偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

サスペリア

2017年6月25日はこの作品の日本公開40周年記念日だそうで、そのためかイマジカBSで放映していたのを機に再び鑑賞しました。やっぱり良いですね。

 

 

 

サスペリア [Blu-ray]

サスペリア [Blu-ray]

 

 

 

製作年:1977
監督:ダリオ・アルジェント
出演:ジェシカ・ハーパー

☆3.6点

 

 

トーリーはバレエ学校へ編入した主人公が学校に潜むとある秘密を探っていくお話で、アルジェント作品にしてはきちんとした筋がある方だと思います。

 

でもやっぱりそれより何よりこの作品の魅力は音楽と、独特の映像美と、気持ち悪いシーンの連続でしょう。
全編にわたってあまりにも強調されている赤や青の燻んだ原色使い。装飾的な舞台セット。凝ったカメラワーク。一つ一つのカットがそのまま芸術品です。

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こんな感じの映像、好きな人には堪りません

 

 

冒頭、サスペリアのテーマ(by Goblin)をBGMに嵐の中バレエ学校へ向かうシーンからして不穏で期待が膨らみます。このシーンに幽霊が写り込んでいるという噂も有名ですね(実際は監督の悪戯だそうで)。

そしてその次にもう一つのプロローグとして描かれる、バレエ学校から逃げた女の子が殺されるシーンが絶品です。というか早くも一番の見どころです。手だけが映される犯人、ステンドグラズを割って降ってくる死体、ガラスの突き刺さった顔、アルジェントの美学がこれでもかと詰まってました。

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このペンキっぽい血の色がいいんじゃ〜

 

他にも蛆虫、犬、こうもりといった生き物を使った気持ち悪いシーン、魔女(?)に幻惑されるシーンのクラクラ感など、ストーリーそっちのけでインパクトの強いシーンが盛りだくさんです。

また、キャラクターもみなさん濃いです。主人公は楳図漫画にでも出てきそうな感じのホラー顔美少女。顔芸の先生怖いし、醜い使用人や謎の少年もいるだけでアトモスフィア〜〜。変な友達や盲目のピアニストは最期が可哀想すぎますね......。

 

そして、過程でこれだけ飾り付けておきながらラストが潔いのも好きです。エドガー・アラン・ポーを受け継いだラストシーン。謎の笑顔の不気味さ。かっこいい音楽のエンドロール。

 

ホラー的な雰囲気が好きな人にとっては嬉しく、興味ない人には全然面白くないであろう作品です。雰囲気はほんとアルジェント作品の中でも最高だと思います。

ちなみに個人的にはアルジェントのベストは「フェノミナ」だったりします。次点で「トラウマ」と「サスペリアPart2」かなぁ......。「サスペリア」はその次。

スピッツ「子グマ!子グマ!」を聴いた男

 私、小説や映画と並んで音楽も好きなのですが、中学時代の音楽の成績は1、良くても2でした(5段階評価)。で、ギターとベースの聴き分けも自信無いくらい音楽的素養に乏しいため、今まで音楽に関してはレビューとか一切書いたことがありませんでした。


でもまぁせっかくブログ始めたし、どうせほとんど誰も読んでないと思えば的外れでも何でも気楽に放言できるのでこの機会に、一番思い入れの強いバンド・スピッツの、最新アルバム『醒めない』より、今スピッツで一番好きなこの曲についてだらだらと呟いてみます。誰も読んでない気楽さよ〜万歳!

 

 

 

醒めない(初回限定盤)(DVD付)

醒めない(初回限定盤)(DVD付)

 

 

 

 

ってわけで、この曲、ええ、最初にタイトル見たときはびっくりしましたよ。「子グマ!子グマ!」て!50のおっさんが何を!でもそれが許されちゃうのがスピッツ〜そしてこんなタイトルでどちゃくそ切ない曲に仕上げてくるあたりがスピッツ〜。

 

アルバムを買った時に、 どんな曲かと一番楽しみにして聴いたのですが、初聴のイントロからしてやられました。

あ、言っときますけど音楽的素養ないので音の面に関してはテキトー書きますね。

えー、このイントロ、なんとなくの印象で言うと、80年代くらいの洋楽の影響を受けてオシャレミュージックをやっている最近の日本の若手ロックバンド......みたいな感じです。大ベテランなのに音に若返りが見える!!

軽妙でダンサブル、キメッキメの演奏、でもなんか切なさがあって、懐かしいけど新しい。少なくとも今までのスピッツにはなかった雰囲気の音です。でももちろんスピッツらしさの軸はブレず......。要は、イントロからして一耳惚れ。

 

そして、歌の入りがこう。

 

はぐれたら 二度と会えない覚悟は
つらいけど 頭の片隅にいた

 

 細かい状況は分かりませんが、最初っからストレートに誰かとの別れの歌だと言うことは伝わってきます。

先に言ってしまうと、恐らくこの曲を最も妥当に解釈するなら「巣立っていく子供を送り出す親の歌」ではないでしょうか。子グマというタイトルは端的にそのことを表しているように見えますし、女性のコーラス(Czecho No Republicのタカハシマイさん、綺麗な声です......)がフィーチャーされているのも、父親と母親を表しているのかなぁ、という感じがしますね。

とはいえ、リスナーの想像を単一の解釈に固定しないのがスピッツの歌詞のすごさでありまして......。状況を限定しすぎない普遍的な表現によって親子の歌にも失恋の歌にも読める懐の広さを持たせています。

そして、私は親になったことはありませんが、失恋なら得意なので、以下ではこの歌を主に失恋ソングと捉えてみていきたいと思います。

......で、次のフレーズがこれ。

 

半分こにした 白い熱い中華まん 頬張る顔が好き

 

そう、いきなりこういう具体的なディテールを持ち出してくることで一気にリアリティを持たせて共感させてきますね。

連想される季節は冬ですよね。冬。寒さや寂しさといった失恋らしいイメージがある一方、中華まんやコタツなど暖めてくれるもののイメージもある季節ですね。

シチュエーションのセレクトも絶妙。半分こにした中華まんをふーふーしながら頬張るなんて、子供とか彼女とか誰でも自分にとって特別な人がやれば可愛いに決まってます!具体的でありながらやはり誰が聴いても普遍的に「ぐわ〜っ!」と胸を締め付けられる名文ですよ。あなたの大切な人、あるいはイマジナリー・ガールフレンドを思い浮かべて「ぐわ〜っ!」しちゃいましょう。

で、サビに入ります。

 

喜びの温度はまだ 心にあるから
君が駆け出す時 笑っていられそう

 

 ぶいぶい〜と踊ってるようなベースにノリながらも切ねえぇ〜キラーフレーズです。

中華まんを一緒に食べるようななんてことない暖かい思い出が"喜びの温度"なんでしょうね。

さっきの中華まんのくだりで、頬張る顔が「好きだった」ではなく「好き」となっているところや、喜びの温度がまだ残っていることから、中華まんのくだりと「君が駆け出」してしまう場面の間に時間的な隔たりがあまりないようにも思えます。もしかしたら、中華まんを食べながら別れを切り出されたのかも知れません。というか、それって切なくて良くない?っていう、個人的趣味による解釈です。

 

トロフィーなど いらないからこっそり褒めて

それだけで あと90年は生きられる

 

 客観的な評価なんかどうでもいいから君に褒められたい。「モテたいぜ君にだけに」的なやつですね。

90年ってのも絶妙ですね。100年と言わないところが謙虚に見えますが、冷静に考えなくてもあと90年だって無理でしょう。今20歳だとしても、あと90年生きたら日本で最高齢とかですよ。でもたぶん「100年は無理でも90年ならイケる」って思ってるんでしょう。そんな謙虚に見せかけて思いっきり恋愛に酔って頭悪くなってる感じが良いですね。

 

仕事じゃなく 少しサイケな夜 バイバイ僕の分身

 

 ここだけちょっと自分の中でしっくりくる解釈が思いつきませんが、

「仕事じゃなく」=プライベート=君と会ってる時間?

