こんにちは。
今月ですが、ふぇいばりっとな映画がかなりたくさんあって、なおかつその半分ほどがヴァーホーヴェン作品っていうことになってしまったので、まずはその①として春のヴァーホーヴェン祭りのまとめをのせておきます。
で、その②にその他のお気に入り作品を載せるつもりです。
誰も見てないとは思うけど、そんなわけですのでよろしゅうお願いします。
グレート・ウォリアーズ/欲望の剣
スターシップ・トゥルーパーズ
ショーガール
トリック
グレート・ウォリアーズ/欲望の剣
中世ヨーロッパ的なところを舞台に、領主家と捨てられた傭兵軍団との戦いを描いたスペクタクル的なやーつ。
ヴァーホーヴェン先生のハリウッドデビュー作らしいですが、嘘やろってくらい酷いです(いい意味で)。
とにかく、登場人物がみんな欲望に忠実!
領主側の王子さんも、お姫さんも、傭兵さんたちも、みんなみんな酷いんだけど、でもギラギラとした彼らの生命力にはちょっと憧れてもしまいます。
今なんか、倫理観が発達しすぎてもう倫理vs倫理のバトルみたいな感じになってますので、それはまぁ良いことなのかもしれないけど、たまにはこういう原始的な人間ドラマを見たくなったりもしますよね。
しかし姫様がもう魅力的すぎますよね。
元からちょっと頭おかしいところがあるのは否めないけど、レイプされながらも生き伸びるために腹をくくるとこなんかカッコいいです。見た目はめちゃタイプなんだけど、なんかもはや全然エロい目で見れなかったわ。尊敬の念しかない。こんな性差別的なこと言うと怒られるけど(よくそれで怒られるんです)女って強いよね。
その点、ルトガーハウアーさんはもうダメっすね。途中まではそりゃワイルドな色気にかっけえと思ってたけど、最後の方のあの言い草はなんなんですか!あれじゃ100年の恋も醒めるよ!まぁくそイケメンではあったけども!
て感じで全体になんか感情がやばすぎてわたしにはどういう気持ちで観たらいいのかわからんくらいだったけど、めちゃくちゃ引き込まれましたね。クライマックスの犬の肉のくだりとか面白すぎるし、尖ってるくせにちゃんとエンタメとして仕上げるヴァーホーヴェン先生好きです。あと、邦題くそだせえな。
スターシップ・トゥルーパーズ
ハイスクールを卒業したリコは、彼女のカルメンのために地球連邦軍に入隊するが、折しも虫(バグズ)との宇宙戦争が始まり......。
ヴァーホーヴェンの性格の悪さとセンスの良さが光る怪怪怪怪作。
色んなジャンルの映画の劣悪なパロディになっていて、知性を振り絞って逆に低俗にし、センスによってあえて品性下劣に仕上げた、一つの壮大な皮肉のような映画なんですね。
冒頭からして、戦意高揚プロパガンダ映像によって戦争の気持ち悪さを描いています。
そして、『グリース』とかみたいなくだらない昔のハイスクール青春映画をなぞることで若者たちの人間関係の薄っぺらさを嘲笑し、それを『フルメタ』の鬼軍曹や微笑みデブのパロディと組み合わせるという異様な違和感でもって引き込まれます。
さらには全編にわたってあまりにもダサすぎる気持ち悪い映像で安っぽい壮大さを出して来るあたりは、この後の監督の進退を考えるとハリウッドの大作映画そのものへの皮肉のようにも見えて、私のような純真無垢な人間はその素直な反骨精神に共感してしまいます。
しかし、そんな捻くれまくりの作品ではありながら、しかしちゃんと"超大作"としても面白く作ってあるあたりのサービス精神もさすがでありまして。
ちゃんとドラマの動きが激しく、ホラー混じりのSFアクションとしてもハラハラします。
そのへんも手を抜かずに真面目に悪ふざけをしてるからこそ、こっちも安心してゲラゲラとニヒルに爆笑できるんですよね。
ただ、あのクソビッチだけは出て来るたびにイラっとするから序盤で二階級特進してほしかったですね......。
ショーガール
権威あるゴールデンラズベリー賞を総なめにし、監督が授賞式に登壇したことでもお馴染みの作品です。
......しっかしまぁ、これだけの作品が「最低作品賞」ってのが信じられないですね。
それだけに、堂々と受賞した監督のカッコよさに改めて惚れてしまうのですが......。
さて、内容ですが、『イヴの総て』の現代版のような感じで、田舎からラスベガスに出てきた主人公のノエミがダンスの世界でなり振り構わずのし上がっていくお話です。
そのダンスってのがストリップだから下品だのなんだのという誤解が生まれたのでしょうが、実際には彼女がことあるごとに「私は娼婦じゃない」と言うように、誰にも媚びず屈さず、ただ自分が高みへ登ることを求める彼女は強く美しい。
ところどころで感情の振れ幅が大きすぎてついて行きづらいところもあるものの、芯はブレないからそういうところも物語のアクロバットとして楽しめちゃいます。
これが下品だなんて、一体何を観てるんでしょうか......。などと言いつつ、ダンサーの強靭なフィジカルを活かした激しすぎるセックスシーンなんかはちょっと引きましたけど。←
そして彼女の周りの人達もみんなとにかくキャラが濃くて魅力的。
トップスターのお姉さんはめちゃくちゃ色気がヤバイし、性格悪過ぎてむしろ清々しくスターだなぁって感じで面白かった。
カイル・マクラクラクラクランはなんかこう、男だけどそのエロさにくらくらしたし、もうエロ過ぎてギャグみたいな感じで出てくるだけで笑いました。
他にもヤリチン君とかポロリおばさんとか、心に残るキャラクターが勢揃いで楽しいっす(彼らとの絡みが前にだけ進んでいく主人公の姿を際立たせてて泣ける)。
そして終盤怒涛のエモエモな展開になるのはヴァーホーベンのお家芸。
善悪も清濁も飲み込む展開でかなりつらいこともあるけれど、最終的に後味は悪くなく、綺麗事じゃなく頑張ろうと思える結末でしたね。
トリック
プロの脚本家が書いた冒頭4ページ分の脚本。その続きを公募し、切り貼りして一本の映画を仕上げる......という実験的手法のメイキングを30分魅せられた後、その映画本編が始まるという、不思議な映画でした。
まずは冒頭のメイキングのパートがめちゃ良いです。
ハリウッドの商業主義的なやり口からドロップアウトした監督が創作論を惜しみなく語りながら小さな現場で楽しく映画を作っていく過程は、見てるこっちも楽しいっすね。
監督の人柄もいい。
自信家なんだけど、ユーモアもあるから嫌味に聴こえず、実際自信に見合った傑作を数々撮っておられますからね。
特に印象的だったのは、「どんな脚本にも一つは良いところがある」「続編は作らない」という言葉。ロボコップ2をクソディスるのには笑いましたが、アーティストとしてのプライドが感じられて、ヴァーホーヴェンかっけえなと思った。
......というのも、映画としての演出なのかもしれないですけどね。
さて、そうしたメイキングを経て始まる本編は、50分程度の短さのためこぢんまりした話ではありますが、小さな人間関係の中にめくるめく捻りを加えてストンと綺麗に落とすという群像劇のお手本みたいなもの。
公募したものを繋げたとは思えぬくらい綺麗なシナリオですが、そこは監督の選球眼とコラージュの腕ですかね。
とりあえず2人のガールが可愛かったし特にビッチちゃんはおっぱいも綺麗で好きになっちゃいました。親子丼を食べる女の子なんてエロすぎますよね。