1950年代アメリカ。
エドワーズ空軍基地ではテストパイロットのイエガーが人類で初めて音速の壁を破った。
やがて、ソ連との宇宙開発競争に躍起になるNASAの人間が基地を訪れ、優秀なパイロットが"マーキュリー計画"に参加することになるが、大卒ではないイエガーは不適格とされ......。
実話を基に限界に挑戦し続ける男たちの闘いを描いたドラマ。
序盤ではイエガーという有能なパイロットが音速の壁に挑戦するパートが語られて、この辺めっちゃアツくて面白かったんです。
が、主人公だと思ってたイエガーさんの話がほんとに序盤だけで、彼は結局マーキュリー計画に参加できず中盤以降はほとんど出てこなくなっちゃって、代わりに7人の選ばれしパイロットたちが宇宙飛行士になるための訓練を受けて宇宙を目指す......という話になっていくので「あれ、イエガーもう出ないの??」という肩透かし感が強くて......。
いや、宇宙に行った男たちが全米から注目される中で、地上に残ったイエガーがもはや誰からも注目されていない戦闘機のスピードに挑戦し続けるカッコよさを対比的に描いていて、確かにイエガーめっちゃカッコいいんだけど、それに時間をかけて7人の宇宙飛行士たちのうち3人くらい空気になってるのもどうなのかなぁ......という感じ。
まぁでも面白かったですけどね!
宇宙飛行士たちが訓練したり検査を受けたりするあたりのパートは意外とコミカルなシーンも多くて「へー、宇宙飛行士の訓練ってこんな感じなのかぁ」とお仕事モノとしての楽しさもあります。
また、生真面目な飛行士と女遊びをしてる飛行士たちとの対立と、そこから最後には仲間のために上にも歯向かったりする、この特異な状況にたった7人だけで置かれたからこその団結には胸が熱くなりました。失敗したことにされた宇宙飛行士が「サルでも出来る仕事だ」と揶揄される中で仲間が放つ「サルは任務の恐怖を知らない。彼はよくやった」という言葉に痺れました。
一方で、夫が危険な任務に就いて、宇宙に行ったきり帰ってこないかもしれない......という不安を抱えた妻たちの苦悩や連帯もサブエピソード的にですがしっかりと描かれていたのも良かったです。「パイロットは恐怖を克服する訓練を受けるけれど、妻の不安は誰も取り去ってくれない」というセリフも印象的。
あと、吃音の妻が無理やりテレビ出演させられそうになるくだりが1番泣きそうになりましたね。みんなカッコよすぎるんよ......。
実話が基なのでしょうがないんですが、宇宙飛行士という題材のわりに全体に大きな山もなく淡々と進んでふわっと終わるんですが、しかし終わり方がめちゃくちゃカッコよかったので良いもん見たなぁという気にさせられるのがズルいよね。
あとは、宇宙飛行士という職業がない時代に誰を宇宙に行かせるのか......空軍か海軍か、サーファーかサーカスの曲芸師か......といった内幕話的なところも面白かったです。
