偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

私を構成する15曲(サラさんに捧ぐ)

フォロワーのサラさんに捧げる、テーマとか無しの単純に好きな曲プレイリストを作りました。
サラさんの知らない曲、という縛りはあるため、スピッツとかアジカンとかミスチルとかビートルズとかが入らないリストになり、その辺の自分の中の主力バンドを抜くとこの辺が好きなのかと自分で再確認できました。
まあたぶんサラさんがハマる曲はそんなにないけどそこはもう俺の趣味全開っていうのが唯一のテーマなので気にしないことにして、各曲コメントしていきます。




1.毛皮のマリーズ/ジ・エンド

ジ・エンド

ジ・エンド


私の恋の季節を象徴する(多くのファンにとってそうであろう)バンド毛皮のマリーズの、タイトル通り最後のアルバムの最後の曲。
最初にゆったりとAメロを歌い上げてからジャジャジャジャとギターが鳴ることで一気にノリのいいロックソングになるっていうブルーハーツの「リンダリンダ」と同じ始まり方で否応なくテンションぶち上げられてしまいます。
バンドの終わりと恋の終わりを重ね合わせて歌う歌詞が私のゴミみたいな恋の終わりをも美しいものにしてくれて当時は毎日毎日3回くらい聴いてた。
間奏前、歌詞カードでは「マリアンヌ」と表記されているところをギターの「西くん!!!」の名前に置き換えて叫んだところでギターソロに入る演出とか最高。ベタかもしれないけど、シンプルなバンドサウンドの中であらゆるドラマチックな演出がぶち込まれてて最高なんですよね。いまでもこの曲聴くと心がザワザワしてしまいます。
「さらば僕らの美しい日々」という歌詞と、それを「しゃらば」と滑舌悪く歌うところが激エモい。


2.andymori/クレイジークレーマー

クレイジークレーマー

クレイジークレーマー


こちらも解散したバンドで。
スリーピースのシンプルなロックサウンドと、時に優しく時に切実に叫ぶイノセントな歌声、友達に向けて歌うような親密さと普遍性を併せ持つ歌詞が特長のバンドです。

特にこの曲は亡くなった友達のことを歌っているらしく、軽快で疾走感がありつつサビのやや叫ぶような歌い方には悲痛さすら感じます。

弱虫能なし用なしと皆口を揃えては簡単に捨ててしまえる真実は使い捨てカイロの末路
病名でもついたら病名でもついたら いじめられないし もう少しは楽なのかな
クレイジークレーマー 美しさってなんだろうね
お前だよとまでは言えるわけないけれど ひまわりを見に行こう

普通の人のように上手く生きられないけど普通じゃないわけでもない自意識に刺さる歌詞で、私もいっそ病気にでもなれたらなんて不謹慎なことを思ってしまうのですがそう思うことを受け入れてくれるようでかなり救われました。


3.銀杏BOYZ/Baby Baby

BABY BABY

BABY BABY

恋の衝動をいい意味で中学生みたいな語彙で赤裸々に叫ぶ歌詞が強烈すぎてあんま音楽として聴いてない気はするけど、好きとかじゃなくて人生のある時期の自分そのものみたいでむしろ嫌いとすら言えるバンドです。
その中でもこの曲はかなりキャッチーかつ歌詞の生々しさも控えめでギリ人に勧められるかなと。
その分恋に恋するロマンチスト全開な感じなんだけど他の曲は結構女なんか消えちまえみたいな感じで、そういうのが必要な時もあったよなぁと苦々しい思い出。


4.リーガルリリー/明日戦争が起きるなら

明日戦争がおきるなら

明日戦争がおきるなら

私の中で人気急上昇中のガールズバンド。
あどけなくも力強い歌声が最高で、自分には出せない声だからこそ脳みそを貫かれるような気持ちよさがあります。
「ギターロック」ってのが好きだったと久しぶりに思い出させられるような爽快なバンドサウンドも最高。
この曲は2022年の夏にリリースされた『恋と戦争EP』収録曲で、卑近な恋と遠くで起きている戦争への実感をリアルに歌った歌詞も素晴らしく、歌詞の説得力のおかげで曲自体もより緊張感を持って鳴り響きます。


5.相対性理論/地獄先生

相対性理論を初めて聴いたのは中学生の時で、それまでスピッツとB'zとミスチルしか聴いたことなかったのでやくしまるえつこの声にびっくりしちゃって、初めて聴いた時からなんかもう頭の中があの歌のことでいっぱいになってしまって、当時はCDなんて簡単に変えなかったのでYouTubeで音源探して聴きまくってましたの思い出。
可愛い、という形容だけでは全然足りない、ふわっとして淡々として儚くてアンニュイで心がざわざわして耳から入って心臓を素手で掴まれるようなあの素晴らしい声。
そしてバンドサウンドも淡々としてちょっとメロウな感じっつーか、夏の日の白昼のようなぼんやりとした夢幻感があってすげえ好きなんすよね。
あと歌詞も中学生には刺激が強すぎた。女子高生ってオ、オトナだ......///ってなりました。性の目覚め。