「サイケな」=現実感のなさ?

で、「バイバイ僕の分身」ときたら、君に別れを切り出されて現実感を失うような感覚に陥った......というような意味合いかもしれません。

そうすると、中華まん食べながらフラれる説は却下になってしまいますけどね。

 

幸せになってな ただ幸せになってな
あの日の涙が ネタになるくらいに

間違ったっていいのにほら こだわりが過ぎて 君がコケないように 僕は祈るのだ

 

 こだわりが強く、理想を追いかけすぎてしまって傷つくことも多そうな君がコケずに幸せになってくれることを祈っているというフレーズ。ここからなんとなく、夢を追いかけるために僕を追いて遠くへ行ってしまう君の背中を見送っている感じがしますね。別れの理由なんてのは色々あると思いますが、そういう前向きな理由だからこそ、「幸せになってな」とか「笑っていられそう」なんて言えるのではないかなぁ......と。

そしてこの夢追い解釈をするとこの先の歌詞もわりとすんなり解釈出来るような気がするのです。

それに他の男にとられた説なんてつらすぎて考えたくないですしね(笑)。

そして、この後曲調がそれまでのオシャレミュージックから急にメタル感を強めてきます。オシャレだけど間奏でハードになる感じは[Alexandros]とかを連想しちゃいました。やっぱスピッツ流のイマドキロックな曲だと思います。

で、そのハードな音に乗せてついにタイトルのフレーズが登場します。

 

子グマ!子グマ!荒野の子グマ
おいでおいでするやつ 構わず走れ
子グマ!子グマ!逃げろよ子グマ
暗闇抜けて もう少しだ

 

 甘辛ミックス!ハードな音と童謡「森のクマさん」みたいな歌詞とのギャップ萌え!シレッとこういうことしてくるからスピッツさんニクいねぇ。

で、この部分の歌詞ですが、森のクマさんとは逆で、「君」を「子グマ」に例えて、「おいでおいでするやつ」=僕からお逃げなさいと言っています。

僕はまだ、ついおいでおいでするような未練がましいことを考えてしまうけれど、そんなことは気にせずに君の行きたいところへ行ってほしい......そんな悲痛な気持ちが込められています。

「子グマ」というワードのチョイスは、まず単純に君を可愛く思っていることの表れでキュートな動物にしてるんでしょう。また、それとは別に、「子グマ」には庇護したくなるような弱さが感じられますが、大きくなったクマは強いイメージ、立派なイメージがあります。今は頼りない君だけど、ここから飛び立って立派なクマさんになってくれ......というエールも込められているのではないでしょうか。

 

いっぱい並べた 夢・希望・諸々
バイバイ僕の分身

 

 そう考えると、夢や希望や諸々を並べたのは君でしょうか。

君が僕に夢を語るたびに、応援したい気持ちと君が遠くに行ってしまうような不安とがあったのでしょう。そしてついに、バイバイする時が来てしまったのです......。

 

喜びの温度はまだ 心にあるから
君が駆け出す時 笑っていられそう

 惜しかった思い出も 感動的に刻むから
君が遠くなっても 笑っていられそう

 

 前半は一番のサビの繰り返しですが、ここに来てより感慨深く聞こえます。「駆け出す」という言葉も最初はただ別れることを意味していると思っていましたが、2回目の今回は夢に向かって駆け出していく様が明確に想起されます。

そして後半。これもいいですね。「惜しかった思い出」が具体的になんなのかは想像に任されるところでしょう。君に言いたいことを言えなかったことかもしれませんし、もっとしょうもなく「ケーキ屋さんに行ったら定休日だった」みたいなありふれたカッコつかない惜しさかもしれません。或いは「あの時キスしてればよかった!」みたいな下世話なやつの可能性も......?

なんにしても、そんな惜しかったことも、感動的な思い出として心に刻んで、君が遠くなってもその思い出を胸に笑って送り出せるよという、僕の強さが見て取れます。いやぁ、こんなことなかなか思えないよ。こいつはすげえ奴だよ。

 と思っていると、最後の一文にやられます。

 

 強がっていられそう

 

そう!そらそうよ!泣きたいに決まってるけど、君をちゃんと送り出すために強がって笑ってるんですね。はあぁ〜泣けます。

なんというか、これまでのスピッツの歌詞って、抽象的でよくわからない前衛アートみたいなイメージのものが多かった気がして。誰か有名な歌手がスピッツの曲をカバーした時にも「歌詞が支離滅裂で覚えるのが大変だった」みたいなことを言ったらしいですが(誰かも言った内容もすごくうろ覚えですが......)、この曲に関しては、奥の深さはもちろんありつつもかなり分かりやすく感動させてくれるエンタメ寄りな作品だと思います。

そして、そのエンタメ感をラスト1行でだめ押ししてくるのです。だってこれフィニッシングストロークやん。

ぶっちゃけスピッツの他の曲の歌詞解釈なんて手強すぎて全然書けませんが、この曲について(曲がりなりにも)ちゃんと書けたのは、この分かりやすさのおかげだと思います。普段の作風が芥川賞ならこれは直木賞、みたいな(?)。

そして、こんだけ分かりやすい技巧を使いこなしてくるあたり、やっぱり草野マサムネはすげえ......っていう、要はそれだけ言いたくてこんなに長々と書いてしまいましたが、はい、草野マサムネはすげえですよ。

 

 

 

今年30周年を迎え、新曲3曲入りの3枚組シングルコレクションを発表したスピッツ。新曲最高でした。そして7/12には名古屋にライブしに来てくださるので私も見にいきます。楽しみ〜。

とまぁ、やっぱりまだまだ醒めないですね。今後の活動も楽しみにしてます。

スピッツさん、30周年おめでとうございます㊗️🎉🎊🍾㊗️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、ここからは完全な余談の自分語りですが、私ってフラれると荒れに荒れて相手の見てる前で泣き言言ったり悪口言ったりする、一言で言えばゴミ野郎なんですよ。

この曲を聴いて以降2回フラれたんですけど、2回ともそんな感じで、この曲の主人公のような潔い態度が取れなかったことが悔やまれるというか恥ずかしいというか自分なんか死ねばいいというか。

草野さん、ごめんなさい。「子グマ!子グマ!」を聴いた男は、この曲が歌っていることを実践できませんでした。もしも次があったら強がっていられるようなイケメンになりたいと思います......。フラれるのに次なんてない方がいいですけどね......。

【閲覧注意】極私的、ランク別どんでん返し映画紹介

 
〈はじめに〉
どんでん返しや意外なオチのある映画って楽しいですよね!真相が明かされて綺麗に騙されれば気持ち良く、真相は読めちゃってもそこまでの伏線の上手さに唸らされることもあり、全然ダメダメなちゃぶ台返しでもツッコミながら観てれば楽しい......はず......!

