもセリフには差別的なものが多かったり極度にホモソっぽいノリなところは目に付いて、そういうのへの反省が『デスプルーフ』以降の作風に繋がるのかな、みたいなのもあって面白かった。
ストーリーは基本的に倉庫みたいなところのワンシチュエーションで、そこに回想で一人一人が強盗グループに加わった経緯とか、強盗にしくじった時のことなんかが語られていくことでだんだん全体像が分かってくるわりと凝った構成になっています。
裏切り者は誰か?みたいなミステリー的な引きもありつつその真相は意外でもないし早めに分かっちゃうんだけど、そこからの男同士のドラマにはどうしても胸熱にならざるを得ず、「あっ、そこで終わるんだ」みたいな絶妙に腹八分目くらいなラストによって切ない余韻が掻き立てられます。
後の極端な娯楽大作たちに比べるとやや地味で物足りなく感じてしまうところはありますが、その分シュッとしてスタイリッシュにまとまった作品で、やっぱこれがデビュー作ってのは改めて凄い。
初見時はサスペンス映画のつもりで観てしまってそんなにハマらなかったんだけど、タランティーノ作品を追ってから観るとまた感慨深いものがあって良かったです。
コードネームとして色の名前を割り当てられて、「ピンクは嫌だ」とゴネるシーンが1番好き。
