はい、今月はこんな感じ。珍しく邦画も観てますね。
グエムルに関しては、パラサイトを観てから遡って観たやつですが、パラサイトの方はまだ感想書けてないんですね......。気力がない......。
ウォールフラワー
undo
来る
グエムル/漢江の怪物
ウォールフラワー
高校入学と同時にスクールカースト下位に属してしまった主人公のチャーリーが、パトリックとサムという変人兄妹と出会い、カースト下位なりの青春を謳歌するお話。
エモかったです。
青春。
そのただ中にいる時はforever and everに感じられ、しかし後から振り返ってみるとJust for one dayくらいでしかなかった刹那い時間。それが青春。
それでもあの時私たちは確かに"Heroes"だったんです。
......そんなトンネルのシーンが素晴らしい。
先日観た某作でもそうでしたが、私は"Heroes"という曲がかかる映画に弱いんです。
ましてや、そこにいるのはエマ・ワトソンですからね。
私は小学校の頃にハリー・ポッターをけっこうリアタイで観てましたので、恐らく海外の女優で初めて恋をしたのは彼女だったと思われます。
(とはいえハーマイオニーのイメージに囚われず本作ではきちんとサムという少女になっていたので素晴らしい)
その可憐さと強い眼の美しさと、トンネルとヒーローズ。「この曲めっちゃいいじゃんなんて曲?」「知らない!」にはジェネレーションギャップを感じましたが(同世代)、主人公の青春の時間からあのシーンを切り取っただけでもうエモエモ傑作なんです。
で、そんなステキヒロインが出てくるんだけど単に主人公と彼女が紆余曲折の末に結ばれたりする話じゃないのがリアルでえげついっすわ。
マジ恋の相手にはクソみたいな彼氏がおったりとか、なんだかんだ自分も好きでもない女と付き合っておっぱい揉んだり、それでもやっぱり傷付き傷付けてしまったり......。能天気なラブストーリーによくあるあらかじめ決められた恋人たちではないリアルな恋愛模様には全然キュンキュンとはしなくてただ痛かった。だがこの痛みを忘れてしまった今の私はもうあの頃みたいに若くはないのだと思い知らされました。
一つ言いたいのは友達いない壁の花太郎です!みたいに登場しときながら主人公かなりリア充やんけ!という嫉妬ね。俺だってこんな高校生活を送りたかったさ。
あと、先生イケメンすぎて惚れたのと、パトリック先輩の放つ独特の魅力にも惚れた。
undo
- 発売日: 2013/03/20
- メディア: Blu-ray
マンションの部屋に暮らす若い夫婦(トヨエツと山口智子)。
夫が仕事で忙しく、無為な時間を持て余した妻はやがて身の回りのものを緊縛し始め......。
小学生の頃は「うどん」だと思ってました。
中学生の頃は「運動」だと思ってました。
高校生の時、これはもうシンプルにそのまま「ウンド」?と気付きました。
そんなアンドゥー。
「元に戻す、台無しにする、ほどく」といった意味の言葉らしいです。
岩井俊二そんなに観てないけど、彼の撮る女の子は全員可愛いという確信が私の中であります。本作もそれに違わず、今や唐沢の相方というイメージしかない山口智子さんがめちゃくちゃくちゃくちゃ可愛かったです。控えめに言ってマイエンジェル。
一方トヨエツは、もちろんくそイケメンなんだけど、キャラは割と自分に近いものを感じて共感と同族嫌悪の相半ばする気持ちで観てしまいました。
そんな2人の生活が最初はなかなか幸せそうに微笑ましく描かれていてにやにやキュンキュンとしていたんですが(嫁が可愛すぎる!)、ところどころで発揮されるトヨエツのデリカシーのなさに虫唾が走ります。この辺の微かながら強烈な緊張感はもはやサスペンス、いやさホラー。
そうこうするうちに、妻が精神を病んでいくのですが、不謹慎ながらこの病んでく山口智子がまた可愛いのなんのって......。
全身を縄で縛って亀頭を撫でるシーンとか、これ無修正で大丈夫なのかよってくらいえちえちでした💕
また、ほぼ2人芝居の中にもう1人だけ出てくる登場人物が田口トモロヲの精神科医。
こいつがまた名探偵かなんかのように胡散臭くて素晴らしい解説役を務めてましたね。超越的なようでもあり、俗なようでもある、ステキに変なキャラ。
そして、ラストの精神疾患にパワーで挑むトヨエツがまたくそ面白い。いやいやお前のその精神疾患にパワーで挑むようなところがあかんねん!って思う。
来る
イクメンの田原と愛する妻子を襲う怪異「ぼぎわん」。田原は友人の紹介で知り合ったライターの野崎と霊能キャバ嬢の真琴に相談するが......。
原作『ぼぎわんが、来る』も既読。
原作は、ややミステリっぽい技巧も凝らした民族学ホラー。作者も影響を公言しているように三津田信三っぽくてちょっとライトにした感じ。
映画化の本作は、おおまかな筋立てや構成は原作にけっこう忠実でありながら、仕上がりは全く違っていました。
原作の怪異自体の怖さは薄れ、『告白』なんかの監督らしい人間の怖さが前面に押し出されています。
でも、そういう作品としては、やはり抜群に面白かったです。
例えばで出すのもアレだけど、三津田信三の『のぞきめ』なんかは原作とぜんっぜんなにもかも改変した挙句クソ映画になってましたから、その点、骨格は保ちつつ換骨奪胎する手腕がさすがにさすが。
実際のところ、民俗学ホラーを映画にして小説と同じ雰囲気なんかなかなか出せないから、この路線で大正解なのではと思います。
個人的には、ほぼ、こちらの映画版の方が原作より好きなくらいでしたね。
もうね、とにかく出てくる人たちが素晴らしい。
ジャケットのビジュアル見ても原作読んだイメージにぴったりで嬉しく思いましたが、実際に中身を見てみると、原作以上にみんなダークサイドを抱えたやべえヤツになってて笑いました。
出てくるキャラクター全員に主力級の存在感がありますからね。柴田理恵があんなにカッコよく見えるなんてな......。
特に、原作の第2章に当たる部分はよりエゲツなく、よりリアリティがあって、こりゃもう俺は絶対絶対何があっても結婚なんてしないと誓いました。「くろきはな」とか読んでごめんなさい。怪異?人間??笑わせる!この世で一番怖いのは結婚と育児じゃ!!