 

でもそんな体験をしたくてYahoo!で「どんでん返し映画」と検索すると、ランキングとかはたくさん出てきますが、そういうのって有名作が10本とか20本とか紹介されてるだけのが多くって......。結局いろんなサイトを回らなきゃいけなくて大変ですよね。

 

そこで、今まで私が見たどんでん返し映画だと思う作品を全てまとめてみました。たくさん紹介したいので、「どんでん返し映画」の定義はわりと緩めにとってあります。


具体的な内容のネタバレはもちろんしませんが、「どんでん返しがある」ということだけでも先入観になってしまうので、気にならない方のみこの先へお進みください。

 

なお、リストアップにあたり、S、A、B、Cの4つにランク分けしましたが、なにぶん大昔に見たものでうろ覚えなので参考程度に。 SとAが超面白え、Bが普通に面白い、Cがまぁ好きな方、Dが別にって感じです。(ランクの評価軸はどんでん返し部分なので、映画として物語としての面白さを云々するものではありません)

 
 
〈S〉

 

シックス・センス

はい、やっぱりまずは「どんでん返し映画」の代名詞みたいなこの作品から。というか好きなだけですが......。

ネタ自体は前例もあれば後例もあるシンプルなものですが、絶妙な伏線と物語との融合は、オチを知ってから観てもなお、ため息が出るくらい上手いです。この作品の出来が良すぎたためにシャマラン監督は「どんでん返しの人」という誤ったレッテルを貼られてしまうのですが......。

 

キサラギ

12人の優しい日本人

サマータイムマシンブルース

邦画から3本。どれもコメディの皮を被った素晴らしいミステリーです。どれも大どんでん返しというよりは細かな意外性を積み重ねるタイプの作品ですが、そのあまりに緻密な脚本には、邦画も捨てたもんじゃないなと嬉しくなります。

 

フォロウィング

この作品についてはブログに書いたので割愛します。

 

デストラップ

1つの家、4人の人物、非常にソリッドな設定で知的な会話とどんでん返しの連続を味わえる、「粋」という言葉がぴったりの傑作です。

 

アイデンティティ

個人的に偏愛している作品です。偶然モーテルに集まった人々の間に連続殺人が起こる......展開といいオチといい新本格ミステリっぽさが濃厚で、これに関しては客観的評価とかどーでもよくただ大好きです。

 

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

ほぼ全編CGのファンタジー大作として宣伝されていました。なのでどんでん返しがあるとバラさないとどんでん返し好きな人のところまで届かないという、非常に人に勧めづらい作品なのです......。

 

情婦

シャレード

どちらも1960年前後の白黒映画ながら、大人の恋愛と知的な意外性の両方を味わえる小洒落た逸品です。

 

 

〈A〉

 

アンブレイカブル

ヴィジット

シャマラン監督から2本。前者は「シックスセンス」に続いての作品で、強いプレッシャーの中、意外なところに仕掛けを施してきた怪作。後者はスランプに陥り名声が地に堕ちたところから、華麗に復活してみせた快作。

 

メメント

プレステージ

ノーラン監督から2本。前者は結末から発端へと進んでいく異色の時系列で意外性を演出した出世作。後者はイリュージョンの世界の壮大な化かし合いを描いた、後のビッグスケールな作品に続く野心作。

 

明日、君がいない

オチ自体のインパクトよりも、オチが切なく痛い青春映画としてのテーマそのものであるところが凄すぎます。

 

容疑者Xの献身

アヒルと鴨のコインロッカー

原作付き邦画2本です。原作は、前者は東野圭吾、後者は伊坂幸太郎。今や日本を代表する2人のミステリー作家の代表作、つまり日本のミステリーの代表作と言っても過言ではありません。そんな傑作小説たちを、原作ファンの私が観ても完璧に映像化していますので、原作を既読の方にも未読の方にも絶対的自信を持ってオススメできる作品たちです。

 

ハイド・アンド・シーク

ソムニア 悪夢の少年

前者は少女、後者は少年。前者は派手な大仕掛け、後者は細かな伏線の妙。対照的な部分もありますが、どちらも家を舞台に家族を描いたホラー映画です。家族ドラマ、ホラー、ミステリー、全部味わえるんだから贅沢でしょ?

 

グランドイリュージョン

大ヒットしたアクション超大作......ですが、マジシャン集団が超大掛かりなトリックで世界を騙すという設定はまさにどんでん返し映画。主人公たちのマジックに心地よく騙されているうちに、気づけば作品そのものにも騙されているでしょう。

 

サスペリアpart2

ダリオ・アルジェント監督の出世作。いつものアルジェントらしく支離滅裂な話ですが、とあるトリックは映画ならではのもので、なおかつ空前絶後。マニアックすぎるトリックに笑える自信のある方はぜひ......。

 

ゾンゲリア

このタイトルだけ聞いて「クソ映画だよね?」と思わない人はいません。しかし、その実丁寧に作られた気品のあるホラーミステリーなのです。昔のホラーの邦題ってこれだから嫌ですね。

 

探偵 スルース

2人の男が騙し合うだけの映画。終始皮肉で滑稽なコメディの味わいとくるくる二転三転する展開が絶妙にマッチした、古き良き懐かしき探偵映画です。

 

マッチスティックメン

詐欺師のおっさん meets girlの爽やかコメディ......でありながら騙しの腕前は一級品。ちなみに、観終わってから作外のある情報を知ると余計凄みの増す作品です。

 

灼熱の魂

瞳の奥の秘密

どちらも大きなテーマを描いた重厚なサスペンスであり、そのシリアスさが真相の異様さをより際立たせている作品でもあります。人間の心の深奥を見てゾクっとさせられます。体力のあるときにぜひ。

 

フレイルティー 妄執

キリスト教、悪魔、虐待、見るからに恐ろしく嫌な感じのあれこれを扱ったサイコサスペンスです。悪夢のような雰囲気に呑まれていると、オチであっと言わされます。

 

11:14

同じ街にいる別々の6人の視点が少しずつ絡み合って夜中の11時14分に全てが繋がる......という、パズルみたいな群像劇です。ブラックで下品なユーモアも見所。

 

スクリーム

ホラー映画のお約束をおちょくったようなホラーサスペンスで、オチもまた観客をおちょくったようなものです。メタ的な悪ふざけのノリが嫌いじゃない人にはオススメです。

 

SAW2

SAWシリーズは3までしか観ていませんが、個人的にはこの2のネタが一番好きです。ただ、私以外にそう言ってる人を見たことないのが怖いです。私がおかしいのか......?

 

ワイルドシングス

一つの映画の中で起こるどんでん返しの数のギネス記録はこれなのでは?それくらい、序盤から何度も何度も二転三転四転五転六転七転と転がり続けます。「質より量」もここまでくればあっぱれですよ。

 

母なる証明

セブンデイズ

オールドボーイ

韓国映画より3本。韓国産サスペンスだけあってどれも暗いです。嫌気がさすような話を散々見せられた挙句にどんでん返しまで陰鬱だったりします。でもその重厚さがクセになるのが韓国サスペンスなんです。

 

女神は二度微笑む

韓国の次はインドです。もう踊ってるだけじゃないんです。あまりにお手本のようなどんでん返しは少し物足りなさもありますがやはり綺麗。主人公が発揮する母の強さも見所です。

 

ライフ・オブ・デビッドゲイル
死刑制度廃止論者が死刑判決を受け、記者の主人公が彼の冤罪を晴らそうと奮闘する社会派サスペンスです。死刑執行までのタイムリミットにハラハラ。ラストにどよーん。そしてどんでん返しは鮮烈にして異様。色んな意味で重たい話です。

 

ドリームハウス
家系のサイコスリラーです。「なーんだあのオチでしょ?」と予想したものが中盤で明かされ、その後あれよあれよとサプライズが連発されるのにやられました。

 

 

〈B〉

 

ヴィレッジ

恒例のシャマラン先生のコーナーです。この作品のどんでん返しも一筋縄ではいかない意外な方向からのものですが、ストーリーとの絡み合いがやはり上手いためすんなり入ってきます。閉ざされた村の雰囲気も良いです。

 