6.きのこ帝国/クロノスタシス

クロノスタシス

クロノスタシス

  • きのこ帝国
  • ロック
  • ¥204

コンビニエンスストアで
350mlの缶ビール買って
きみと夜の散歩
時計の針は0時を差してる
“クロノスタシス”って知ってる?
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことだよ

歌詞の全ての行が致命傷になるくらい恋と夜のエモさが全開で恋に恋する頃に聴いて死にそうになった曲です。
夜に恋人とコンビニにビール買いに行くだけでこれだけの歌詞を作れるのがすごい。生活感にちょっとだけ魔法がかかって煌めくような、これはもう、語彙を捨てて「エモい!」と言うしかないよ。
煌めきすぎてこの煌めきが一瞬であることの切なさが幸せを上回ってしまう感覚。すげえ、わかる。

歩く速度が違うから
BPM 83に合わせて
きみと夜の散歩
それ以上もう何も言わないで

そして音もベースが聴いてるところにあの印象的なギターのリフが際立っててさらにそこに飾らない美しさの歌声が引き立って、サカナクションの曲と並んで私にとっての「夜」を音にしたらこうなるっていう理想系なんすね。


7.米津玄師/優しい人

優しい人

優しい人

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255

私が米津で1番好きなところってアレンジの面白さであって、声とか歌詞とかは二の次っつーか、どうもそんなにピンと来ない......はずだった。この曲を聴くまでは。
キックバック』とか『海の幽霊』とか『Flamingo』とか『シンデレラグレイ』とか、普段好きな米津の曲はアレンジの好みで決めちゃうんだけど、この曲に関しては歌始まりでほぼギター弾き語りみたいなノリでシンプルに進む(もちろん削ぎ落とされたアレンジのカッコよさはあるけど)で、それよりも歌詞を含めた歌を聴かせる曲で、これ聴いて米津玄師の凄さを完全に見誤っていたことを本当に遅ればせながら痛感したわけですね。

気の毒に生まれて 汚されるあの子を
あなたは「綺麗だ」と言った
傍らで眺める私の瞳には
とても醜く映った

私、あの子、あなたという3人の人物の関係性だけを私の視点だけから描いたミニマムな歌詞ですが、イジメや差別を傍観者の視点から切り取った歌詞は衝撃的で、そこから「優しさ」とはなにかという普遍的な問いを投げかける、シンプルなのにエグすぎる歌詞。

強く叩いて 「悪い子だ」って叱って
あの子と違う私を治して

イジメられる「いい子」への憐れみや嫉妬ややっかみをどうしても抱いてしまう「私」のこの独白が刺さりすぎてあんまり聴きたくない曲です。

そして、初期のボカロっぽい淡々とした歌い方からは隔世の感のある歌の表現力の進歩も聴きどころ。耳が痛くて聴きたくないのに聴き入ってしまいます。


8.GRAPEVINE/Darlin' from hell

Darlin' from hell

Darlin' from hell


私が1番かっこいいと思うバンド。
何がって言われると難しいけど、立ち位置っていうか、ある程度は売れててポップな面もありつつ、どっちかというと玄人好みがして媚びずにマイペースにやってる感じ(で長年続いてるところ)っていうか。
流行りに流されないけど流行りを取り入れないわけでもなく、でも取り入れるにしても自分たちなりのやり方であってそれがむしろ小手先の洗練よりもよっぽどカッコよくて......ってとことか。あとボーカルの顔がタイプ(本音が出た)。
あと歌詞が教養がないと分かんない感じなんで私は1ミリも意味は分かってないけどなんかカッケェとこも好き(頭悪)。

この曲はイントロから続く休日夕方のような気怠いリズムがめちゃくちゃ良くて、全体に盛り上がりすぎず抑えた感じなのが逆にエモくてこのバンドの中でも五指に入る好きな曲っす。他に「エレウテリア」「RAKUEN」「こぼれる」「ねずみ浄土」あたりで五指かな。


9.The Police/Roxanne

Roxanne

Roxanne

  • ポリス
  • ロック
  • ¥255

レゲエっぽいリズムと、スリーピースのシンプルを超えてちょっとスカスカして聴こえるくらいのサウンド、タイトルを繰り返すだけの単調なサビ、そしてボーカルのスティングの気持ちの良いハイトーンボイスがクセになるバンドです。半分くらいディスってる気もするけど、全部いい意味でのことになります。
スピッツの「8823」はポリス感らしいっすよ。

