偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

城平京・水野英多『天賀井さんは案外ふつう』(全4巻)感想

『スパイラル 推理の絆』『スパイラル・アライヴ』の城平京×水野英多コンビ、再び。




「ミステリ漫画原作者」というおそらく唯一無二の肩書きを持つ城平京先生による"日常系伝奇コメディ"


というわけで、城平京作品は実は結構読んでて、その度に漫画らしい特殊設定をがっつりミステリに絡める職人技に感嘆してきたわけですが、本作は正直そんなにハマれなかったです。

というのも、4巻という短さでありながら、少なくない登場人物全員が異様なキャラの濃さを誇っていて、さらに町の設定そのものも凝っているので、雑なディスり方をすると物語じゃなくて設定を読んでるみたいな印象なんですよね。
もちろんタイトルの「案外ふつう」というところに現れているようにわざとそうしてるんですけど、それにしてもこんだけ意外な設定が次々に明かされていくと、逆に何か起きても意外に思えなくなってくるんですよね。
あと、コメディと銘打ってるわりにそんなに笑えない......。

とディスったけど、ゆっても城平京だからふつうに面白かったですけどね。
常に何かしら推理してるか新事実が明らかになっているかの展開はやっぱりスピーディーですしね。
3巻まででだいたいの問題は解決しといてから、4巻で急に城平京劇場が始まる謎の構成とかも好きですよ。設定を駆使した短編ミステリはやっぱ上手いっすもんね。
ラストは結構ドラマチックなはずだと思うんだけど、真木くんが物に動じなさすぎるせいで読者としても「あ、そうなの」くらいの気分で読んでしまうので、そういう点でやっぱ真木くんのキャラ造形がイマイチだったなというのがハマれなかった1番の要因な気がします。天賀井さんに至ってはモブだしな。


あ、あと、西陣先生の外見はめちゃタイプでした。
エロいと可愛いがちょうど同じくらいで両立された女の人のビジュアル大好きなんですよね。
まぁそんな感じ。