ハイテンション

屋敷女

近年のフランスのホラーから2本。これに「マーターズ」を足して三大フレンチホラーと呼ばれることもある作品たちですが、地味にどんでん返し的要素もあったりします。ただ、もちろんそれはおまけ程度。どんでん返し目当てではなく、陰鬱で救いのない独特な空気感を持つホラーとして観てほしいです。

 

SAW

デッドサイレンス

ジェームズ・ワン&リー・ワネル、現代ホラー映画界を代表する名コンビから2本。SAWはもはや伝説的ですが、オチを観て「だから?」と思ってしまったことをここに告白します。2のが面白いんや......。デッドサイレンスの方は、ギャグとしか思えないバカミス感満点の仕掛けに驚くよりも爆笑です。

 

スティング
カラスの親指

コンゲームものから2本。前者はどんでん返し映画の名作として最もよく名前の上がる作品の一つではないでしょうか。後者は映画も良かったですが、道尾秀介による原作も素晴らしいです。

 

フライペーパー

ハイテク銀行強盗とアナログ銀行強盗が同じ銀行に押し入って鉢合わせてしまう......というヘンテコなシチュエーションのアホなコメディですが、アホなだけじゃなく二転三転する意外性も備えていて、とにかく観てて楽しい作品です。

 

ラッキーナンバー7

豪華キャストによるコメディタッチのクライムサスペンスでありながら、最後まで観ると丁寧に作られた正統派どんでん返し映画でもあることが分かります。ニヤニヤハラハラドキドキびっくり!

 

ミッション8ミニッツ

列車が爆破されるまでの8分間を繰り返して爆弾の在り処と犯人を探るSFサスペンスで、ラブストーリーとしても胸に迫ってきて、もちろん意外性のあるミステリーでもありと、1本で色々楽しめる贅沢な傑作です。

 

死神の精度

またまた伊坂幸太郎原作作品です。金城武演じるイケメンだけどズレてる死神が魅力的。そして原作よりしっくりくる改変がされたどんでん返しも上手いです。

 

イニシエーション・ラブ

原作ものからもう一つ。「映像化不可能の恋愛ミステリー」をどうやって映像化したのか、そのアイデアに驚きました

。そしてコメディタッチになっていて原作よりストーリーが面白いのも素晴らしいです。

 

トラウマ 鮮血の叫び

ダリオ・アルジェント作品。アルジェント作品の中ではミステリーとして最も綺麗に作られた作品ではないでしょうか。アーシア・アルジェントの可愛さも際立っています。

 

トールマン

とある寂れた町で、「"トールマン"が子供を攫う」という噂を題材にした社会派ミステリーです。逆転がやや分かりづらく作ってありますが、話が進むにつれ徐々に理解できてじわじわくる凄みを味わえます。

 

ドット・ジ・アイ

ちょっとどろどろもありつつ爽やかな恋愛映画......だったのが、後半からは二転三転のミステリーに変貌します。うろ覚えですが見応え抜群だった気がするので私もまた見返したいです。

 

サイコ

巨匠ヒッチコックによる、ミステリ映画の代名詞。中盤の意外な(有名すぎてもはや意外じゃないかもしれませんが......)展開も良いですが、ラストもけっこうどんでん返し。歴史的意義はもちろん、今見ても普通にエンタメとして楽しめる名作です。

 

ユージュアル・サスペクツ

「スティング」に続くどんでん返し系クライムサスペンスの代名詞です。観る前に読んだWikipediaに間接的なネタバレ(ネタが同じ小説のタイトル)が載っていたので騙されませんでしたが、話としても面白く、どんでん返り方も鮮やかで、スタイリッシュという言葉がぴったりの作品です。

 

名探偵ゴッドアイ

盲目の名探偵と、彼に振り回される助手の捜査と恋を描いたラブコメミステリーです。ギャグはクドイですが徐々にクセになり、見事な伏線回収から導き出される真相も驚きで、人間ドラマとしての泣き所もあり、130分の長さに見合ったてんこ盛りエンタメです。どんでん返しとはちょっと違うかな、とも思いつつ好きなのでこの場で紹介させてください。

 

迷宮の女

多重人格者が主役、神話がモチーフという、それだけでミステリファンは歓喜しちゃうサイコサスペンスです。ネタは分かりやすいですが、雰囲気とストーリーが素敵です。

 

箪笥

韓国のホラーです。アジアンテイストのジメジメ感と美少女姉妹が素晴らしいです。「なんかどんでん返ってるっぽいけど難解でよく分からないぞ??」という感覚が楽しめる変わり種のどんでん返し映画でもあります。でもやっぱ美少女の脚が最高。

 

アザーズ

仕掛け自体はシンプルで簡単に見抜けてしまうかも知れませんが、お屋敷ホラーとしての雰囲気と仕掛けが綺麗にマッチした良作だと思います。そしてニコール・キッドマンが良いんだ。

 

悪魔のような女(1955)

 郊外の寄宿学校を舞台に、夫と妻と夫の愛人の3人の教師が繰り広げるホラーミステリーです。ホラーといっても怖いのは女。ラストは驚かされながら恐ろしくもあります......。

 

ピエロがお前を嘲笑う

ハッカー集団が主役の最先端感のあるサスペンスですが、どんでん返しは古典的。過去のどんでん返し映画へのオマージュ溢れる愛くるしい作品です。

 

8人の女たち

閉ざされた屋敷で主人が殺され、屋敷に住む8人の女たちが犯人探しをするミュージカルコメディです。明るさと女たちのどろどろ会話劇とのギャップが面白いです。オチも皮肉が効いてて洒落てます。

 

閉ざされた森

訓練中の兵士たちが殺し合った。生き残った2人の兵士の証言は食い違う。閉ざされた森で一体何が起きたのか? どんでん返しに次ぐどんでん返しが待ち受けるやりすぎなラストが楽しいです。

 

ジェイコブス・ラダー

 戦争から帰還した主人公が悪魔のような出来事に悩まされるお話。不気味でめまいのするような展開、陰鬱な雰囲気、余韻の残るラストなど、色々印象的な作品でした。

 

ステイ

自殺をほのめかす心を病んだ大学生とその主治医が奇妙な出来事に巻き込まれていくお話です。とにかく脈絡がなく起こる奇妙なあれこれに、ラストで説明がつくのが凄いです。それよりなによりそこから浮かび上がる切なすぎるもう1つの物語の余韻が......。難解で二度見したくなる映画です。

 

アンノウン(2011)

事故から生還したら自分の存在がなかったことにされちゃってた主人公が自分の存在証明を探すアクション映画です。ツッコミどころもありますがそんなものはアクションが流し去ってくれる爽快などんでん返し映画です。

 

パッセンジャーズ

だいぶうろ覚えですが、オチ自体はそんなにだけどストーリーとの融合で泣けるタイプの作品だったと思います。

 

鑑定士と顔のない依頼人

童貞を殺すミステリ映画。終盤までのストーリーがめっちゃよくてオチでゲンナリという普通のどんでん返し映画とは反対の現象が起きましたが嫌いじゃないです。

 

 アフタースクール

邦画から。内田けんじ作品。癖のある出演者たちがゆるめのコメディをやってたはずが終盤でぐわーっと伏線回収されてなんだか遠くへ連れ去られるような作品です。

 

 シベリア超特急1・2
映画評論家の水野晴郎が、映画が好きすぎてついに自分で撮ってしまったトホホ系ミステリーです。トホホなんですけど、「この作品には3つのどんでん返しがあります」みたいなことを最初に宣言してからめちゃくちゃなちゃぶ台返しをキメてくるあたり、ツッコミどころ多いけど嫌いになれません。3はいまいちでした。