ただ、そこまではめちゃくちゃ良かったんだけど、第3章の部分が、どうしても、ねえ......。
それまでドロドロしつつ感情移入しちゃう邪悪エモ映画だったのに、いきなりB級アドベンチャーホラーに堕してしまいますからね。マンションと儀式のミスマッチな映像の楽しさこそあれ、同じく祈祷シーンが印象的な『哭声』なんかと比べると足算しすぎてダサい。しかもドロドロの人間ドラマ部分も鳴りを潜め、松たか子が普通にかっこいいだけ。いやかっこいいけど、物足りなかったです。やけに長いし。
ただ、ラストの落とし所はなかなか良かったかも。唐突なあの演出にはやや引きましたが、綺麗に纏まってる。
うん、だから、クライマックスが蛇足というエンタメ映画としては珍しい感想になっちゃいましたが、そこまでは大満足。
あと、冒頭で握り潰したあの虫が、結婚式のシーンのBGMに効いてくる音楽の使い方がめちゃくちゃ好きでした。
グエムル/漢江の怪物
漢江のほとりで父と共に売店を営むカンドゥ。彼はぐうたらダメ男だが娘のヒョンソのことは溺愛していた。
しかしある日、漢江に怪物が現れ娘を攫っていく。カンドゥは父、大卒ニートの弟、アーチェリー銅メダリストの妹と協力してヒョンソの行方を捜す......。
アカデミショウ記念遡行履修です。
いやはや、おもちろかった。
タイトルの通り怪獣映画ではあるのですが、それだけに止まらないジャンルミックスの闇鍋的魅力を備えた傑作です。
まずは冒頭が圧巻。
川辺でビール飲みながらレジャーシート敷いてピクニックしてる行楽客と、売店で居眠りしながら客のスルメイカの足を1本つまみ食いする主人公。
そんなどうしようもなく平和で気怠い日常の風景の中、橋の方を見つめる人。おもむろに集まる野次馬たち。主人公もまた、その1人。
と、そこには奇妙なモノがぶら下がっている。
そして、そいつは暴れ出す。
突如として日常の光景が惨劇に変わる。それでもそれが起きてからもずるずると日常の感覚を引きずっているように、緊張感の伝播には時差があったりもして、非常にリアルな没入感が素晴らしい。
怪物の造形も非常にキモいっすね。
魚と犬と虫と花と性器をよくかき混ぜて便所に流し込んだみたいな外見。ガッズィーラみたいなカッコ良さ皆無なところが逆にかっけえゲロ怪獣です!!
最近ドライアイの治療をしてるのに、こんなの見せられたら瞬きすら出来なくて目は渇く一方ですやん。
と、モンスターパニックとしての魅力を導入部で使い果たした感さえありますが、そこからが闇鍋の楽しさ。
「娘を取り返す」という至極まっとうに王道なテーマで一本筋を通しながら、英題の通りのあれ系パニック、さらに「ゴールデンスランバー」っぽい逃走劇、サスペンスの裏に忍ばせた社会風刺と、ところどころに振りかけられるユーモア。
そのユーモアがまた厄介で、なんつーか、絶対に笑ってはいけないシリーズなんですよね。
娘を想う真剣な主人公の気持ちが見た目滑稽になってしまって笑っちゃうみたいな、不謹慎系シリアス笑い。アウト〜〜!ってなってケツ叩かれそう。
病院のシーンとかね、なんか笑っちゃうよね。ごめんよ......ごめんよ、カンドゥ......。
また、怪獣が出てくる映画ではありつつ、怪獣の怖さだけじゃない心理的に嫌なシーンがちょいちょいあるのはさすが。とある場面では泣きそうになりつつショックで目見開いてまたもドライアイを悪化させたよ......。先生、目薬をもっとくれ......。
キャラもみんな等身大に感情移入できて良い。
ソン・ガンホ演じる主人公のカンドゥは三枚目なのに娘への想いだけはかっこいいという魅力的すぎるおっさんですが、ファミリーも負けてない。
弟くんの活劇のカッコよさよ!妹のペ・ドゥナの可愛さと、クライマックスのあのシーンの表情がもう......。そしてパパ!頼りないけど年の功みたいな、めちゃくちゃいい味出してる......。みんな寝てるのに滔々と思いの丈を語るシーン最高でした。あのシーンが一番好き!
あと、出番少ないけど娘さんの存在感も良かった。
クライマックスはちゃんとアクションとしてのブチ上がりも。
で、パラサイト見た時にちょっと後日談が長えなと思ったんですが、今回後日談長いことを覚悟した上で見たら、あの後日談があってこそな気がしてきました。パラサイトの後日談もまた見直さなきゃね。
なんせ、まぁ面白かったです。映画館で観たい。