偽物の映画館

観た映画の感想です。音楽と小説のこともたまに。

仮面ライダークウガ

昨年の9月から今週にかけて、毎週2話ずつYouTubeで配信されてたんですが、今週の土曜でついに最終回を迎え、何話かは見逃したもののほとんど毎週観てて、最終回でエモさ極まったので少しだけまとめて感想を書いてみます。



そもそも、本作がテレビシリーズとして放送されていたのは2000年から2021年にかけて。
当時私は6歳とかで、まさにリアタイで1番しっかり観てたのがこれだったんですね。
で当時から陰気くさい趣味だったのでたぶん戦隊モノよりも仮面ライダーの方がピンと来てたのもあってかなり熱狂していたらしいですが、今となってはその記憶はそんなになくって......。

で、それから20周年の企画で昨年から今年に配信されたのですが、それに加えて明らかにコロナ禍の状況と本作の内容に重なる部分が多いことも今回の配信企画の背景にはあるんだと思います。


さて、本作の内容ですが、古代から怪人"グロンギ"が蘇るところから始まります。
そんでひょんなことから、同じく古代の英雄"クウガ"の力を宿した変身ベルトを手にした冒険屋の青年・五代雄介(オダギリジョー)くんが、「みんなの笑顔が見たいから」、グロンギたちと戦うことを決意する......という、まぁあらすじは普通に仮面ライダーなんですけど......。

でもすごいのが、めっちゃリアリティを追求してるんですよね。
怪人が現れた時にまず警察が出動するんですよ。そして近隣住民を非難させたりしながら拳銃を使って怪人と戦う。でも銃なんか効かなくて、そこでやっとクウガが出てくるっていう。
そんで怪人が出てこない時も警察の捜査会議の場面とか、科警研や大学病院とか考古学者が怪人について調べるくだりとか、「子供向け番組にそれ要る??」って思うようなリアルな描写がめっちゃあるんですよ。
でも数話見ると気付くんだけど、これ子供向け番組じゃないんですよね。
明らかに大人の視聴者を想定して、大人が観て楽しめるように作られてる。
でもたぶんそういう真剣さとか真摯さが子供にも伝わって、よく分かんないとこもあるけど面白いってことになるんじゃないかな。
そして私みたいに大人になって見返して、こんな凄い作品だったのかと、20年経て2度楽しめるという......。

あと、人間ドラマとしてもよく出来てるんですよ。
メインキャラにそれぞれしっかり背景があって、例えば準主役のハンサム刑事の一条さんは父親も警官だけど殉職してて田舎に母親を残して警視庁にきてるとか、科警研のおばちゃんはシングルマザーなんだけど怪人が出始めて忙しくて子供に構ってあげられなくて子供拗ねるとか......。
あと各話のゲストキャラでも怪人に憧れてる尖ったフリーターの青年の回とか、五代くんの小学校の恩師の回とか、普通にドラマとして見応えあって凄いんですよ。

そして、メインキャラの間の人間関係もまぁ凄くて。
いきなりネタバレになるけど、(ネタバレ→)最後の決戦の前、五代くんと一条さんの間には入れないと悟りきってしまった桜子さんの「いってらっしゃい」とか、同じあたりでやっぱり五代のこと好きなんだけど親友として一条に譲って応援するイケメン医師とか、こんなにラブストーリーだったのかよ〜と思っちゃうくらいきゅんきゅんしました。


そんで、最初に書いたけど、怪人が跋扈して世間に不安が蔓延ってる描写とかはコロナ禍の今を重ねてしまう部分もあります。
また、作品の大きなテーマとして「暴力」というのがあって、怪人が人間をゲームの一環で殺していく残虐な(今見ても結構怖い)描写と、そんな怪人を止めるために自分も暴力を振るわなければならないという五代くんの葛藤とか、かなり重くて深い話なんですよね。
それが特に浮き彫りになるのが、ハリネズミ怪人の回と、ラスボスのダグバとの戦い。
またネタバレになるけど、(ネタバレ→)仮面ライダーの最後の戦いなのにまさかの人間体でのガチの殴り合いで、笑いながら殴る少年の姿のダグバと、泣きながら彼を殴る五代くんの場面は、当時大きな問題となっていた少年犯罪や子供のいじめといった社会問題にガッツリと向き合って作られていて、今見るとかなりずしんと心に刺さりました。

でも最終話はもちろんしっかりとハッピーエンドで、なおかつドラマとしてもエモさ極まれりで、見終わってしばらく放心しちゃうくらい良かったっす。

そんな感じで、ざっくりした紹介のような、自分用感想メモのような微妙な文章になりましたが、とりあえず見終わったテンションで書いてみました。
しばらく土曜が来るたびにクウガロスとの戦いの日々になりそうです。