〈C〉

ファイトクラブ

言わずと知れた大傑作。なので、もちろん、映画としては最高に面白いです。ただ、どんでん返し映画として語られる場合にはそれほどでもなくね?とは思ってしまうだけです。

 

殺しのリハーサル

刑事コロンボの脚本家が書いたミステリーです。なのでオチはまぁ面白いんですけど、あまりにも過程が退屈すぎてどんでん返しへの興味すら過程で失われてしまうのが惜しいです。

 

マインドハンター

孤島で行われたFBIの殺人捜査の演習中に本当の連続殺人が起こる。アクション要素が強いですが、外連味の溢れる殺し方やトリックなど、ミステリファンに嬉しい要素も多くて楽しい作品です。ただオチは古典的すぎるかと。

 

デビル(2011)

エレベーターに閉じ込められてその中で連続殺人が起こるという、映画史上恐らく最小クラスのクローズドサークルものです。あまりに舞台が限られすぎて使えるネタも限られてしまったのが惜しいです。

 

幻影師アイゼンハイム

十九世紀の身分違いの恋をベタだけど感動的に描い作品です。オチもけっこうベタなのが玉に瑕。

 

ハングオーバー

結婚式2日前に悪友たちと最後の馬鹿騒ぎをしていた花婿が激しい宴会の末に失踪してしまうお話。ほぼ下ネタ全開お下劣コメディですが、消えた花婿の行方が少しだけ意外だったのでここに入れときます。

 

カタコンベ

迷路のような地下墓地でアヤしいパーティーをしていたらミノタウルスに襲われる話。怖くもないし緊迫感もないけど、このネタをやりたくなっちゃうのは凄く分かるので少しだけ愛着の湧く作品でした。

 

ループ(2006)

タイトル通りループものです。低予算らしさ全開の不気味な雰囲気、ループするごとに出来事が変わって飽きさせない構成、オチもひねりが効いていて面白かったのですが......ただ、日本人にはこのネタは分かりづらいです。

 

リクルート

CIAの訓練のお話。どこまでが訓練か分からないハラハラ感は楽しめましたが、騙そうという意図が強すぎて真相が明かされても意外な気がしなかったのが惜しいところ。

 

レインディア・ゲーム

クリスマス、出所して堅気に戻るつもりだった主人公はひょんなことからカジノ強盗をする羽目に......。物語としてツッコミどころ満載無理やり感満載ですが、個人的にはそこも含めて好きだったりします。

 

ゲーム

デヴィッド・フィンチャー作品。これもあまりに無理やりだろ!と思ってしまいますが、このネタをやろうとした気概が好きです。

 

SAW3

3までしか見てませんが、3まででは一番微妙かな。とはいえエッジの効いたネタを繰り出してくるのでやはりミステリファンには嬉しいシリーズです。

 

パーフェクト・ストレンジャー

「ラスト7分11秒の衝撃」みたいなキャッチフレーズが強すぎて「そこまでか?」と思ってしまいました。あんまり期待しなければ普通に面白い作品だと思います。過剰広告の罪。

 

テラー・トレイン(1980)

13日の金曜日」系列の殺人鬼スラッシャーです。列車内での殺人というのがいいですね。意外な犯人の正体はちょっとしたどんでん返しです。あくまで、ちょっとした。

 

愛のメモリー

妻子を誘拐されて失った主人公。16年後に妻に似た女性と惹かれ合いますが、彼女も過去の事件をなぞるように誘拐されてしまいます。幻想的な雰囲気や二転三転の展開はいいですが、オチはもう少しインパクトが欲しいところです。というのも似たネタで衝撃的な他の作品を先に見てしまったからなのですが......。

 

レッドライト

超能力者vsインチキ超常現象を暴く博士という、ドラマ「TRICK」のシリアス版みたいなお話です。超能力を題材にした知的なやりとりは良いですが、オチには脱力してしまいました。それありかよ、と。

 

シャッターアイランド

孤島に建つ精神病棟監獄から患者の女性が失踪した。保安官の主人公は彼女を探すが......。孤島で人を探すうちにどんどん変な事態になっていくという雰囲気は素敵ですが、長い割にオチそれかい、と。

 

スイミングプール

フランソワ・オゾン監督による難解お洒落どんでん返し映画です。単純に難解すぎて驚かなかったのでCにしちゃいましたが、もう一度観てじっくり解読に取り組みたい映画でもあります。

 

エンゼルハート

ざっくり言うと探偵が人を探す映画です。聞き込みを繰り返す展開はやや退屈ですが、クスリやオカルトが絡んでくるいかがわしさは良いです。

 

悪魔のシスター

シャム双子に、「裏窓」感に、変人探偵に、狂人の解放治療。ミステリファンか^_^ヨダレを垂らして喜ぶようなガジェットてんこ盛りですが、オチはミステリファンならすぐに分かってしまうのが惜しいところ。

 

サンタサングレ
理解困難ながら"圧"の凄いカルト映画「ホーリーマウンテン」「エルトポ」などで知られる巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーによる作品です。彼の作品の中では最もエンタメが意識されていて非常に分かりやすく、ホドロフスキー入門に最適の作品です。まぁオチだけ取ったらそんなでもないですが......。

 

輪廻

清水崇監督による王道Jホラーです。ホテルでの連続殺人事件をモデルにした映画の撮影中、キャストやスタッフが過去の事件に取り込まれていってしまう......。現実と映画、現世と前世、リアルと幻想を行き来する眩暈感が堪りません。ただ、どんでん返しになり得るネタを驚かせるつもりの微塵もない見せ方がされているのが残念です。これでミステリを志向していればどんでん返し映画の隠れた傑作になり得たのに......。
 
〈D〉

セイフヘイブン

「君に読む物語」の原作者によるゴリゴリの恋愛映画ですが、サスペンス要素があって恋愛映画初心者にも観やすい作品です。しかし、意外な仕掛けはあるのですが、本筋とあまり関係ない予想の斜め上からのものなので「ふーん」で終わってしまいます。ただ、恋愛映画としては最高。

 

悪夢のエレベーター

邦画のドタバタコメディミステリーです。コミカルなのにやけに重かったり、説明が長すぎてすっきり騙された感が味わえなかったりと、なかなか惜しいところが多いです。

 

アリスクリードの失踪

二転三転する展開そのものがどんでん返し映画的ですが、過程であんだけ二転三転しといてオチは何の捻りもないのが拍子抜けです。

 

エスター

子供が怖いホラーの新たな古典ですね。ホラーとしては素晴らしいですが、どんでん返しと言われる部分だけ見ると後出し感が強くてちょっと怒りそうになります。

 

クライング・ゲーム

これもどんでん返し映画としてよく名前が上がりますが、中盤にちょっと意外な展開があるだけです。あれは別にそんなに驚かないぞ。あと話としてもあまり好みではなかったです。

 

フライトプラン

飛行機の中で娘が失踪するも、誰も娘を見なかったと言う、果たしておかしいのは周りか自分か? みたいなお話です。なぁぁんとも物足りなくて印象に残らないんですよね......なんなんだろう......。

 

クリミナル

シンプルにして爽快なコンゲームです。ただ、シンプル過ぎて分かりやすいのと、あまりに矛盾、もしくは御都合主義が大きいのが気になります。とはいえほんと爽快なので話は嫌いじゃないです。

 

スコア

デニーロ&ノートンという豪華すぎる主演2人の痛快なクライムサスペンスなので楽しくないわけはないですが。展開もオチもお約束通りで予想を裏切るところはなかったです。

 