この曲はポリスの曲の中ではシリアスなトーンで、ギターのリズム、ヴァースの不穏な感じのベース、サビの盛り上がりなどが聴きどころと思います。
あと、歌詞が娼婦の"ロクサーヌ"に「もう体を売らなくてもいいんだ」と愛を告白するもので、簡単な語彙で詩情があるのでスピッツファンなら好きなんじゃないすかね。


10.BaseBallBear/不思議な夜

不思議な夜

不思議な夜

生まれる前なのでよくわからんけど7〜80年代くらいのフュージョン(カシオペアとか高中正義とか?)を参照したイントロのギターがもう最高っしょ。
そして、恋人ではない、もしかしたら友達ってほどでもないくらいの「君」と終電を逃して夜の散歩デートをして刹那的なトキメキを感じるっつーエモすぎて大学の時だったら死にたくなるような歌詞が最高なんで歌詞ちゃんと聴いてね。

11.Vulfpeck/Disco Ulysses

Disco Ulysses (Instrumental)

Disco Ulysses (Instrumental)

  • Vulfpeck
  • ファンク
  • ¥255

このバンドは他の曲はBGM的に流してたまに聴くくらいでそんなにハマってるわけじゃないんだけどこの曲だけ狂おしいほど好き。
今風なディスコファンクみたいな感じ。
インストなんすけど、最初のギターの音がもうすでに好みドンピシャで「なにこれかっけー!」と思ってたら、ちょっと後になって真打ち登場とばかりに鳴り出すベースのかっこよさにイってしまいました......。


12.ずっと真夜中でいいのに。/綺羅キラー

綺羅キラー (feat. Mori Calliope)

綺羅キラー (feat. Mori Calliope)

  • ずっと真夜中でいいのに。
  • ロック
  • ¥255

最近ドハマりしてて既に私を構成してると言ってもいいくらいなずとまよのせっかくなので最新曲を入れておきました。
アップテンポで中毒性が高くてfeaturingでラップが入ってたりと新境地でもあって聴いててめちゃくちゃ気持ちいい。この2人の声めちゃ好きっすね。歌詞はよく分かんねえんだけど

最低のコンプだし
最高の昆布だし
揃ってるだけじゃつまらんし

みたいな気の抜けたワードチョイスやノリツッコミみたいなところが面白くて好き。


13.The Whitest Boy Alive/1517

1517

1517

夏のプレイリストにも入れたアーランド・オイエ氏率いる人力エレクトロバンド。
ギタードラムベースキーボードだけでライブでも再現できる、引き算の美学を感じさせる控えめな音数と、それでいてめちゃ踊れるところが最高。サカナクションとか好きなんで好きに決まってた。
イントロがもう良いっすよね。イントロがもう良いんすよ。あと声が良いね。声が良いんすよ。


14.APOGEE/Landscape

ボーカルの人がちょっとスピッツっぽい声質で、ソロでCMソングとかもよくやってるんですが、この曲はインスト(最後の方でちょっと声っぽいのは入るけど)。
都会の午前0時って感じの、めちゃくちゃキラキラしていつつそれと同じくらい切なさもあるサウンドで、ライブの帰りとかによく聴きます。ライブの帰りって歌がある曲を聴くと(ライブ行ったアーティストの曲も含めて)なんか余韻が壊れてしまう気がして、でも無粋な地下鉄の音も嫌だからインストや歌詞のわからない洋楽をよく聴くんですよね。どうでもいいけど。
後半のスラップベースしだすあたりのかっこよさがぱない。スラップベースが好きなだけだけど、こういう途中からカッコよく入ってくるやつはヤバい。


15.plenty/よい朝を、いとしいひと

よい朝を、いとしいひと

よい朝を、いとしいひと

  • plenty
  • ロック
  • ¥255


大学の時くらいに解散したバンド。
後輩が好きでちょいちょい聴いてたけど私はそこまでハマってたわけではなくて、でも何曲か本当にめちゃくちゃ好きな曲がある、っていうポジションのバンド。この曲もそのめちゃ好きの一つ。
他に「あいという」「スローモーションピクチャー」「最近どうなの?」「ワンルームダンサー」で五指。

ギターとピアノのフレーズが優しくも寂しい、三拍子が印象的な曲。そして何より「日々は徒然〜」のところのイノセントなハイトーンボイスが印象的。
音はシンプルだけど雰囲気は少し不思議なのが好きです。

ひとりには馴れるけど
孤独では生きていけないから

君が不在の僕の心はただの水槽
空の水槽、ひとりの水槽

格言っぽい感じと詩的なのとが混ざった捉えどころのない歌詞も魅力です。