偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

死霊のえじき(1985)


ゾンビが蔓延るアメリカのとある地下施設では軍人たちがゾンビを捕らえ、サラたち科学者たちがそれを被験体として研究をしていた。しかし、軍部のリーダーが独裁を目論むローズ大尉に代わったことで、科学者側との対立が深まり......。


ロメロ監督のゾンビ三部作の掉尾を飾る、前作から7年を経た3作目。
個人的には3部作の中でも本作がいっとう好きですし、好みは抜いてもエンタメとして1番面白みが強いキャッチーな作品は本作だと言っても良いのではないでしょうか。

細かい設定の説明とかは省いて序盤からいきなりゾンビ捕獲作戦がはじまるのでスピード感があり、そこからさらに前半で軍部と科学者たちとの人間同士の深刻すぎる対立が描かれていくことで一気に緊張感を増して物語に引き込まれます。
今作はこれまでの作品以上にこの人間同士の対立が重点的に描かれていくんですね。独裁者のローズ大尉という悪役キャラクターがいることで、悪く言えば分かりやすすぎるきらいもありますが、エンタメ作品としての強烈な求心力にもつながっています。
そして独裁者が小賢しい学問を潰したがるところなんかまんま現在にも通じる分かりやすい皮肉というか風刺になっていてもはや今年作られた映画かとすら思ってしまいます。もうマジで軍人たちクソすぎてイライラが溜まりまくるので心に余裕がある時に観た方がいいくらいなんですが。

そんな独裁者に対して、科学者側の主人公たちは女性、黒人、老人といった社会的マイノリティであり、またゾンビたちもファッションが個性的で多様性を表現しているようで、ポリコレをめっちゃ先取りしてんのがカッコいい。1作目から段々と女が強くなっていってるのも良い。ゾンビがむしろ味方みたいに思えるところも新鮮ですよね。終盤のゾンビ雪崩とか「よし来た!!!」って大興奮しましたもん。

ほんでフランケンシュタインと呼ばれるマッドサイエンティストの博士が高圧的な軍人たちにも怯まず飄々としててカッコいいんですね。彼の研究内容が「ゾンビを飼い慣らすこと」で、ここにきてゾンビに知性を持たせるという進化も描かれるのが三部作ラストとしてアツいし、後の進化系ゾンビ映画にも繋がってると思うとエモいっすね。最後大活躍する知性的ゾンビのバブがユーモアまで持ち合わせているのが最高!
あと本作は過去の2作に比べてもゴア描写にかなり力が入ってて笑っちゃうようなエグいご遺体が観られるのも超楽しいです。特に博士の研究に使われてるゾンビが非人道的でとても良かった💕あと終盤のあれこれのグロさには爆笑。「俺の肉で窒息しやがれ!」は好きな映画のセリフNo.1です。

まぁそんな感じで、グロさ、テーマ性、エンタメ的な面白さのどれを取っても三部作の中で最高傑作だと個人的には思ってます。