ジャンボ墜落/ザ・サバイバー

後の某作の元ネタと言われる作品ですが、不気味な雰囲気はいいものの話が地味過ぎてオチの盛り上がりが乏しかったです。これを元ネタにあれだけ面白くした某作は偉いですよ。

 

スプリット

ブログにあるのでざっくり。シャマラン作品としては素晴らしいですがどんでん返し部分は「そこかよ!」という感じですね。


〈?〉

ベイビーブラッド

見るからに"とあるトリック"のための伏線のような描写がたくさんあったので「B級ホラーなのにあのネタを使ってくるのね!伏線うまい!」と期待してたら使ってこなくて拍子抜けしました。だから全然どんでん返しとは関係ないですごめんなさい。

 

 

〈おわりに〉

まぁ、見たことあるどんでん返し・意外なオチ映画を列記しただけなので特にまとめもクソもないですが、これからもそれ系の映画を見たらこっそりここに追加していきます。昔の私のようにどんでん返しに飢えた人の参考になれば幸いです。

ゾンゲリア

サスペリア」のヒットにより"Zombie2"という映画が惨劇+サスペリアで「サンゲリア」という邦題を付けられました。ルチオ・フルチによるケッ作です。
そして、そのサンゲリアとゾンビを組み合わせて作られたのがこの作品の邦題なのです

 

 

 

 

ゾンゲリア [Blu-ray]

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製作年:1981
監督:ゲイリー・シャーマン

脚本:ロナルド・シャセット、ダン・オバノン
出演:ジェームズ・ファレンティノ、メロディ・アンダーソン

☆3.8点

 

 

ゾンゲリア」(!)

この酷い邦題のせいでクソゾンビ映画にしか見えませんが、その実、本作は真面目に丁寧に作られた異色のホラーミステリ映画なのです。

 

物悲しい音楽をバックに、色彩の乏しい浜辺の映像が流れるオープニング。カメラマンが登場し、美女をフレームに入れると、彼女の服の赤が色の少ない画面に鮮烈に映えます。
やがて服を脱ぎはじめる美女に見入っていると、なんとカメラマンが村人たちに惨殺されてしまいます。衝撃的なこのオープニングからして、「お、ふざけたタイトルの割にハイセンスだぞ?」と期待させてくれます。

 

本編は、カメラマン殺害事件を追うこの村の保安官が主人公。
彼が事件を追う様子と、村人たちが殺人を犯していく様子が淡々と描かれていきます。
淡々としすぎて、ともすれば退屈になってしまいそうですが、ギリギリのラインでアンニュイだけど退屈ではない独特の雰囲気になっています。
というのも、主人公の側の捜査パートは単調な代わりに、殺人シーンは結構グロかったりするからで......。美人ナースの目ん玉お注射や顔面ドロドロなどなど、シリアスな作風なのにそこだけバカバカしいゴア描写がちょいちょい挟まれたら退屈はしないですよね。

グロ描写ではないですが、旅行中の一家が空き家で襲われるシーンもいかにもB級ホラーらしくて好きです。

また、個性的なキャラクターも魅力的で、特に死体修繕大好きな葬儀屋のドッブスと、冒頭に登場した怪しい村人代表の美女がいい味出してます。

 

後半で主人公が村で起きている奇妙な出来事に気付いていくところからは、いよいよ「何が起きているのか?」というミステリーとしての興味で引っ張ってくれます。
そう、実は村では死者が復活していたのです!(ここも驚きどころのはずなのに邦題のせいで「知ってたよ」としか思えませんね)。
ここで面白いのが、本作のゾンビは(いかにもな邦題に反して)半分腐ってたり人を食ったりしないところです。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」以降の映画界ではゾンビ=人を食う という図式が一般化しましたが、それ以前の映画に出てくるゾンビはヴードゥーの魔力によって蘇った死者にすぎず、人を食べる設定はなかったようです。かく言う私も「ホワイトゾンビ」とか観たことないのではっきりしたことは言えませんが、こうしたゾンビの設定もこの作品の上品さに繋がっているかと思います。

 

そしてやはり特筆すべきはラストです。

全編に横溢していた退廃的な雰囲気がついに爆発し、世界が崩壊していくようなカタストロフに襲われます。なんてかっこつけた文章を書いてしまいましたが、こういう大仰な書き方が嫌じゃない人は楽しめるかと思います。

 

 

※以下本作、及び似たオチの某作の結末に触れるので観てない方、某作にピンと来ない方はご注意ください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、そう、本作のオチは「主人公は実はゾンビだった」というものです。

 どうです。似てますでしょ、1999年の某作に。

 ただ、本作と某作を比べた場合、某作の方が明らかに伏線の貼り方が上手いです。某作のとあるシーンは真相を知ってから見ると上手すぎて鳥肌ものですが、本作には眼を見張るような伏線はなかったです。まぁ、後発の方が出来が良くなるのは妥当なことですが。

 

さて、本作について。

まず、村人の多くがゾンビであることについては、教師である主人公の妻・ジャネットが、授業の中で

「彼らは死んではいるけれど見事にいきてる人間の真似ができる」

 と言っているのが伏線っちゃ伏線ですね。

 主人公がゾンビであることについては、ゾンビを作っているドッブスが

「死人は教えたこと以外は忘れるゾンビなのだ」

と仄めかしています。

 

しかしこれらはどちらも台詞で取って付けたように説明しているだけ。その他に特に伏線らしいものが見当たらないのがちょっと惜しいかなと思ってしまいます。

 

とはいえ、フィルム上映でゾンビについて明かし、更にそのフィルムの続きで主人公がゾンビだと明かす演出はとてもカッコ良かったです。こんなスタイリッシュなネタバラシをしてくれれば細かいことはどうでもよくなってしまいますね。

 

というわけで邦題のクソさに合わないシリアスな野心作でした。周りの誰も、そして自分の記憶すらも信じられなくなるという恐怖が見事に描かれた傑作です。

 

ちなみに原題は"dead & buried"。観終わってから原題を見るとなかなか味わい深いです。

キートンの探偵学入門

バスター・キートン

その名前は知っていましたが、チャップリンと並んでサイレント期のコメディ映画を代表する古い人くらいの認識しかありませんでした。監督・脚本・主演、全部自分でやってるんだっけ、凄いよね、でも100年くらい前の人だよね?今観たって古びてるんじゃないの?と。

 

 

 

キートンの探偵学入門【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

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製作年:1924
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン、キャサリン・マクガイア、ジョー・キートン、ウォード・クレイン

 

☆4.0点

 

 

ごめんなさい!100年近く前の作品だけど今見ても凄かったです!

というわけで、今回は私にとってキートン初体験となったこの作品の凄かったところをざっくり4つに分けて紹介します。

 

 

1.アイデア溢れる映像が凄い!

 1924年の映画です。CG技術なんか影も形もないどころか、色すらありません。白黒です。

しかし、現代のような技術がない分、アイデアだけで様々な工夫を凝らした映像は面白く、「こう撮るのか!」「どうやって撮ってるのこれ?」という驚きや不思議さは、よく出来た奇術を観ているようですらありました。

 例えば夢の世界に入るシーン。夢というよりは幽体離脱みたいになってますが、キートンから半透明なキートンが抜け出てくるシーン、これ当時の技術でどうやって編集してるんでしょう。

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幽体離脱

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話しかけるも本体はぐっすり寝てます

 

 

 

 2.セリフなしでも笑えるユーモアが凄い!

 なんせ1924年の作品ですから、当然の如くモノクロ&サイレントです。もちろんところどころで説明やセリフの字幕は出るのですが、それだけでは言葉によるギャグはほとんど使えません。

 それでも動きだけで何が起きているか分かり、動きだけでギャグを連発して笑わせてくれるから凄いんです。

 ギャグの質も、ドタバタ劇でありながらどこか知的で上品なところがあり、100年経った今も古びていませんでした。

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お約束の尾行コント

 



3.夢と現実が綺麗に纏まったストーリーが凄い!

