偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

ビートルジュース(1988)


新居に引っ越してきたものの事故で死んでしまったカップル。新しい住人である芸術家の女とその夫、夫の娘の家族を追い出すために幽霊修行をするがなかなか上手くいかず、人間退治のプロである"ビートルジュース"を呼び出してしまうが......。


話はそんなに面白くないんだけど、CGに頼らずセットや特殊造形によって作られたポップで奇怪でいい意味でチープなビジュアルが最高でした!

なんだろう、ストーリーがそんなに面白く感じないのは、とりあえず登場人物の目的が曖昧だからなのかなぁ。主人公たちはどうせもう死んじゃってるから「新しい住人を追い出したい」だけでは切実さに欠けるし、ビートルジュースさんもタイトルロールのわりに何がしたいのかよく分からないただのエロオヤジだったりして(いや、俺だってそりゃウィノナ・ライダーと結婚したいからある意味1番共感できる目的ですけど笑)、そのせいであんまり入り込めずにぼやっとした印象しか残らない......ってのがあります。
あと色んな要素がちょっとずつ入ってるけどどれも弱くて主軸がない感じ。
主人公たちカップルの奮闘なのか、ビートルジュースのキャラクターなのか、ウィノナと主人公カップルのあの世とこの世を超えた友情なのか、ウィノナの家族との対立と和解なのか......一応そのどれも入ってるけどどれもあんまり掘り下げられないっていう......。

ただ、それを補って余りあるビジュアルインパクトはさすがティム・バートン監督で、田舎町に立つ白い家の絵面からして良いし、清潔で無機質なその家の中でおどろおどろしい妖怪たちが跋扈するギャップも良い。
砂の惑星みたいなところのシュールすぎる絵面も楽しいし、主人公たちの変顔(てか顔の変形)やおろちの絶妙な気持ち悪さも最高。ミュージカルシーンもアートな部屋の内装と妖怪のギャップがやはり良い。
なんかそのへんの映像のインパクトだけで十分観てて面白いので、普通に楽しかったんだけど、だからこそもうちょいお話も面白ければハマったのにという惜しさをどうしても感じちゃう作品でした。
いやしかしウィノナ可愛いよ......。