偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

坂木司『先生と僕』ざっくり感想

先生と僕 (双葉文庫)

先生と僕 (双葉文庫)

大学生の二葉は殺人事件の起こるミステリーも読めないくらいの超怖がり。ひょんなことからミステリ好きで生意気な中学生の隼人と出会い、彼の家庭教師を務めることになる。
で、隼人と付き合ううちに、二葉はいろんな日常の謎的事件に巻き込まれていくっていう、著者が得意とするところのキャラ系日常ミステリ。

面白いのが2人の関係性で、表面上は家庭教師と生徒の中学生、しかし実態は二葉にミステリのことを教える隼人、という、お互いに先生であり生徒であるという。もう、こういう、容易にあっちに持っていけるキャラ設定が上手いですよね......。

個人的には実は日常の謎に興味が薄いので、ミステリとしてはやや地味に感じてしまいましたが、ほのぼのしてるようでいて案外人間の嫌な面も描かれていたりと、著者らしい味わいが出てて面白かったです。

各話でオススメの"人が死なないミステリ"が紹介されますが、これが面白い一方でやや取って付けたようなのが残念とも言えます。もうちょい話の中でさらっと出てくるとかのが良かったかなぁと。