本作は現実でのエピソードの間に、キートンの夢のパートが挟まれた構成になっています。

現実ではひょんなことから濡れ衣を着せられてしまう三枚目なキートン。しかし夢の中では彼は名探偵SHERLOCK JR.になって、悪い奴らの奸智を見事にかわしていきます。

もちろん今時のミステリーみたいに夢と現実が複雑に絡み合ってラストでどんでん返るなんてことはありません。でも、夢のハッピーエンドから現実のエンディングへの流れが綺麗で、夢から醒めたあとの夢みたいな多幸感が最高でした。

 

 

 

4.コメディなのに溢れ出る詩情が凄い!
「夢」というものがテーマだと、やはり幻想的な雰囲気や現実離れした美しさを期待してしまいますが、この作品はそこのところもばっちしでした。

夢のシーンでの、映画の中に入って色んな場所を旅するところや、車で湖を泳いだりするところは、ギャグでありながら詩的な美しさに満ちていて、忘れられない名シーンだと思います。

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映画の画面の中へ......

 

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車で水上をドライブデート。なんてロマンチック!

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 下半分はお留守番

 

また、ストーリーもシンプルではありながら 恋人の愛を取り戻す綺麗なラブストーリーになっています。一つだけ気になるのは、現実では結局キートン何もしてないところですが、まぁ夢で頑張ったからおっけーということでしょう......。

 

 

 

観る前は古典のお勉強みたいなつもりでいましたが、実際に観てみると一気に引き込まれてしまいました。

古い映画と侮るなかれ、古いからこそのクラシカルな雰囲気と、古びない瑞々しい美しさを併せ持った名作ですね。

これから他のキートン作品も折に触れて観ていきたいです。

失恋の傷口に塩を塗る恋愛映画7選

 

☆まえがき

フラれた時、モテる人ならコメディ映画でも観てすぐにつらさを忘れて次の恋に向かうものでしょう。でもね、私のような異性にモテる要素皆無のゴミクズ野郎は、つらい映画を観たりつらい音楽を聴いたりしていつまでもつらい気分に浸って悦に入ってるわけですよ。実にゴミクズである。

さて、今回はそんなゴミクズな野郎どもにオススメしたい、失恋の傷口に塩を塗る映画7選を紹介したいと思います。Let's 死にたくなろうぜ!
ちなみに普段恋愛映画をあまり観ないのでセレクトはめっちゃベタです。ごめんなさい。

 

 


1.セレンディピティ

 

セレンディピティ~恋人たちのニューヨーク~ [DVD]

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製作年:2001
監督:ピーター・チェルソム

 

 

さて、運命の恋って信じますか?
私みたいな非モテゴミクズ野郎ほどそういうありもしない幻想を追ってしまうものだと思いますが、この映画はそんな運命の恋を描いたベタ甘ロマンティックラブストーリーです。

クリスマス前、デパートに恋人へのプレゼントを買いに来ていたジョナサンとサラは同じ商品に同時に手をふれて出会います。図書館で妄想するやつかよ!クソが!
その場で一度は別れた2人ですが、偶然にも同じ日にまた再開し、一夜限りのデートをします。どんどん惹かれ合う2人ですが、「私たちが本当に運命で結ばれているなら、ここで名前以外のことを知らずに別れてもまた出会えるはずだわ」といって"とある小さすぎるお互いのヒント"だけを残して別れます。
お互いの生活に戻る2人。それぞれ恋人との結婚を考えながらも、あの日の出会いが忘れられず、こっそり運命の相手を探す日々が続きます。そして迎えるハッピーエンドは美しいのでしょう。自分の本当の気持ちに向き合って、最後まで諦めずに運命の人を探し、幸せを手に入れた2人の姿に強者の方々は勇気をもらったり涙を流したりするはずです。

でもね、我々ゴミクズは、わけのわからない運命とかいう戯言のせいで捨てられた元の恋人の立場からこう叫ぶはずです。
「あの女、ぶっ殺す」

 

 


2.エターナル・サンシャイン

 

これは前に書いたので割愛します。詳しくはこちら→エターナル・サンシャイン - 偽物の映画館


つらい恋の記憶を消せるとしたら、どうしますか?という考えたくもない問題提起をしてくるクソ映画です(傑作)。

 

 

 

3.秒速5センチメートル

 

 

秒速5センチメートル

秒速5センチメートル

 

 

製作年:2007
監督:新海誠

 

君の名は。」以前の新海誠の代表作です。
こじらせてるくせになんだかんだめちゃモテ野郎のこじれた恋愛模様を観せられて気持ち悪いのと、でも中高生の時にあんなこと経験したかったわ〜という強烈な嫉妬とか、あとなんか映像が綺麗すぎてよく分からないけど死にたい気持ちになったりとか、とにかく自分がどうしてこんなにつらいのかは上手く把握できないままつらさだけをぶち込まれる不愉快な映画です。

 

 


4.ブルー・バレンタイン

 

 

ブルーバレンタイン

ブルーバレンタイン

 

 

製作年:2010
監督:デレク・シアンフランス

嫌な恋愛映画の代名詞みたいな作品です。

倦怠期真っ只中のディーンとシンディの夫婦が離婚するまでの丸1日と、彼らが出会って結婚するまでの幸せな日々を交互に描いているのが素晴らしい(嫌らしい)ところです。

 

幸せ期を見ていることで、「これが後に倦怠期になってしまうのだなぁ」という強烈な無常観に襲われます。幸せ期ではお互いの好きだったところが、倦怠期ではすれ違いのタネでしかなかったりするのもしんどいですね。
それと同時に、倦怠期を見ていることで、幸せ期に描かれる些細な価値観の違いに対して「こんな風だから最初からダメだったんだ......」というしんどさも同時に味わわされます。

そう、プラスとマイナスを掛け合わせても、マイナスの絶対値が大きくなるだけなのです。プラス(幸せ)とはなんと脆弱なのでしょう......。まぁ諸行が無常であることなど平家物語の時代から分かりきっていたことですけどね。

 

「夫婦で観てはいけない映画」と呼ばれているのをよく見かけますが、結婚したことがない人間にとっても、「結婚してすらこうなるのか......」という恐怖を突き付けてくるヤバい映画なのです。
ちなみに、ラブホに行くシーンが特にムリなので注目してほしいですにゃん。

 

 


5.ムード・インディゴ うたかたの日々

 

 

 

製作年:2013
監督:ミシェル・ゴンドリー

 

さて、続きましてはバカみたいにハッピーで結婚してもラブラブなカップルが出てくるこの作品です。

莫大な財産を持っていて働かずに優雅な暮らしを送っている主人公のコランは、友人宅でのパーティーで出会ったお嬢様クロエと恋に落ちます。2人は瞬く間に距離を縮め、結婚し、豪勢な新婚旅行へ出かけ、幸せの絶頂を極めますが......。

 

というあらすじだけを見ると何の面白みもないありきたりなラブストーリーのようですが、この作品の唯一無二の特徴はファンタジーな世界観です。
水道管からウナギが出てきたり、料理がなぜか勝手に踊りだしたり、ピアノの音色に合ったカクテルを調合する「カクテルピアノ」という小道具が出てきたり、社交ダンスでなぜか足がぐにゃぐにゃになったり、文字では上手く伝わらなさそうな不思議でシュールな映像が、物語の本筋とは何の関係もなく連発されるところがキュートです。
でもこれ、作者の真意は分かりませんが、個人的には恋愛に酔っている時の頭がパッパラパーの浮かれポンチになっている状態を表しているのだと思います。

 

............ってそれじゃあただのお惚気ハッピーバカ映画じゃねえかって?
いやいや、この作品が「失恋の傷口に塩を塗」ってくるのは後半の超展開からです。詳しく書くとネタバレになっちゃうのでボカしますが、あんなに幸せだったのに、そして「ブルーバレンタイン」のように醒めることなくお互い想い続けているのに、それでもこの映画の結末は悲しいものなのです。
こんなん観ちゃったら、どんなに上手くいってたっていつかは必ず別れが来ることを突き付けられて恋なんてクソゲーだと思わされてしまいますね。

 

 


6.ラブ・アクチュアリー

 

 

 

 

 

製作年:2003

監督:リチャード・カーティス

 

クリスマスを1ヶ月後に控えた19人の男女の恋の物語を同時進行で描いた群像劇です。

この作品に関しては、シンプルにたくさんの恋愛模様を強制的に頭に流し込まれるのがしんどいです。

 

何せ、物語の描き方がめちゃくちゃうまい。
純愛から悲恋から幼い無垢な恋からエロいのまで、多くの登場人物それぞれの恋を混乱させずに描き分け、なおかつ全てを感情を揺さぶるようなクライマックスに収束させちゃうんですから、これはもう超絶技巧ですよ。

 

135分と長めの映画ですが、逆に言えばたったそれだけの時間で9つのラブストーリーを同時に観られるわけですからコスパ最強で、一本で9度しんどくなる、失意の中では絶対に見たくない傑作なのです。

 

個人的には、やはり友達の奥さんに許されない恋をしちゃう男の話が一番好きです。人生で初めて映画を観て泣いたかもしれません。

 

 


7.ルビー・スパークス

 

 

 製作年:2012
監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス

 

最後は、恋愛映画どころか、今まで観た全ての映画の中でもベスト10に入れちゃうくらい大好きで大嫌いなこの作品です。

 

スランプに陥った作家のカルヴィンは、夢に現れた女性を題材に小説を書き始めます。すると、なんと自分が書いた小説のヒロイン「ルビー」が現実世界に現れるのです。自分が書いた通りになる理想の彼女・ルビーに惹かれていくカルヴィンですが、誰とでも仲良くなれる明るいルビーに嫉妬を燃やして彼女を自分に都合がいいように書き換え、2人の関係は徐々に歪んでいきます......。

 

冴えない根暗の主人公が描く理想の女の子は、冴えない根暗の私にとってもまさに理想の女の子でした。


そんな彼女との日々はとても甘美で、主人公と一緒に私もどんどんルビーに心酔して行きました。だってどこの世界に一緒に『ブレイン・デッド』(※世界一大量の血糊を使った人体破壊グロテスクゾンビコメディ映画)を観て喜んでくれる女の子がいますか!どこの世界にクラブでパンティ咥えて「今、履いてないの!」なんて言ってくれる女の子がいますか!

ちょっと勃ったわ!

しかも彼女、自分の思い通りにならなかったらタイプライターに向かって設定を書き出すだけで思い通りになるんですよ。最高でしょ!?最高だと思ったあなたは私と同じゴミクズです。
そう、自分の思い通りになる女の子を望む時点で、自分のことしか愛せない、人を好きになる資格も能力もないゴミクズだと突き付けて来るんです。甘いラブコメだと思ってたのに急に牙を剥きやがって!
そして迎えるクライマックスのシーンは完全にホラーですよ。しかもどんなホラー映画よりも怖い。

 

しかし本当に怖いのはホラー展開よりも希望の見えるラストの方でした。希望が見えてはいるけれど、本当にそれは希望かい?と。また同じ失敗を繰り返すだけじゃねえの?と。
そして私は思うのです。もう恋なんてしない。

 

 


☆あとがき
さて、ちょっとベタなセレクトでしたが、私が実際に失恋したり、諦めたりした時に観て死にそうになった映画を中心に7本選んで観ました。
正直ここに挙げた映画は二度と観たくもないですが、つらい時に観るとより感情を揺さぶられる作品たちであることも間違いないと思います。
ドMなゴミクズ野郎の皆さんにおかれましては、ぜひこれらの作品を鑑賞して快感絶頂していただけましたら幸いです。

ルチオ・フルチの新デモンズ

ルチオ・フルチ。一部の悪趣......失礼、マニアたちからカルト的な支持を受ける巨匠の作品について私なんかがぐだぐだ書くのは畏れ多いですが、まぁどうせそんなにファンおらんやろ大丈夫大丈夫。

というわけで、今回は巨匠フルチ先生後期のこの作品です。

 

 

 

ルチオ・フルチの新デモンズ [DVD]

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製作年:1990
監督:ルチオ・フルチ
出演:

☆点

〈あらすじ〉

 

昔、悪魔と契約した尼僧たちが磔刑にされた歴史を持つ修道院。そこを調査する考古学者の主人公は、やがて磔にされた破戒尼僧の幻覚を見るようになり、調査にのめり込んでいく......。

 

 

今までフルチ作品は「地獄の門」「ビヨンド」「サンゲリア」という全盛期(?)のものしか見てきませんでした。今作は晩期の作品ということもあってか、分かりやすく大人しくなったかなぁという印象です。

なんせ観ていてちゃんとストーリーが分かります。 いや普通の映画だったらそんなん当たり前なんですけど、今まで観てきたフルチ映画は本当に何が起きてるのか分からなかった......。分からないままにやたらと熱の入った残酷描写を楽しんだもんですが、本作は分かりやすさと引き換えに残酷描写がちょっと物足りなくなった気がしてしまいます。

 

とは言っても腐ってもフルチ。
脈絡がなすぎてギャグにしか見えない殺人シーンはたくさんあったのでサイコーです。

そんな爆笑死に方ベスト3をちょっと紹介してみます。

 

第3位  何の脈絡もなく顔のない全裸の女幽霊にボウガンで射殺される。

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わけがわかりません。なぜ脱いでるのか、恐らく尼僧の霊なのになぜボウガンなのか、わけがわからずただシュールな絵面に爆笑するしか為すすべがありませんでした。

 

第2位  猫に目ん玉抉られる

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くっそ見辛いですが......。

猫パーンチ、あらまぁよしなさいうふふと、猫好きなおばちゃんが猫と戯れてると

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こうです。今後は猫には近寄らないことにします。

 

第1位  残酷!股裂拷問刑!

息子を尼僧に拉致られたパパ。森の中を息子の名前を呼びながら探します。

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 それに答えて助けを求める息子。

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 可哀想ですね。早く助けてあげて!と思いながら見ていると、次のカットでは......

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 ......何があったパパ......?

何の脈絡もなく、しかも元気に走ってた次の次くらいのカットではもうこれですよ。いつの間に森に罠を仕掛けていたのか......。てか霊じゃねえの?ちゃちい罠なんか使わずにもっと呪い殺すとかあるでしょうに!

でもこの後パパが二つの肉塊に成り果てるところで大爆笑したので最高の映画でした......。

 

ぶっちゃけ、見所なんてこの3つのシーンくらいしかありません。あとは何か変な刑事がぐだぐだと探偵小説論をぶつけど本筋と何の関係もないところとかミステリファンとしては笑いましたが。

ラストもよく分かんないままに何か盛り上がってあっさり終わるあたりは、B級映画としての潔い美学すら感じました。

 

物足りなさはあるけどなんだかんだいつも通り良い意味で時間を無駄にした感覚が楽しめるクソ映画でした。こんなん観るより他にすることがない自分の存在価値のなさを突き付けられます。